厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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zoom RSS 米国長期金利5%の含意

<<   作成日時 : 2007/06/06 11:35   >>

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ここに示した図だけを取り上げてどうのこうのというわけではない(というかご判断は各自で、ご利用は計画的に…)のですが、5%の米国10年国債金利というのもちょっとクリティカルなところであることには違いなさそうです。

最近ここまで急激な金利上昇が見られたのは、私の意見では一言で言うと参加者が「需給を甘く見すぎた」というところに尽きるだろうと思います。FEDの金利引下げ観測の後退を言う人もいますが、まあそれは多少あるにせよワタクシにいわせればもともとFEDの言葉をちゃんと聴いていればそんな引き下げ観測みたいなものはどこにも無かった、というべきでありまして、いろいろな意味で内外投資家があまりのレンジ感から買い持ちを溜め込みすぎたということです。

ここで気をつけなければならないのは、きわめてテクニカルな要因ですが、モーゲージ証券(住宅ローン担保証券)投資におけるコンベクシティーヘッジの動きです。すでに4.9%あたりで相当出始めました(先週の雇用統計の数字が製造業がマイナスを続けるなどそれほどすごく景気のいい数字で無かった割に金利が上がったのはそのせいでしょう)。節目節目ででるものですので、5%になったときどういう動きをするのか、非常に興味のあるところです。
業界のかたがたには釈迦に説法ですが簡単に説明すると、住宅ローンは金利が上がると借り換えが進みません(あるいはできません)ので既存のローンの期限前返済が減ります。低水準の金利のときに前提としていた期限前返済(繰り上げ弁済)の数値が減ることで、そうしたローンを集めてプールにしているモーゲージ証券(パススルー)の平均的な満期までの期間(平均残存)が延びてしまいます。モーゲージ証券の投資家の狙いは同年限の米国債よりも利回りが高い(スプレッドが乗っている)ということですから、基本的には銀行やファンドなどは米国債やスワップでヘッジをして利ざやを確定するわけです。ところが予定される満期が延び縮みするというこの証券の特徴(ネガティブコンベクシティー)により金利が上がれば上がるほどデュレーションが伸びるため金利が上がれば上がるほど金利への感応度が高くなる(すなわち金利リスクのポジションが大きくなる)のです。したがって、この商品への投資によって利ざやを確保したい投資家は、金利が上がるにしたがって長期の債券を売ったりスワップを払ったりするということになるのです。

そういうテクニカルな要因を別にしても5%という水準はチャートでもわかるようにある意味で80年代後半からの長期の金利低下傾向をブレークしてしまうポイントとも考えられます。個人的な意見ですが、過去20年の金利低下の傾向は「平和の配当」と「フロンティアー開拓」の結果だったと思います。少なくとも、90年の東西ドイツ統合、91年のソ連崩壊から冷戦維持のコストは大幅に減り、軍事関係で働いていたロケットサイエンティストが大挙して金融界に流れ込み、リスク管理の方法を精緻化させた。その結果いろいろなところで要求されるリスクプレミアムは傾向的に減っていったのではないかと思われます。もちろん途中ではいろんな金融危機もスキャンダルもありましたが、市場金利の代表でもある米国の長期国債金利がこのようなクリアな傾向をたどったことは特筆に価します。
さらに、経済にこれまで以上に目が向くようになって、アジア、米州などで貿易上の結びつきが強まりました。なによりも1999年にはユーロが生まれ、欧州が経済的に一つになるという画期的なことが起こっています。この中で先進国と呼ばれる国々が発展途中にある周辺の国々(アジア、東欧、中南米など)の安い人的物的資源をふんだんに利用することが可能だったわけで、それを使い続けた結果が低インフレの維持を可能とし、債券の利回りの傾向的低下を下支えしたということになります。

ところが、植民地時代ように力で宗主国が発展途上国を抑えられる時代ではない。やはり発展途上国の経済も当然この結果立ち上がってくるわけで、その結果資源の需要が高まり、さらにイラク戦争を米国が仕掛けた結果民族主義と資源が持つ戦略的意味とが融合してどうも厄介な状況になっています。先進国はかつてのように自由に安い資源をふんだんに使える状況ではない。政治的な石油ショックではなく、まさに需給を背景にした売り惜しみ見たいな事ができる時代になっているということです。しかも中国のように資源と人口と核兵器を併せ持ったスーパーパワーが台頭してきています。今後米国の覇権に大きな脅威であることは間違いなく、米国の覇権を前提とした経済構造は大きな見直しを迫られると思います。

今回私が得た情報では、米国の投資銀行の間で金利引下げ見通しを撤回するところが相次いでいるようです(遅いよ…)。
ただ、どうでしょうか?逆に長期金利が5%を越えてきて、米国株は無傷でいられるでしょうか?ほかのリスク性のアセットはどうでしょうか?そもそも住宅なんてますます悲惨な市場になるんでは?
と考えると、私なら今こそ来年の米国政策金利引下げの見通しを出しますけれどね。ドルについても、ロングとってる場合かなぁと。

まあ個人的な予想では一旦抜けるけれどさすがに短期的に売り込みすぎでまた4%後半まで戻ると思っています。あくまで短期的には…です。書いたように今後傾向は少し変わっていくのだと思っています。

まあ勝手な戯言ですので…
(ていうか、こんなこと書いている暇があったら自分とこのポートのヘッジ考えろというツッコミはきわめて正当です)。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ご指摘のシナリオには共感します。私のエントリーで紹介させていただきました。
本石町日記
2007/06/09 01:07
本石町日記さん、おとりあげ頂き恐縮です。市場参加者の間では、なんとなく久しぶりにボラティリティーが出てきたことでうれしそうな人々も多いので複雑な心境ではありますね。
厭債害債
2007/06/10 17:29

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