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zoom RSS 中国の新投資会社、ブラックストーンに投資−その影響は?

<<   作成日時 : 2007/05/23 10:15   >>

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中国国家投資公社(仮称)がプライベートエクイティーのブラックストーン社へ30億ドルの投資を発表したことが話題を呼んでいる。もともと、中国は外貨準備運用の多様化と収益性アップを目指していたこともあり何らかの動きがあるとは予想されていたが、いきなりPEですか、という感じである。

[ニューヨーク 20日 ロイター] 中国の外貨準備を運用する新機関は20日、米プライベートエクイティ大手ブラックストーン・グループ(BG.UL)に30億ドルを出資する計画だと明らかにした。間もなく設立される同外貨投資会社は、ブラックストーンの議決権なしの普通株を取得する。米中両国は今週、第2回米中戦略経済対話を控えている。
 中国の新投資会社は、予定されているブラックストーンの新規株式公開(IPO)が完了し次第、直ちに発行済み株式の10%未満を取得し、少なくとも4年間は保有する計画だとしている。
 新機関の作業部会の責任者を務める楼継偉氏は「国家投資会社の最初の投資先をブラックストーンのような評価の高い会社にできることは非常に喜ばしい」と述べた。
 中国は3月、1兆2020億ドルに達している外貨準備について、リターン拡大とリスク分散を目指し、その一部を運用する新たな機関を設立すると発表した。
 新機関の運用規模について、中国国営メディアはこれまで、最大2000億ドルとなる可能性があると報じてきた。エコノミストの間では、その2倍に上るとの見方もある。
 ニューヨークを拠点とするブラックストーンは、巨大な企業を非公開化する手法で知られる。3月には、40億ドル規模のIPOを実施し、株式の一部を公開する方針を明らかにした。
© Reuters 2007. All Rights Reserved.

もちろん多くの人が指摘しているように22日からの米中戦略経済対話会議への手土産、つまりちゃんと貿易黒字を溜め込むだけではなく還流も考えてますよ、というメッセージではあるのだが、もともとこの資金が外貨準備であることを考えると、これまでのやり方を踏襲する限り多くが米国債に投資されてきたはずだ。それを積極的にPEの会社に投資するというところにちょっとした変化を感じる。これと時を同じくして日本の塩崎官房長官が外貨準備の収益性といったことを言い始めたことは偶然ではないだろう。

いろいろあたっていたら、国会図書館の渡瀬義男さん(財政金融調査室専門調査員=当時)が「外国為替資金特別会計の現状―日米比較の視点から―」というペーパーを「レファレンス」の2006年12月号に掲載されておりここでこれまでの外為特会運用をめぐる議論がいくつか紹介されていた。
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/refer/200612_671/067103.pdf)、
孫引きで恐縮だが、行天豊雄氏は、買ったドルの大半が米国国債に投資され米国金利を低位に抑えることで消費を刺激し結局米国の輸入と日本の輸出を支えていることを指摘している。実を言うと最近のラッカー、リッチモンド連銀総裁の発言からもわかるようにアメリカは生産性の上昇の限界に気づき始めており要するにインフレの限界点が低くなっている可能性がある。この中でマーケット要因によって長期金利が人為的に低く抑えられていることは一つの問題として捉えられているのではないだろうか?逆イールドの状態が長く続くことは長期金利に連動する住宅ローンや企業のファンディングコストを安くし、これらの階層に必要以上のメリットを与えているのである。本音としては消費を少し抑えてインフレ懸念を抑制し、短期金利を上げなくてもすむ状態にして順イールド状態にして銀行などにも余計なリスクをとらないで済む状態を目指しているような気がする。

米国中長期金利にとってのインプリケーションはそれゆえ明白であろうと思われる。中国の新投資会社は2000億ドルとも4000億ドルともいわれる額を運用するといわれるが、これらこれまで当然のようにほとんど米国債に流れていたものが、いきなりPEとかリスク性の資産にシフトする。趣旨からしてトレジャリーにはほとんどいかないと考えるべきだろう。そして日本が収益性を言い始めたことは、これも少なくともトレジャリーの買い入れを減らすいうことになる。これまでの好需給の一部が崩れることが予想される。

さらに中国の新投資会社は商品も買うかどうか検討中とも言われる(The Wall Street Journal, May 21. 2007)。戦略的にコモディティーを確保したいということなのだろうが、やっぱりインフレ要因であり、金利には上昇圧力がかかるだろう。

ここで注意すべきは金利上昇はクレジットリスクにとってきわめてネガティブな影響を与えやすいことである。サブプライムの問題も米国が短期金利を継続的に5%台に引き上げてその結果生じた問題(というか当然の結果)である。今後長期も含めて金利が上がってくれば、現在ゆるゆるのクレジット市場に何らかの影響も出るだろうし、住宅ローンにもさらに影響が出るだろう。

いろいろ考えると、中国の今回の行動の意味は大きいと思う。

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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
日本の事を勉強したくてメールしました
円高は日本にとってどう影響するのでしょうか
日本の経済の仕組みがいまいち解らないのですが
良ければコメント下さい
こんにちは
2007/05/23 11:39
こんにちはさん、こんにちは(笑)。文面から察すると日本にお住まいの方ではないのでしょうか?円高の日本経済への影響は、どうして円高になるのかまで含めて考察すればそれだけで大論文がかけそうなテーマだと思うのですが、最もわかりやすい例として、日本の輸出企業が輸出商品の代金をドルで受け取ることが多いようで、円高になれば円での受取額が減り、企業の収益が落ち、景気に悪影響を与える、というのがあるでしょう。
一応いまだに日本は多額の貿易黒字や経常黒字をだしていますから、国全体としては円高は経済成長にマイナス要因となりますね。
一方でブランド物などの輸入品は円高になったら易く買えるし、海外旅行も安くいけるし、個人レベルでは円高を喜ぶ人はいるかもしれませんね。
ま、専門的にはぜひ大学で勉強をしてください。私は経済学は本当にだめですので(汗)
厭債害債
2007/05/23 23:18
有難う御座いました、
来月から中国・北京の生活が始まります。
また日本にも来ます、
有難う御座いました
こんにちは
2007/05/25 07:24
タイムリーに、ウォールストリート日記さんも言及されてますが、1年ほど前に読んだWSJの記事を読む限りだと、中国やアジア系の外貨準備はワリとMBSやCLOに投資されてたと記憶しているので、トレージャリーに投資する場合よりも金利を低く押さえる効果があるんじゃないかと思います

外交的手土産といえば、プラントや航空機が相場と決まってると思うんですが、PEの株式に投資するってのはどうなのかなぁと。外貨準備じゃないですが、最近CITIC関係者が個人で南アフリカ系(英資本)の資源企業の株式を大量取得してたり、ドル以外の資源系資産投資も活発化してますが、コモディティに直接投資といわれると?? って感じです
von_yosukeyan
2007/05/27 00:12
von_yosukeyanさん、どうもです。確かに以前から東南アジアを中心とする中央銀行系のMBSやABSなどは盛んでしたね。ただ、MBSにしてもCLO、CDOにしても債券関係ということで、それへの投資はたしかに金利を下げる方向に向かうのですが、今回はPEですから(金余りという方向性は同じでも)エクイティー方面で、むしろ株高を演出しやすく一方で金利商品への投資が減るという意味でやはり微妙に金利上昇要因ではないかと。あるいは、インフレなどのファンダメンタル要因で金利が上がることを見越してそういう方向に投資しているという見方も成り立ちます。
いずれにしても、コモディティーなど買いあさられた日にはたまったものじゃありませんね。
厭債害債
2007/05/27 20:25

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