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zoom RSS 犯罪被害者の裁判参加制度‐ちょっと行き過ぎ

<<   作成日時 : 2007/02/07 23:56   >>

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070130-00000102-mai-soci
(以下はリンク切れに備えて記事のコピペです)。
法制審議会(法相の諮問機関)の刑事法部会は30日、犯罪被害者が刑事裁判の公判に出席して被告への直接質問などができる「被害者参加制度」や、被害者が刑事裁判に併せて被告に損害賠償を請求できる「付帯私訴制度」の導入を柱とする要綱をまとめた。05年12月に閣議決定された犯罪被害者等基本計画に基づき、法務省が具体案の検討を諮問していた。政府は今国会に刑事訴訟法などの改正案を提出する。
 被害者参加制度が導入されると、被害者や遺族、被害者の委託を受けた弁護士に(1)公判への出席(2)被告人質問(3)情状証人への尋問(4)検察官の論告に相当する最終意見陳述――などが新たに認められる。被害者側が、公判の進め方などについて検察官に意見を述べ、説明を受けることもできるようになる。
 被告人質問は「被害者が意見陳述をするために必要な場合」に、証人尋問は「情状について証言の証明力を争う場合」に認め、被害者側は事前に検察官を通じて質問・尋問事項を明らかにする。また、処罰感情などを述べる従来の意見陳述に加えて、検察官の論告と同様に、被害者側が起訴事実の範囲内で事実関係や法律適用についての意見を述べられる最終意見陳述の手続きも新設する。

 被害者参加制度の対象事件は▽殺人や傷害など故意の犯罪行為で人を死傷させた罪▽強制わいせつ、強姦(ごうかん)罪▽業務上過失致死傷罪▽略取、誘拐、人身売買罪――など。参加を希望する被害者は、検察官を通じて申し立て、裁判所が許可する。
 一方、付帯私訴制度では、刑事の有罪判決が出た後に、同じ裁判官が引き続いて民事の審理を行う。口頭弁論を開く必要はなく、非公開の「審尋」と呼ばれる手続きも可能。4回以内の簡易・迅速な審理で賠償額を決定し、決定に不服がある当事者が異議を申し立てれれば、通常の民事訴訟に移行する。
 刑事裁判の証拠を利用して損害賠償額を認定する付帯私訴制度は、被害者側の立証負担が軽くなる利点がある。対象事件は被害者参加制度とほぼ同じだが、業務上過失致死傷罪については、過失の割合などの審理が長引く恐れがあるため、対象から除外した。
 要綱はこのほか、民事訴訟を起こすために必要な場合など「正当な理由がある場合」に限って被害者側に認めていた公判記録の閲覧・謄写の要件を緩和し「不当な理由である場合」以外は原則として認めた。また、性犯罪被害者らのプライバシーに配慮し、公開の法廷で氏名を明らかにしない措置を法律に明記する。【森本英彦】
 ◇要綱の骨子
・犯罪被害者や遺族に、公判への出席や被告人質問などを認める
・刑事裁判に併せて被害者側が損害賠償請求できる付帯私訴制度を導入
・被害者側による公判記録の閲覧・謄写を原則として認める
・性犯罪被害者らの氏名を公判で明らかにしない措置を法律で定める

(毎日新聞インターネット版)


私も日本で犯罪被害者が理不尽に虐げられていることについて憂慮するものです。しかし、この制度はいけません。裁判員制度と組み合わされた場合、どういう情景が法廷で繰り広げられるか容易に想像がつきます。

最大の問題は、憲法上保障されている被告人の「推定無罪」との関係です。つまり、裁判で有罪が確定するまで被告人ですら無罪の推定を受けるということで、推定を覆すのが証拠に基づく裁判の判決であるということです。ところがその裁判の法廷で犯罪被害者が被告人と直接対決することになると、相当きつい言葉で(しかも被害者あるいはその家族ですからもう感情はこもりまくってますでしょうな)目の前の被告人を糾弾するに違いありません。そもそも被害者あるいはその家族が、目の前の被告人をはじめから犯人扱いしてくることは明白です。

裁判員はそれを目の当たりにします。そういうことが心証や情状に影響を及ぼさないわけがありません。本来、法廷はきちんとした裁判長の訴訟指揮の下で適切な証拠採用を行い、その証拠に基づいて有罪無罪を判断するものです。ところが被害者が入り込むことを保障してしまうと、明らかに証拠能力を検証されないままパワフルな影響力の強いやりとりが裁判の結果にバイアスをかけることになります。証拠に基づく裁判でなければならないのに、プロでない裁判員はそういうことに影響されてしまう可能性は高いのではないでしょうか?

(追記)推定無罪との関係では「法制審議会刑事法(犯罪被害者関係)部会
第3回会議議事録」(http://www.moj.go.jp/SHINGI2/061114-1-1.pdf)15ページできちんと説明されていました。ここで議論されたのは「被害者」とはじめから規定することの是非で、これは特に問題とはされないようです。ただし、下に書いたように影響を受けやすいという意味での問題は残るのでは?



そもそも、刑事裁判において謙抑的であるのは、昔から権力は乱用される傾向にあったからです。どうしようもなくクロの人間だけきちんと処罰しようという。しかり被害者の参加は、これまで長い時間をかけてつちかってきた、刑事裁判の控えめさをなくすことです。冤罪が増える可能性もあります。

よって、この制度は非常にまずいのではないかと思っています。こういう案を提出しようと思うこと自体、ポピュリスト安倍の最も悪い点が現れたところだと思います。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
はじめまして。
仰るように、最初から被告を犯人扱いする恐れはあるでしょう。また、被告側がノラリクラリと言を左右にして言い逃れる等の際に(これは被告側からすればごく当然のように行われる事でしょう→極端な例では麻原彰晃など)、“質問者”としての被害者側が冷静に対応できるかも疑問です。かえって「嫌な思い」をしたり、「怒りが増すばかり」という結果になりませんか。
被告が罪を悔いているようなケースでも、より激しい言葉で詰め寄ったり、非難を浴びせるだけに終始することもありそうです。少なくとも私が被害者側なら、そうならないと言い切る自信はありません。
Rover
2007/02/08 10:15
Roverさんコメントありがとうございました。まさにおっしゃるとおりで、私も被害者の家族として法廷で被告人に対峙した場合、冷静になれる自信はありません。被害者感情の問題、量刑が軽すぎるという問題は次元の異なるものであり、被害者が直接被告人と対決するような形で解決すべき問題ではないと思います。
厭債害債
2007/02/08 22:55

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