厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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zoom RSS 地方銀行の投資行動

<<   作成日時 : 2006/11/03 15:03   >>

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すでに本石町日記さんhttp://hongokucho.exblog.jp/m2006-11-01/
日本橋ファンド日誌さん
http://funds.exblog.jp/4472830#4472830_1がエントリーをアップされているのでいまさらではあるが、日経の記事
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20061102AT2C3106O01112006.htmlは改めて地銀の運用難を印象付けるものであった。われわれも社債、企業融資の分野で信用スプレッドの収縮に悩まされているのだが、地銀では融資先も限られた上地元の信用金庫や組合系や系統金融機関との競合も激しいだろうし、いろいろなものに手を出さざるを得ないという状況はよくわかる(困るんですけれどね)。
私がこの記事から真っ先に感じたのは、この問題はむしろ以前にvon_yosukeyanさんがブログのエントリーで書かれていた(http://slashdot.jp/~von_yosukeyan/journal/379418)「オーバーバンキング」というサプライサイドの問題ではないかということであった。地銀はかつて相互銀行の普銀転換などで相当な数となった。日経の記事では現在111行と書かれていたが、これ以外にもメガバンク、信用金庫、信用組合、系統系などの存在を考えると今の状況を考えるとやはり多いのではないかと思う。
本来的には銀行の数と資金需要とは関係ない(と思う)のでデマンドサイドでは銀行の数は関係ない。しかし反対側の投資行動となれば話は別だ。たとえば細かくばらばらの経済主体が独自に行動すれば、それぞれが合理的な判断をしているつもりでも社会的にはきわめて不合理な結果を生み出すことが多い(たとえばオイルショック時のトイレットペーパー騒ぎ)。この場合でも消費者がグループとなって行動していれば違った結果になっていたと思う。地銀などの投資行動においても、それぞれが収益の極大化に走りそれぞれの合理的な判断で同じような投資対象(極端な場合同じ相手先への与信)に走ってその投資対象のクレジット評価を下げたり、また市場全体の収益性を下げリスク対リターンの数値を悪化させたりすることが考えられる。まさに合成の誤謬状態。これにはおそらく「横並び的」メンタリティーも影響しているはずだ。地域間の連携を深めれば複数の地域を同じ銀行がカバーすることで変な過当競争によるネガティブな影響を避けられるはずだ。

おりしも、安部内閣のもとでは道州制がテーマになってくると思われる。今回の日経記事は、深読みすれば地銀再編への序曲としての役割を果たしているのかもしれないと考えたのだが、どうだろうか?

ところでさりげなく気になっているのが夕張市の赤字公債発行問題。この事件は企業であれば「粉飾決算」で何人かは下手すると刑務所行きというべき事案のはずなのだが、どうも責任があいまいになっている。少なくとも(元)市長と助役、北海道庁の関係者数名についてはきちんとした責任(減給とかそういう甘いものではないのですよ、この事件の本質は)をとってもらわないといけないと感じているのは私だけでしょうか?

ちなみに、ある欧州系の外銀で地方公共団体向け融資にノウハウのあるところが日本の地方公共団体向けの市場(もちろん倒産法制の整備をにらんで)にまもなく進出してくる。地銀はますます大変な時代になるだろうと想像してます。

おまけ:やはりここまで来てしまうと最後はどこが先に手を引くかという「地銀」ゲームになりそうです。というわけで、今回のお写真はチキンでした。
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内 容 ニックネーム/日時
すでに2年ほど前からFSAが地銀に対して、公営企業・病院に対する与信管理を強化する指導を行っており、地銀の融資姿勢も厳しくなってます。自治体向け融資に関しては、総務省が自治体の破産法制の立法に着手していますが、最近の報道では総務大臣の諮問機関である地方財政再生研究会(座長は北大の宮脇教授)は、自治体の債務不履行を実質的に認め、地方債・債権の「棒引き」を認める債務調整制度の導入が盛り込まれる方向で調整が始まったそうです

地方債においても、海外のように自治体ごとに格付けされたり、スプレットの拡大が予想される時代になるというのはちょっと感慨深いものがありますが、政府系金融機関再編問題も会わせて、自治体向け融資は面白そうな時代に入るんじゃないかと期待しています
von_yosukeyan
2006/11/03 20:36
von_yosukeyanさんコメントありがとうございます。オーバーバンキングの問題についてはあなたが以前本石町日記さんの記事に関連して触れておられるのを発見しました。失礼しました。本文に勝手にリンクを張りなおさせていただきましたのでご了承ください。
もともと外債畑の自分にとって国内債券市場での自治体の統一発行条件という制度はきわめて「新鮮」に映ったものですが、今後自治体の破綻が現実問題となって発行条件がきちんと信用力を反映するまでには、今の金余りが解消しないとしばらくは無理かもしれませんね。
厭債害債
2006/11/03 21:46
リンク有難うございます。運用難の一因としてオーバーバンキングは無視できないですね。かつての資金不足の時代は、預金吸収の拠点として各種形態の金融機関が全国を細かく網羅したのは理にかなったのですが、預金超過となった今、さらなる競争主体の絞り込みは必要かもしれません。ただ、あまり集約すると、地域的に寡占の弊害から貸し手優位になるリスクがあるので、要注意でしょう。今後ともよろしくお願いします。
本石町日記
2006/11/03 21:48
本石町さんこちらこそよろしくお願いします。おっしゃるとおり、あまりに貸し手優位の状況はよろしくありませんね。ただ以前一部の外資が取り組んだように旅館を再生させるとかいろいろなやり方が考えられ、資金の供給元が「多様化」(数ではなく)すればそれなりに将来性のあるビジネスに対する資金供給が途絶えることはないと期待しています。
厭債害債
2006/11/03 22:01
はじめまして。今回の一連のFSAの検査は結構わたくしの業務に直撃していまして(苦笑)けっして他人事ではないのですが、同僚の一部には今回の一連の圧迫検査はオーバーバンキングの是正が深遠な意図としてあるのではないかという者もいました。
日本橋ふぁんど日誌
2006/11/03 22:45
日本橋ふぁんどさんどうもコメントありがとうございます。FSAの検査の厳しさ(細かさ)はわれわれの業態も含んでいますので、他人事ではありません(同じく苦笑)。金融危機後の金融庁組織の過剰な充実の結果だという説もありますが。今後ともよろしくお願いします。
厭債害債
2006/11/03 23:33
リンクに関しては、私も以前害債さまのエントリにリンクした記事を書いている(http://slashdot.jp/~von_yosukeyan/journal/379110)ので、お気になさらないでください(その節は失礼致しました)

銀行によっては、自治体向け融資に積極的なところもありますが、シンジケート団に参加している銀行の中には、独自の与信調査で融資を渋っているところがあったりして、都銀と自治体の間でも微妙な温度差があるところがあるようです。ただ、現実には仰るとおりサプライサイドの運用難という事情と、公金事務などの長年の関係から簡単に抜けることができないわけで、なかなか大変そうです
von_yosukeyan
2006/11/04 00:10

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