厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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zoom RSS スーパーコンデュイット、M-LEC=SIV資産買取機構

<<   作成日時 : 2007/10/16 12:54   >>

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あまり使いたくない言葉ですが、これってやっぱり「飛ばし」じゃないかと思うのです。

まあいまさらワタクシが言うまでも無いのですが、SIVの資産を買い取るために800億ドル(約10兆円弱)規模で設立されるこの機構、このビジネスにかかわっていた米系銀行(シティが中心)に加え欧州の銀行も加わるようです。資金はおそらくはほとんどABCPで調達するのではないかと思われますが、それにどのような信用補完がなされるのかが興味を引くところです(そもそもそれが無ければこれまでのSIVと同じ以下の意味しかないので投資家から資金が調達できないでしょう)。

いまのところ政府(米国財務省)は関与しないといっていますから、民間レベルでの何らかの補完がなされるはずです。もちろん「格付け」だけではなかなか難しいでしょうね、今度は。JPモルガンのアナリストの方は「SIVの投資家に対して信用補完をするため、M−LECによる資産購入額が既存の優先債務を上回ることを確約する」ことになるのではないかと言っていますが、「資金を確保した時点でSIVの資産はM-LECによって市場価格で購入される(この値段はM-LECのアドミニストレーターが決める)」と書いておられ、値段が市場での取引実勢を必ずしも反映していないものとなる可能性があります。時価(現状の投売り価格)でないところで引き取った資産価値を本当に信じてもらえるのかどうか、そこが悩ましいところになるんではないでしょうか?

そもそも論ですが、大体においてマーケットでの取引値段があればそれを時価というのであって(それを否定したら時価会計そのものが吹っ飛びかねない)それ以外の値段で自分たちのコントロール下にある主体が買い取るのだったら「損失隠し」とか「飛ばし」とかいう言葉が一番ぴったり来るはずです。そうやって資産の値上がりとかキャッシュの積みあがり(いつまでかかるやら)を待つつもりのようですが、そういう淡い期待は確実に裏切られることを我々日本人は体で知っているのですけれど。まだまだ覚悟が甘いですね。

昨日のシティの決算に合わせてこれだけ「ややこしい」案件を発表するというのも、当然のことながらそれだけ事態が大変なことだということを再認識する必要があるでしょう。さらに欧州の銀行も参加させられたということは、この案件がLTCM同様、金融システム全体にかかわる話であり続けているという一つの現れであります。LTCMよりもたちの悪いことに、問題が一極集中型ではなく、拡散していることが問題の解決を長期化し困難なものとしていくことは疑いありません。

まだ全貌がはっきりしない中ですがとりあえず思いつくままに。

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サブプライム対策基金設立へ
米大手銀行のシティグループ、バンク・オブ・アメリカ、JPモルガン・チェースは15日、サブプライム・ローン問題に対応するため、共同で基金を設立すると正式発表しました。ファンドの略称は「M-LEC」で、750〜1000億ドル規模になる模様。RMBCなどに投資している運用会社を支援対象とし、買い手がつかなくなった資産を一時的に買い上げ、資金繰りを援助します。 ***♪トバシバイヤー♪ ...続きを見る
歌は世につれ世は歌につれ・・・みたいな。
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実は、崩壊直前にある「サブプライムローン」金融不安
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Financial Journal
2007/10/18 09:54

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コメント(15件)

内 容 ニックネーム/日時
流動性の無い商品は、オファーを上回る量のビッドを出してしまえば、それが時価になるのさ!ノープ!って考えるのは、私のような元トバシ仕組担当だけの発想かと思ってたら(^^) 政策的な買取機構ってのは、現状の価格低下が一時的な需給要因による下落であって、理論値を明らかに下回るという裏づけがあることが必要条件(十分ではありえない)だと思うのですが、今回の機構が現段階でそれを満たしているとは思えませんね・・・
元IB現PB
2007/10/17 08:56
少しづつ足抜きをする準備の一つと考えればないよりあったほうがよいでしょうか。最後には誰かが泣きを見ますがね。個人的にはこのニュースを見てBACを決算前に売ってしまいますた。
EURO SELLER
2007/10/17 23:19
元IB現PBさん、コメントありがとうございます。ABXの低格付けゾーンの価格推移を見る限り「一時的」とはいえないようですし、そもそも根っこのサブプライム層のデフォルト率についてもあまり楽観的な見通しはないようです。

>流動性の無い商品は、オファーを上回る量のビッドを出してしまえば、それが時価になるのさ!

至言ですね。
厭債害債
2007/10/17 23:26
EURO SELLERさんどうもです。そうなんですね。どう見ても最終的な解決ではない。時間稼ぎですね。
ワタクシはもともと
バブルをもってバブルを制す作戦か公的資金投入作戦しかないと思ってましたが、今回のプランは結構どっちつかずで最もまずいパターンかもしれないなぁと思ったり。
厭債害債
2007/10/17 23:29
そうだったんですねー。改めて今回の事態の深刻さを理解できました。わたしのブログ http://d.hatena.ne.jp/uupa/20071018 にも引用させていただきましたが、そうすると、野村は抜け駆けしちゃった形になっちゃいましたね。
うーぱー
2007/10/18 10:59
うーぱーさんこちらにもコメントありがとうございます。野村は巷間で言われるようにCDOエクイティーを売れずに抱え込んだものが飛んだということで、あるいみわかりやすいし抜け駆けというよりプルーデントなマネジメントとして当然のことをしたまででしょうね。格付けに影響が無かったことがなによりも今回での損出しが一回きりである可能性が高いことを裏付けます。しかし、一部の米系など金融機関はあきらかに損の先送りでしょう。
厭債害債
2007/10/18 18:48
最近思うのは、全てが仕組まれているというか、裏方はみんなグルだと思うとつじつまがあうな、、、ということです。

