厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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zoom RSS 焦土作戦あるいは自爆テロ

<<   作成日時 : 2007/12/07 02:46   >>

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サブプライム問題に関して、このところ政治主導でかなり早い動きが見られます。一部の変動利率タイプのローンについて金利更改を5年間凍結するという話がまとまりつつあるようです。もちろん、これから予想される、おもにティーザー型(日本で言う、ゆとり返済ですな)の金利上昇によってデフォルトが一気に増えることを回避しようというものです。

そしたらムーディーズさんがいきなりモノライン保証会社(サブプライムや証券化商品などに保証をつけている)の評価を思い切り変えてきたり、SIVを格下げしたりという動きに出てきました。これはそうしたローンがモノライン保証会社(MBIAやAMBACなど)の保証をつけて転売され証券化されていることを考えると、これらの保証会社の潜在的な保証債務が膨らむ可能性があるため、格付け会社としても反応せざるを得なかったのだと思います。ムーディーズはMBIAについて12月19日までに何らかのアクションを起こす(おそらく格下げ)ことを一昨夜明らかにしたわけですが、11月にムーディーズは同社についてトリプルA格維持のために特に資本増強を必要としないと述べていたにもかかわらず、資産精査した結果判断が変わったという説明をしていますが、今回の政治の動きが一つの理由となっている可能性は強いと思われます。

すでに多くの方々が触れられているので詳しくは書きませんが、アメリカのモノライン保証会社は米国の地方債保証ビジネスが結構大きく、モノライン保証会社なくして地方債市場は成り立ち得ないといっても過言ではありません。また、今回のサブプライムローンでも、彼らの保証付のローンをGSEと呼ばれるファニメやフレディマックが買っているはずです。で、最大の問題は、証券化商品への保証。ご存知のとおり証券化商品の時価が急速に落ちてしまったため、モノライン保証会社の潜在的な負債が急増することになると思われます。今回の政治的措置はこれら証券化商品そのもののデフォルトの可能性を増やしたということで、さらにそれに追い討ちをかける措置だったと思われます。

ただ、間違いやすいのですが、ムーディーズが言っているのはMBIAなどがトリプルAを維持するに十分な資本に不足が生じるということであり、今すぐにモノラインが債務超過になるリスクが高まったとまでは言っていないということです。現実問題としては、まあ2−3ノッチの格下げの可能性が強まったということでしょう。いきなりジャンクはないでしょうね。ただ、3ノッチも格下げされたら、今後保証業務に大きく差し障るだろうと思うし、そもそもこういう事態が生ずること自体により今後モノライン保証会社のビジネスモデルそのものが成り立たなくなるという意味での中期的な信用リスクが高まることになるでしょう。

ワタクシも政治が主導する形での問題解決が必要になるというふうに思っていましたが、現実にはこういう形で一気に損が実現していくという形をとるのでしょうね。その意味で今回の金利凍結作戦は一種の焦土作戦といえるかもしれません。いったん火をつけてみて見通しをよくするというのは、まあこの場合ひとつのやり方ではあります。もちろん、米国以外の人々にも大量の類焼者、焼死者がでるのですが。

WaMuやカントリーワイドなどの住宅金融系、Toll Brothersなどの建設系、CITIなどの金融は今日は株価が上がっているみたいですね。強引なやり方ではありますが、政治のイニシアティブが強く働くことを示すすばやい施策は心理的な不透明さを拭い去る効果はあります。冷静に考えれば実効性の乏しいプランであっても、市場の目から見たらその強い意志が評価されるということになるでしょう。

ただ、実効性という面では、やはり疑問符がつきます。実は一部の金融機関はすでに金利減免措置にむけてその対象となる債務者に申し出るようメッセージを送っているようです。ある金融機関は申し出たらスタバの25ドル商品券をつけるということまでやっているという話もあります。それでも現状はなかなか申告は難しいようで(そもそも借りた人間が自分たちの置かれている状況を理解していないというサブプライムローンの別の問題点がここで露呈しているわけですが)、本当にこの作業がきちんと進むのか?というところはまだはっきりしません。

それに加えてそもそも論ですが、誰が損失を負担するかというところがいまいちぼやかされている感じがあります。最初にローンの契約主体となるオリジネーター(サービサー)が負担すればそれはそれで済むのですが、もしその減免されたキャッシュフローをそのまま証券化商品に流し込んだり投資家にパススルーするのであれば、当然その相手から債務不履行(デフォルト)を言い渡されるはずです。この辺の手当てがどうなっているのか?今回のムーディーズのアクションはこれらのことについての懸念を含んだものであるという気がするのですがどうでしょうね?

それにしても、自国の企業はもちろん損するけれど、話し合いもないまま強引に投資家まで巻き込んだ処理を決めてしまうアメリカは自爆テロ(あるいはその脅し)をやろうとしているといえるかもしれませんね。

(追記)
え?5年じゃなくて6年凍結ですか・・・
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601087&sid=aUt8lwaz9tbw&refer=home
なんだかポピュリストってやだなぁ

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