厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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zoom RSS 売れ残る社債

<<   作成日時 : 2007/07/26 05:05   >>

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年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF=旧年金福祉事業団)が国内債券のベンチマークを「NOMURA−BPI総合」から「NOMURA- BPI国債」へと変更するようだ。21日の日経には社債への投資をやめるようなニュアンスで書かれていたように思うが、厳密にはパッシブ部分の(しかも新規資金に限った)ベンチマークの変更であって、アクティブがまったくなくなるわけではないと思う。とはいえ、記事にもあったように資金量が巨額なこの主体がベンチマークにあわせて社債を購入してきた結果日本の社債市場における価格形成がゆがんだという反省があったのなら、注目すべき政策変更である。債券市場全体の需要が変動するわけではないが当然のことながら社債スプレッドにとっては拡大要因である。

もうひとつ重要な意味合いは、当然期待収益率(少なくとも利回りに限って言えば)の低下をGPIFが甘受するということである。収益性を多少犠牲にしてでも市場の秩序に配慮する、これは機関投資家、年金基金としては正しい配慮だと思う。短期的には良いかもしれないが、中期的に市場のディシプリンそのものに大きな悪影響をあたえるような安易な利益至上主義は、その主体が大きければ大きいほど慎まねばならない。裸の自由放任がワークするほどまだこの世の中は洗練されていないと思う。


投資家としてこれまでの極端な信用リスクプレミアムの安売りを苦々しく思っていた立場としては、ようやく正常化への一歩が始まったということで注目しているが、日本の社債市場はまだまだ銀行などの買い手が多く、スプレッドの拡大はそうは大きくならないと見ている。しかしちょっと前まではオファーシートにほとんど売り物がなかったようなマーケットだったのが、最近ではピカピカの優良銘柄が売れ残る時代になってきた。機械的にクレジット物を買うような動きが収まれば、投資家と発行体との間のきちんとした目線が定まってくるはずだ。


海外でも興味深いニュースが散見される。ゴールドマンやJPモルガンなど大手投資銀行がLBOがらみの社債販売に失敗し自分たちで引き受けざるを得なくなって苦労している、という話である。額が巨額すぎるのと最近の米国のサブプライム問題に端を発した信用スプレッドの全体的な急拡大をうけて、含み損も相当な額になるらしく、ゴールドマンやJPモルガン自身のCDSプレミアムが急拡大しているようだ

以前にも書いたが、米国においてもこうしたハイレバレッジの案件への厳しい見方が出てきている。長期金利が5%を超えたことがモーゲージのトリガーをひき、クレジットクランチの連想を呼び信用リスク全般への厳しい見方へとつながったのだと思うが、これは長期金利が再び5%を割り込んだからといって収まるものではない。金融市場というのは信用そのものであるが、一度失われた信用というのは取り戻すのは結構難しい。今回は多くの人が広く浅くかかわっているだけに、時間のかかる話だろう。


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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
>裸の自由放任がワークするほどまだこの世の中は洗練されていないと思う。

ハイエクやフリードマンが夢想した世界は確かに魅力的かも知れません。けれど、今の日本の株式市場は下手をすればその理想から最も遠い位置に存在しているのかもしれません。
僕はそのくらい厳しい認識を持ったほうが良いんじゃないかと思います。
kazzt
2007/07/26 16:03
kazztさん、コメントありがとうございます。価格決定メカニズムを通じた「自生的秩序」は、金融とか商品とか限られた市場の中ではありかな、友思うのですが、実はその波及効果はそれ以外の分野に及ぶのであって、そのことを無視してはいけないのだと思います。多くの人々はそれを経験的に理解しているわけですが。
厭債害債
2007/07/26 18:32

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