厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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zoom RSS FXは賭博?

<<   作成日時 : 2007/12/07 03:44   >>

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今回のような特殊?なケースで被害者を勝たせるための構成ということでしかないと信じたいですけれど、FX業者がつぶれるケースが特殊ではなくなっているからちょっと広がるかもしれません。ちょっと旧聞に属するかもしれませんが、

11月27日付の東奥日報ウエブ版より

「FX業者に賠償命令 「取引は賭博」と認定


 茨城県龍ケ崎市の主婦(66)が、違法な取引を勧誘されたとして、外国為替証拠金取引(FX)業者の「シー・エフ・ディ」(東京、破産)の元代表取締役や元従業員に約3200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は27日、約2900万円の支払いを命じた。

 FXは、業者に預けた証拠金を担保に外貨を売買し、為替相場の変動などで利益を狙う取引。リスクが大きい半面、多額の利益を得られることもあり個人投資家の人気は高い。

 杉山順一裁判官は、同社は主婦相手に、市場を通さずに当事者間の相対取引をしていたと認定した上で「同社の取引は『当事者間で予測できない事情で財産上の利益を争う行為』である賭博に該当し、公序良俗に反する」と判断。違法な取引に勧誘したなどとして元従業員らの賠償責任を認め、証拠金全額と弁護士費用の支払いを命じた。

(共同通信社) 」

判決理由全文を読んだわけではないのであまり断定できないのですが、これを一般化してしまうと「相対取引」の「当事者間で予測できない」為替取引は(刑法上の)賭博に該当し「公序良俗」に反するから、すべて無効ということになってしまいます。

ちなみに刑法185条の単純賭博罪の構成要件としては「賭博をした」ことしか書いていないので賭博とは何かという定義が問題になりますが、一般的には賭博とは「偶然の勝敗により財物や財産上の利益の得喪を争う行為」というものとされるようです。その意味ではちょっとみたら構成要件に該当するわけで、違法性があり責任阻却事由がなければ刑法上の罪にも問われる可能性がある取引といえなくはないです。

われわれのような機関投資家が銀行さんとの間でやっている為替取引も「相対」で「当事者間で予測できない(というかあたらない)」ことに変わりはないので、このような言い方をされるとちょっと困ってしまうのですが、実を言うとこういう金融デリバティブ取引が賭博に当たるのではないかという議論は10年ちょっと前に真剣に議論している人たちがおりまして、一応の結論が出ているのではないかと思っていたのでした。たとえばこのペーパーによると、金融デリバティブ取引そのものを構成要件からはずすことは難しく、金融業者が仕事として行っているなど一定の要件を満たしている取引について「違法性を阻却する」という方向であったのではないかと思われます。それゆえ金融機関は堂々とやってるということです。

しかしながら、経験のない素人さんが個人でいきなり参加した場合、場合によっては公序良俗に反し無効であり場合によっては刑務所行きとなる可能性があるということになります。この辺はやる方々はしっかりと理解しておく必要があると思います。しかし一方でこれまで認められていたことをこういう形で一般的に違法ないし公序良俗違反としてしまうことにはちょっと違和感があり、判決としてはもう少し詳しく違法性阻却ないし公序良俗違反の要件について絞り込む必要があったと思います。

ワタクシの個人的意見としては、FXそのものは構成要件非該当だろうと思っています。旧刑法は「偶然の輸贏(ゆえい・しゅえい)」に対して金品を賭けるというのが構成要件に明記されていたわけですが、為替相場というのは、われわれも一応「一定の範囲で予測可能」という前提で投資計画をやっているわけであり、必ずしも偶然にだけ頼ったり僥倖だけをあてにやっているわけではない(あくまで建前(大汗))のです。「当事者間で予測できない」のではなく、本来予測できるのだけれど外れることが結構ある、ということでしょう。(どちらにしてもあたらないことが多いのは同じですが(自爆))。個人の方の為替のブログなどを拝見しても、相当突っ込んだ分析をされているわけで、スロットマシンや丁半ばくちと一緒にするのはどうかな、と思うのです。
われわれが為替の取引をやろうとするとき、相手の銀行の方はべつにわれわれと反対の相場観を持っているから取引に応じてくれるわけではなく、ツーウェイのプライスを出すことが慣行上「必須」といえるからそうしてくれているだけです。予測の違いでどちらかが勝ちどちらかが負ける、という性質とはちょっと違う。

その上で問題のある業者を排除するのは行政法規や監督の仕事ではないかと思うのです。
必ずしもこの件に関する消費者保護の制度がきちんと立法化されていない現状ではこういう構成で被害者を救いたくなるのでしょうが、ヘッドラインだけを見る限り(すんません、本当は全部読んでから発言すべきですが)やや広げすぎ、という感じはぬぐえませんね。

