厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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zoom RSS 円安の功罪についての追加的考察

<<   作成日時 : 2007/07/07 20:52   >>

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以前に円安と金融政策についてちょっと書いてみたけれど、最近西村日銀審議委員がブルッキングス研究所で行なった講演でも円安について触れられていたので、改めて考えてみた。
まず第一に円安というか最近の為替相場の見方についての西村氏の考えは正しいと思う。為替相場の決定要因でいう、アセットアプローチが有効な状況である。1500兆円の半分以上が預貯金でわずか数パーセントが外貨建て資産であった状況から、家計が大幅なアセットアロケーションの変更を始めているのである。年間30兆円ぐらいのお金が外貨建て投信に流れた去年の勢いがそのまま続くかどうかはわからないが、今は少なくとも貿易黒字を補うだけの資産購入が行なわれている。多分個人の方は意識せずにやっていると思うが、ボラティリティーの減少でリスク許容度が高まっている中での高収益資産へのシフトは理にかなったものである。
第二にこの円安がどこまで行くかということだが、家計全体として満足の行く収益率をもたらすアセットアロケーションがゴールになるだろう。貯金や国内債券の利回りの低さに辟易した期間があまりに長かったため、ちょっとのことではお金は国内に戻らないと考える。最終的には家計資産の10%すなわち150兆程度が一つのめどになるのではないか(根拠は無いけれど)。しかも、数年間の成功体験がある。だとすれば、あと2−3年は資金の国外流出が続くのではないか。

更に円安がつづいたら、日本の社会が劇的に変わって行くのではないかとおもう。すでに多少影響が出ているが、弱くなった円では海外のものを買う時に海外勢に買い負けする。とりわけ、これまでふんだんに輸入できてきた美味しい食料品が手に入りづらくなる。もしかしたらこれまで無視されてきた国内一次産業が復活する可能性がある。つまり値段が上がれば、それなりに自力で作る意味も出てくるのである。

思い出すのは原油価格上昇が始まった後の2004年ごろだったか(ちょっと記憶が不正確)グリンスパン元連銀議長がNYのエコノミッククラブで行なった講演である。グリンスパン氏は石油価格の上昇は、新たな石油資源の開発や産出の技術革新を通じて経済に貢献するので必ずしも悪いことではないと述べたのである。おそらく当時の状況ではまだ原油価格が物価にダイレクトに響かないという自信に裏打ちされていたのだろうが、それにしても物価安定の守護神としては随分大胆な意見だと聞いていて感じた覚えがある。

日本においても、円安が一次産業の再活性に役立つのであれば面白いと思う。素直な感覚として、自分も含めて金融業に携わる人間がまともな一次産業できちんとやっている人々よりも所得が高い、というのはいずれおかしいと思う時代が来るだろう。経済全体への付加価値を生み出しているかどうか、という観点で見れば、金融に携わる人間はもう少し謙虚であるべきだと思うこの頃である。金融も必要だし、専門知識を持ってそれなりの収入を得るのもよいけれど、自分が儲けるために金融に携わるというのはちょっと違うではないか、とも思ったりする。短期的によいことが長期的によいとは限らない。日産のゴーン社長がいい例だ。

いずれにしても、とことん円安にして、日本の社会がどのように変わって行くかちょっと見てみたいという誘惑に駆られることがある。

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初めまして、

宜しかったら教えていただけませんか。

日本の金利ですけどどれぐらいが水準と考えればよいでしょうか
さとしです。
2007/07/08 22:02
さとしです。さんコメントコメントというかご質問ありがとうございます。あらかじめお断りしておきますが、ワタクシは市場金利の「べき論」には興味がありません。市場金利はまさに市場が決めるべきであり、それはワタクシがどんなにがんばって考えても見極めることが困難であります。
さらに政策金利についてはいっそう「べき論」ではなく政策決定者の意図を汲んで行動するのが投資家の役目だろうと思っています。
その意味では現在の日銀は福井総裁が退陣まえに1%までは金利を上げるでしょう。ただ、今後の経済指標の動きで多少柔軟性を持たせる余地を残していると思いますが、今のインフレの数字は無視する可能性が強いと思っています。
10年国債金利については、インフレに関する議論次第であり、現在のインフレ率を前提にする限り2.3%ぐらいが限度でしょうが、将来のインフレまで強引に価格に織り込み始めたら3%という数字もありえるとは思っています。
厭債害債
2007/07/08 23:07
円安が進むと日本の第一次産業の競争力が増す。この見解に大賛成です。できれば農協を解体してもっと効率の良い株式会社制度の創設に政府は力を注いでもらいたいものです。こういう気持ちではたと見ると,民主党のマニフェストは何なんですか。また,農業補助金制度をやるの???こういうビジョンのないことやっていると,たとえ支持率30%でも与党が勝っちゃうよ。
EURO SELLER
2007/07/09 15:18
EURO SELLERさん、コメントありがとうございます。自分で書きながら思ったのですが、総量としての発展には国土的な制約も多いのでやはり限界はあろうかと思いますが、おいしいお米とか効用の高い木材とかきらりと光る産品の輸出国となりつつ国内にもきちんと供給できる体制ができるのでは、と漠然と考えました。
民主党は相変わらずですねぇ。55年体制の自民党のように様々な利害をおなじ政党が抱え込むことの矛盾はいまは誰でもすぐに気がついてしまいますね。勝っても解体、負けても解体って誰か言ってましたけれど・・・
厭債害債
2007/07/09 19:19

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