厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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zoom RSS 本日の日経金融新聞一面記事(みずほ増資)について(続続ハイブリッド証券のプライシング)

<<   作成日時 : 2007/01/10 23:44   >>

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ひさしぶりに豪快な記事だ。一応3%がプライシングとして妥当かどうかという議論はここではおいておくとしよう。しかし次の記述はいただけない

「12日にみずほが私募発行する証券は2016年まで年2.96%の固定利回り。みずほの財務はダブルA格への復帰をうかがうところまで改善している。十年国債利回りが1.7%台にとどまっている金利情勢を考えると、生保にとって魅力的だ。」

冒頭で「優先出資証券」と書いてはいるものの、この記事で当該証券の内容の説明はこの部分だけである。これを読んだ人で「優先出資証券」に正確な知識のない人はまずほとんど、みずほが10年満期の年利2.96%の債券を発売したと思うに違いない。それなら私も私財をなげうって買う。でも実態は相当異なる

まず「固定利回り」という表現は完全に間違いである。これは配当の上限という性格である。この2.96%は配当可能利益が十分にあるときしか出せないルールになっているため業績が悪化した場合はこの配当率は支払われない。逆にいくら業績がよくてもそれは普通株の株主への配当に回るだけで優先出資の出資者には配られない。この優先出資の投資家は一種のコールオプションを売っている状態。

つぎに「2016年まで」とかいているだけなので、この証券の実態が永久債ないし期限の定めのない証券であることがことさらに覆い隠されている。厳密に言えば10年後つまり2016年に発行者側(つまりみずほ)のコールオプション(その時に償還を選ぶ権利)がついているのだが、コールしなくてもその後の配当上限レートつまり2.96%は上昇しない。つまりみずほ側にとってコールオプションを行使して償還させるインセンティブはなにもないのであって、それがゆえにこの証券によって集められた資金がBaselIIのTier1としてカウントされるわけである。みずほにとってこの2.96%は払わなくてもデフォルトにならないし元本も未来永劫返さなくてもいい。ここがみそ。

さらに問題なのはこの証券を「みずほの恩返し」などと書いていること。たしかに一部生保が争奪戦を繰り広げたのは事実だが、それはこの利回りが投資セオリーから魅力的だからではない。あくまでみずほ銀行が商品の窓販ルートとして戦略的に重要だから、「恩」を売る意味があったからだ。この発行条件を「恩返し」とおもっているのは発行者のみずほだけだと思う。保険が売れなくなってきている生保にとって窓販販路は死活問題であり、この商品を通じてなんとしてでも恩義を売っておきたかったのだろう。その足元を見たのがこの優先出資だ。すでに過去のエントリーで書いたように、優先出資レベルの配当利回り水準設定について、きちんとしたセオリーはまだ確立していないはずだ。

この記事の結論、すなわち体力の回復したメガバンクが優位に立ってこういう商品を出している、というポイントは正しいが、細かいところはもっと勉強して欲しいと思う。

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