ま、最初に書いたように一般化すべきではないと思いますが、最近複数の裁判所で同様の判決が出ていることを知り、ちょっと興味を持ちました。

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コメント(9件)

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おはようございます。
そうですか、裁判所様は真面目にFXは賭博と判決を下しましたか、肥満がマック・肺がん患者がJTを訴えてるのと同じレベルですね。(笑)
FXの会社の中には、GBPを推奨したりしている会社も(大部分?)あるようなので、どうかとは思いますが、信用取引全てが違法という事になりかねませんよね? 確かに上がるか下がるか片方に期待する事は賭博ですが、口座開設時に一筆入れているわけですし、逆に儲けたらそれはそれなわけで・・・・
金融機関の賭博行為といえば、SinglePriodSwap(SPS)が、昔問題になりましたよね。 いつの間にかFRAの契約を殆ど見なくなってしまいましたが、あれこそなし崩しのなぜる技ですかね。(笑)
フレッド
2007/12/07 08:44
 株価指数スワップが差金決済だと賭博罪にあたる疑惑、懐かしいですねェ。日本のデリバティブが外資に蹂躙される結果となった理由の一つだと解していますが。
 構成要件の法的解釈として、偶然の輸贏で切り分ける論点は理解しますが、「予測できるかどうか」で判断するなら、競馬などは「予測できる」。あと、ツーウェイのプライス業者、という論点で語ろうとすると、全てにオッズを立てて、ポジションが偏ったらJRAでヘッジするようなノミ屋を想定したとして、それとどこが違うんだ(ノミ行為が別の法律で禁止されているというポイントは別。)という話もあって。
 というわけで、法的な解釈論は置いて、実態面だけで把握するなら、経済効果が「投資あるいはヘッジ」であると主張する論点があるかどうかで切るのが筋だと思います。FXや株価指数のブルベア形は当然すぎるほどOK。オプション系もさらなり。ボラに連動するスワップも、クレジットスワップも、そもそもがヘッジニーズから出てますから、OKということで。往時「日経平均の銭連動」スワップなんてものをちょっとまじめに考えていたのですが、こいつは正当化しづらいですね(^^)
元IB現PB
2007/12/07 10:37
フレッドさん、どうもです。むかしはFRAとかオプションも議論してましたね。でもきちんとした立法が出来てなかったということですね。

元IB現PBさん、おっしゃるとおりで通説判例は相当程度の不確実な要素があればこれに該当するとされているようです。判例では「偶然の輸贏」はマージャンはもちろん囲碁まで該当しているようで、FXなどとてもじゃないけれどそこから逃れられそうにありませんね。おっしゃるとおり正当性で切っていくのが筋だと思います。偶然性で切ってしまうとランダムウォークを前提とするプライシングのものが全部だめになりそうですしね。
厭債害債
2007/12/07 12:15
もし本当に「偶然の輸贏」がダメなら、ほんとにオプションが絡む商品全てダメ、ってことになりますね、、。ついでにいうと、完全市場になってしまうと株式もダメってことに、、、あわわ、、。
ttori
2007/12/07 21:35
ttoriさんどうもです。まあたまに超ローデルタのオプションを買うとき「宝くじみたいなもの」とかついつい言ってしまうこともありますしね。ある特定の価格で多額の損益が瞬間に現れるデジタルオプションなんてまさに見た目は(以下自主規制)。
厭債害債
2007/12/08 08:10
貴重な情報をありがとうございます。
今後も、ウォッチしたい流れですねー。
大手(例えば東京金先や短資系列)に対しても同様の対応になるかが、興味あります。
そりゃー、わたしも、賭博と言えば、間違いなく賭博だと思いますが、ただ、FXはテラ銭が極端に少ないのと、胴元ではないので、違法と言うのは、かわいそうな気がします。
<a href="http://d.hatena.ne.jp/uupa/" title="うーぱー日記">
うーぱー日記
2007/12/08 11:46
次は、「人生は賭博だから、警察は不逮捕特権の無い者はだれでも賭博の現行犯で逮捕できる」かも。
kumakuma1967
2007/12/08 22:22
うーぱーさん、どうもありがとうございます。本来金融取引全体が個人がやる限りにおいて射幸性を伴うことが多いだけに、きちんとした立法が必要でしょうね。そもそも賭博罪ってあるいみ有名無実なんですよね。

kumakura1967さん、不確実性のある事象へのチャレンジは、自分のリスクコントロールの範囲内で褒められこそすれ抑制されるべきではない、と想うんですけれど、どうも日本には、自分の地位が安定しているということに安住して他人のチャレンジを妨げようとする階層の方がいらっしゃるような気がしますね。
厭債害債
2007/12/09 11:23
麻雀には実力の要素が多分にあるし、
競馬だって過去の成績等をもとに「一定の範囲で予測可能」であります。
a
2009/02/16 15:00

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