厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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zoom RSS 金利で気になる幾多のきざし

<<   作成日時 : 2007/06/21 17:51   >>

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私が別のところに書き散らしたものを見たNYの元部下(アメリカ人)が、オマエはどうしてそこまで米国金利にベアなのか?と聞いてきました。彼はアメリカ景気についてかなり慎重な見方をしていていずれ株式市場の期待感もはげるだろうと思っており、そうなればまた金利は買われて低下するのではないかと見ています。

実は私と彼との見方に本質的な違いはありません。ただ私の場合はまず米国長期金利が予想外に上昇し、その結果株が大きく調整し、結局にわかに利下げ期待となり少なくとも短期金利は多少低下するとみています。

私がこう見る理由は大まかに言って3つあります。
1.米国10年金利が5%を越えたことで、市場でのレンジ感が完全に修正されました。日本でも最近にわかに社債の発行が増えていて明らかに金利上昇前の駆け込みです。当然米国でも同様のことが起きる可能性があり、需給がさらに悪化します。

 最近まで米国企業は株価維持のために、自社株買いなどを増やしてきていますが、一部の企業にとってそれは必ずしも自己資本を使ったものではなかったようです。低金利環境と低信用スプレッド環境を利用して安いコストで調達した負債で株を買い戻す。こうすることでWACC(加重平均資本コスト)を減らし、株価分析上有利なバリュエーションを得ることができる=株価上昇となるわけです。ちなみにWACCとは株価評価につかうDCF(キャッシュフロー割引)法で将来キャッシュフローを現在価値に割り引く際に使う割引率で、企業の負債コストと株主資本コスト(通常市場の期待収益率)の残高加重平均であり、市場金利が低い状態では負債を多く持つほうが低くなります。そのかわり金利が上昇してくるとこのレバレッジが逆に働くわけです。株式市場の期待収益率が落ちる一方で負債コストが増大し、レバレッジの高い企業の価値評価がスパイラル的に落ちます。
ホームデポなどではすでにCDSのスプレッド拡大が見られているという報告もありました。

 ちょっと話が飛びましたが、いずれにしても金利が上がりきらないうちに調達しようという気持ちが強まると思われ、債券市場の需給の悪化要因となります。


2.サブプライムやMBS(住宅ローン担保証券)の先行きが極めて不透明であること
昨年、一昨年あたり外国中央政府や日本の銀行などからの投資でMBSへの投資が急増しています。すでにご案内のとおり、MBSはネガティブコンベキシティーの商品であり、金利が上がるとトレジャリーを売ったりスワップを払ったりするというヘッジが必要になります。要するに金利ポジションが金利の上下によって伸び縮みするわけでそのデルタヘッジが必要になります。従来より飛躍的に膨らんだMBSのポジションをヘッジする際に従来よりも飛躍的大きな売りが必要になることは言うまでもありません。
さらに「投げ」もはいってくるとますます需給が悪化します。

3.各国中央銀行の投資行動の変化

 ここもとの金利変動で中国の名前を良く聞きますが、2ヶ月続けて中国からの米国債投資が減っているうえ、入札の間接比率も落ちています。海外資金の好循環というものに陰りが出始めているものとおもわれます。(とはいえまだ高水準であることには変わりないのですが)。


ここで気になるのが、これらの金利上昇要因が極めてテクニカルであるということです。すなわち、将来はともかくとして、目先コアPCEデフレーターもCPIも落ち着いている中で長期市場金利だけが上がるということはコア実質金利の上昇となり経済にとって大きなマイナス要因となります。そして企業の予想収益が下方修正されれば予想PERが上がりその逆数である益利回りが低下する。今はまだ気にするほどではないですが、長期金利急騰と予想収益の低下が同時に来ればいわゆるイールドスプレッド(金利と益利回りの差)でみた株の割安感は大幅に減ります。

但し、忘れてはならないのですが、歴史的にはまだまだ株は割安だということです。表面金利ベースで見たらわかりにくいのですが、実質金利ベースで見たイールドスプレッドは歴史的な株の割安を示しています。

さて、一つ注目しておいていただきたいのは米国3ヶ月短期証券(いわゆるTビル)の利回り。この米国長期金利急騰場面でなんと逆行して下がり、一時4.5%近辺まで落ちました。この結果みごとにイールドカーブは順イールド化しました。

ここで業界のかたがたには??となるはずです。そもそもFFレートの先物は年内利下げなど織り込んでいない。つまり翌日物金利は年末あるいはそれ以降も5.25%であろうといういうのがコンセンサスなのです。いわゆる極端なFlight to qualityの結果だと理解していますが、それにしても、政策金利変更を伴わずカーブが「正常化」したのは歴史上(1954年以降)はじめてだとブルンバーグの記者が書いていました。

これもいわずもがなですが、これほどまでFFレートと3ヶ月Tビルとの金利差が開くのは過去を見てもそれほど多くありません。そのうち一度は例のLTCM破綻事件のとき。このときは緊急利下げにつながりました。中国が長期債を売った滞留資金を置いているという可能性もありますが、今回も長期金利の動き次第ではまだ波乱が予想されます。


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