厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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zoom RSS 最近いろいろ出ますねぇ

<<   作成日時 : 2007/11/08 18:46   >>

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すがすがしい空気と青空が広がり、すばらしい暴落..もとい行楽シーズンがやってまいりましたが皆様いかがお過ごしでしょうか。マーケットの燃料、昨日はいろいろ出ておりましたね。

まずは為替で中国の外貨準備の通貨構成のお話。全人代常務委員会副委員長様(一応直接通貨管理には関係ないはずなんですが)が弱い通貨の下落を強い通貨の上昇で補わなければならない、っていっただけなんですが、結構騒ぎになりましたね。東京時間でユーロが1.46の大量のストップを引っ掛けてなんだか「久しぶりにいいもの拝ませていただきました」の図でした。で、同副委員長様の否定コメントがぜんぜん否定になっていないところがまた今の流れをそのままあらわしていて興味深いでした。

次に本家本元のアメリカではGMの巨額赤字。4兆円クラスの赤字ってちょっとどうやって出すんだろうという、私ども貧乏人にとってはあまりにも大きすぎてスルーしてしまいたいような数字です。本業は一応プラスとはいえ、会計的要素が大きいらしく、けっきょくのところ米国自動車産業は本業も今ひとつの上に金融子会社でもぼろぼろになって、ほぼ命運尽きた感じがありますね。これだけドル安になっているのだからもはや為替の言い訳もできませんし。シビアな再編は不可避ということでしょうかね。

債券投資家として一番ショックというかワタクシが落ち込んだのは、NY州司法長官クオモ氏が担保となった住宅価値の水増しの疑いがあるとして、ワシントンミューチュアル(WaMu)および政府関連企業(GSE)であるファニメ(FNMA)とフレディマック(FHLMC)に対して召喚状(Subpoena)を送ったというニュースです。です。

ワシントンミューチュアルというのは結構面白い会社で、西海岸のシアトルに本店があるのですが、数年前からNYを中心に東海岸で猛烈な店舗拡大を行っていました。もともと名前からもわかるとおり、相互組織の住宅金融会社だったわけですが、大都市で魅力的なレートとブタの貯金箱のおまけでお客さんを誘って預金を集め、それを高成長中の住宅ローンビジネスに貸し出していたわけです。マネーセンターバンク以外のこうした金融機関にはNYという激戦地で生き残るためには相当の独自性と強い方向付けが必要だったのです。ちなみに私がいた3年ほど前までNY周辺ではかなりの中小金融機関の淘汰が進みました。同じような規模のところを買収した銀行が翌年にはほかの銀行に買収されるといったことがしょっちゅう起こっていて、WaMuはそのなかで生き残り組みだったかなと記憶しています。ほかの小さな金融機関が顧客へのサービスをアップするため利回りの高い証券への投資を増やし、預証率を上げた中でWaMuは比較的がんばっていたとおもいます。

今回の疑いは、WaMuが不動産評価会社と結託して評価額を吊り上げ、それをベースにファニメやフレディマックにローンを買い取らせたのではないか、というもの。ほかにも多くの会社がやっていたという疑いを抱いていることを同司法長官は匂わせているようです。
政府関連企業であると同時に民間企業であるFNMAとFHLMCは、発行残高7兆3000億ドル(およそ825兆円)の米国住宅ローン担保証券の約半分を保有したり保証しているうえ債券発行残高は合わせて1兆7000億ドルほどあります。政府の保証は公式に否定されているにもかかわらず、彼らは連邦法上の設立準拠法を持ち色々と議会等の監督をうけるため、おそらく多くの投資家が「準政府」としての扱いで債券を買っている。その債券の一部であるところの住宅ローン担保債券(パススルー)の裏づけとなっている住宅の評価額が水増しされていたということになれば、それは相当大きなショックとなります。

FNMAやFHLMCは海外投資家の多くがこれらの機関を準政府扱いにしてきたことで、米国の赤字ファイナンスに大いに寄与してきました。民間企業でありながら(つまり財政赤字にカウントされない形で)海外からの資金調達が政府並み(とはいっても多少のスプレッドは払うのですが)に出来る。その資金は住宅市場を通じて米国経済をこれまで大いに潤してきたはずです。彼らのステイタスは、投資家の立場でこんなこと言っちゃぁいけないんですが、本当は普通の人なのに投資家たちが勝手に偉い人に祭り上げてしまっているような、そういう状況であります。投資家が自分で自分を納得させるためにGSEとか言う特別扱いカテゴリーを作っているという趣があります。政府はわずかな資本を入れており議会の監督も受けますが、純粋に民間企業というのが公式見解なのです。

これらの機関の信用が落ちてしまうと、GSEこれまでのようには買えない投資家が増え、米国のファンディング能力はかなり落ちると思います。その結果資金の流れが想像以上に滞り始めるという事態が予想されるからです。

もう一つこの問題が「痛い」のは、この事件により、かつてサブプライム問題の一つの救済策として議論されていたこれらGSEによる非適格ローンへの買い取り枠の拡大、といった議論が立ち行かなくなることです。なにせGSEはデューデリ(資産精査)プロセスをきちんとやっていなかったということになりますから、議会としてはそんな連中が業務を拡大するなど到底ゆるさないということになるでしょうね。

なにもサブプライム問題が深化しているさなかにこういうことをするとはクオモ氏もよっぽど野暮な人だとは思いますが、まあえてしてこういうことは起こるものです。最近どうもアメリカをいじめる人がどこかにいるようなそんな被害妄想まで抱かせてしまう、そんなどこにでもある(ないない)ありふれた秋の一日の風景でした。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
おはようございます。
US$がますます弱くなってきましたね、2弱を構成してきたJPYに対してもいつの間にか112円台ですね。
今日経オンラインのトップにある"米銀、融資基準引き締め・サブプライムで財務悪化"これって20年近く前にどこかで似たような事を見ましたよね?
そこの国のノーパンシャブシャブ総裁も"景気・消費は引き続きゆるやかに拡大基調、利上げのタイミングが問題”と公の場で叫び続けていますが、私の給料全く増えないし、回りも皆疲れ果てているようですが・・・・
フレッド
2007/11/09 08:32
フレッドさん、こんにちは。久しぶりのリスクリダクションというかわかりやすいシナリオでのマーケットになりました。いろんなニュースはドルにとっていいことはひとつもないので、ドルを売りやすいですね。昨日も相当皆さんがんばっておられたような値動きでした。
融資引き締めは、米銀が大規模な引き当てを求められることによるバランスシート調整が間違いないことから不可避ですね。その先はまったく10数年前の日本と同じ道をたどるのだと思います。
厭債害債
2007/11/10 13:51
害債さま
本石町日記さんと...みたいな。さんのところに出入させていただいておりますろじゃあと申します。
エントリーの中でご引用させていただいたものですから、TBさせていただきました。
また遊びに来させていただければと。
失礼いたしました。
ろじゃあ
2007/11/12 19:28
ろじゃぁさん、ご訪問ありがとうございます。実はワタクシもろじゃぁ様のブログの愛読者でありまして、企業法務としての発想をとても参考にさせていただいております。NHKの「ジャッジ」も欠かさず見てますよ。今後ともよろしくお願いします。
厭債害債
2007/11/12 20:53

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