借金? 飛ばせばいいじゃない
政府債務? ドルを刷ったあと戦争やって誤魔化そう
お金が無い? じゃあ日本に圧力をかけて株を仕込もう 第二のりそなをやろう

こういう思考回路をベースにしてどこかで何かが決まり、それを後押しするような要人発言や決定が下されると。

だから投資という人生ゲームの下っ端参加者側の一員として、ちょっとナナメから物事を見て行動しようと思いました。
はま☆すた
2007/10/19 01:07
はま☆すたさん、どうもです。私は必ずしも陰謀史観をとるわけではなく、どちらかというと「ここまで追い詰められた」アメリカというふうにとらえております。かつては世界の警察官の役割に免じて世界が許してきたことがもはやコントロールできる範囲を超えてしまったうえに、それ以外の国が力をつけてしまったということでしょうか。
厭債害債
2007/10/19 12:27
根っからの脳天気野郎アメリカもサブプライムはさすがにバブルを当てて誤魔化すことが出来ないみたいですね。飛ばしもどこまで出来るか・・・・
うーん、世界は多極化するんでしょうけど、農村はグローバルにボロ屑化してしまってそれを有効に止める手段すら無い。エネルギー問題も・・・・環境問題も・・・・人類の問題は本当に山積みだなー。
強欲な貨幣愛を全面肯定していては問題解決は無理ですよ。人間とは何か?なぜ際限なき貨幣愛を持ってしまうのか?経済問題だけで無く、人間そのものとは何か、という問題に真剣に向き合わねばいけないんだと思いますよ。
貨幣愛を脳天気に暴走させることが合理的である訳なんです。経済学が専門性のタコつぼに納まっていては絶対にいけないはずだ。
kazzt
2007/10/20 11:31
害債さん、こんにちは。
ABSは充分にMarketableなのか、という事につきるのだと思います。会計で時価評価が始まった頃からABSの価格には今一つ信憑性がないと言われてたように思いますし(少なくとも市場価格とは言えない)、問題はそのような価格でも決算上も管理上も用いざるを得ない事なのではないか、と思います(SIVのようなビークルも、投資家も)。
M-LECに対しては批判的な見方が目立つように思うのですが、「価格」が万能ではない以上、強引でも何らかの方策は必要な気もします。時間稼ぎが目的?そうなんでしょうね、どのSIVもいっぺんに潰れたら、目も当てられないでしょうから…。様子を見る時間が欲しいというところではないでしょうか。
cedia70
2007/10/21 07:35
kazztさん、コメントありがとうございます。経済学があくまで人間社会を扱うものである以上、人間行動や心理を無視した研究は成り立ち得ないし有害ですらあると思います。
同様に、お金を自己目的にするような経済行動もやはり有害であると思います。Kazztさんのおっしゃる貨幣愛というのも一部に見られてきていることは事実だと思いますが、実はそれを支えているのはたとえば年金のパフォーマンスを必要以上に上げるためにしりをたたく個人だったりするのかもしれません。
厭債害債
2007/10/21 20:12
cedia70さん、ご指摘の通りかと思います。そして市場の価格発見機能が実は思われていたほど十分なものではなかったことが再認識されることで時価主義に対する過剰な思い入れがなくなることは望ましいことではないかと言う気持ちもあります。
ある程度仕方のないやり方とはいえ、ここまでしなければならないほど無理を重ねてきたのですねぇという感じです。
厭債害債
2007/10/22 00:21
>人間行動や心理を無視した研究は成り立ち得ないし有害ですらあると思います。

私は経済学は専門知であるより綜合知であって貰いたいという思いを持っています。
自然科学もそうなのですが、科学化していくことは精密に物事を測ることを可能にするのですが、専門化していくと同時に、総合的な人間知としてとしての力を弱体化させる側面も持っています。
マルクスにしてもケインズにしてもフリードマンにしても、人間はいかにあるべきかに向き合いながら学問を構築したと思います。現在の経済現象をみるとその高貴さを弱体化させているように感じることが僕は多いですね。
kazzt
2007/10/22 10:30
続きです。

>年金のパフォーマンスを必要以上に上げるためにしりをたたく個人だったりする

老後の不安ですか?まさに日本を直撃している問題ですね。江戸時代の職人は「こちとら、宵越しの銭は持たねえんだ」と夜遊びが出来た社会だったみたいです。未来の不安を馬鹿に出来る。今ここを懸命に生きることだけに集中できる。それが出来るほど定常的(持続可能)な社会だったのでしょう。
江戸という町は町民に税金が無く、公共施設は多くは金持ちが作っていました。公共はほとんどボランティアだったのです。いわばリバタリアンの理想以上の社会だったのかも知れません。ただその分東北地方などに大きな負荷をかけたのですが・・・
kazzt
2007/10/22 10:31
kazztさんどうもです。経済学は実験ができないにもかかわらずモデル化したがるという悪い癖があると思っています。おっしゃるように総合的な人間の知恵みたいなものを取り込む努力もなされて入ると思いますが、学問として成り立たせるために一定の犠牲を払っているような気がします。
厭債害債
2007/10/24 01:03

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