厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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zoom RSS 本日の日経金融記事(「銀行、不思議な格上げ」)について

<<   作成日時 : 2007/03/07 12:43   >>

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きのう格付け会社についてエントリーを書いてあまりにもタイミングがよすぎるので苦笑してしまったのですが、この記事は一言で言えばムーディーズが格付けの枠組みを見直すことで基本的に多くの銀行が相当な勢いで格上げになってしまうという、とても「お」めでたい話。じつは昨日のエントリーを書いてからJPモルガンのレポートを読んで、同じ話が載っていたので(日経金融もこれに触発されたのかな)しつこいけれど書こうと思っていたところでした。
今回の格付け基準見直しは、JDA(ジョイントデフォルト分析)と呼ばれる手法に基づくものだそうで、一言で言えば銀行の発行体債務格付け(財務格付けとはまた別)に、親会社、協同あるいは相互組織、地方や州政府、国といった段階で「サポート」の要素を思い切り加味しようというものです。結果的に最上位の国の支援体制がきわめて重要(そりゃまあ決済システムにかかわるのだから国が支援するのは当然といえば当然)になってきて「銀行の支払能力は単体の能力をはるかに超える」ような評価となる。たとえば過去20年間に預金のデフォルトが無ければそれは政府様のサポートがあるんでしょう、みたいな強引な「みなし」があって、ややこしい銀行ほど一気に格上げみたいなわけのわからんお話になってしまうのです。(たとえばhttp://hugin.info/133924/R/1107821/200031.pdf

細かいことはレポートに直接当たっていただくか、ムーディーズに直接お聞きいただくかしていただきたいのですが、JPモルガンのアナリストたちは極めて辛らつなコメントをつけていて、ようするにこんな形で格上げされた格付けなんぞ役に立たんよ、とほぼはっきり書いています。観るんなら財務格付け(BFSR)のほうを観ろと。

一応ムーディーズの立場として考えられる反論はまさに、シニア債務の格付けというのはまさにそういうサポートを加味すべきだということであり、本当の体力はちゃんとBFSRであらわしている、ということになります。しかし、そもそもこれを見て判断するのは投資家であり、またすでにムーディーズの格付けがバーゼルIIや金融検査などの社会システムにビルトインされているのですから、その影響力は大きいと思います。そういうことが一介の民間格付け代理店の判断で行われるということが問題です。

また、債券市場のベンチマークのなかには格付けで切り分けられるケースがあり、さらに悪いことにそれに対してできるだけトラッキングエラーを少なくするように運用することを命じられた投資顧問会社など多いわけでして、ムーディーズ様におかれては勝手に基準を変えることで、どこぞのややこしい優先出資などまで投資対象になるレベルにバンバン引き上げる片棒を担いでしまわれたわけです。以前のエントリーでも書いたように、メザニンクラスのハイブリッドの格付けが、いわゆるノッチング(シニアから何ぼかノッチだけ格付けが下っちゅうことで手ぇうちまひょ、という感じの格付け)で決められているのだから、シニアの格上げが自動的にメザニンの格上げにつながるはず(違うなら違うって言って!!)。ようするにこれまでちょっと憂いを秘めた深窓の投資家さまに買えなかったものが一気に買えるようになるわけです。

今回のムーディーズ様の意図はもちろん、自分たちに依頼すれば「ええ格付けだしまっせ」ということです。もろビジネス魂胆みえみえで社会の信用秩序を混乱させかねない、このような会社をBISだの金融検査だの公的な基準にビルトインされておられる監督当局からも多少なりともご説明いただかないことには、格付けってなぁに???わたしわか〜んない・・・そんなに簡単に上げられるんだったらいままでがんばってきた企業はどうなんの?みたいな疑問があとからあとからわいてきて収集がつかなくなり、私の酒量がまた増えてしまうのです。アル中になったら責任とってもらいますからね!

米国住宅市場ではバブル崩壊気味で審査基準引き締めでこれからどうなるかというときですが、信用市場ではムーディーズさまの絶妙な味わいのある変更。今後もバブル確変継続という感じで、心臓にも悪いし目つきが悪くなりそうないやな予感がします。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
>疑問があとからあとからわいてきて収集がつかなくなり、私の酒量がまた増えてしまうのです

害債さん、まじめなんだから(笑)お酒はほどほどに〜
ワッショイ
2007/03/07 21:02
ワッショイさん、フォローありがとうございます。でも、今日も飲んだくれてしまいました(笑)。手遅れかも。
厭債害債
2007/03/07 22:38

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