厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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<<   作成日時 : 2007/12/13 19:47   >>

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業界のかたがたには釈迦に説法ですが、最近の米国の連続利下げにもかかわらず銀行間金利であるLIBORが下がらず、この結果短期国債(トレジャリービル)とLIBOR(ユーロドル)の金利差すなわちTEDスプレッドが拡大し続けています。
大雑把に言って、200ベーシス(2%)を越える金利差は1987年のブラックマンデー前夜と同じレベルなのであり、中央銀行の危機感も理解できます。そして前日FEDが25bpの利下げにとどめたことについて、市場関係者から『本当に状況がわかってんのか、オラ』
といった声が聞かれることもまた当然のことといえます。

ただ、ひとつブラックマンデー前夜と異なるのは、ブラックマンデーが金利引き締め過程でショックとして生じたのに対し、今回は引き締め過程によって一旦住宅バブルが崩壊過程に入っている中で生じているということです。つまりショックの発生を防ぐための備えの過程における金詰りということでいきなり起こっているわけではないということになります。ただ、TEDスプレッドが広がっているという意味は「金融政策では対処が出来ない」ことを示しているともいえるわけで、昨夜のような資金供給宣言を大々的に打ち出す必要があったのでしょう。そしてFEDはこの状況をきちんと理解しているからこそ利下げを0.25%にとどめて流動性対策に重点を置いたのだと思います。

ワタクシなりに状況を理解してみますと、20年前に比べてやはり金融の世界の安全弁があちこちにセットされているし、この20年間の様々な出来事で関係者が相当に学習している結果すばやい行動が取れるようになっており、ショックが発生しにくくなっているということでしょう。そして忘れてはならないのが、過去に表舞台にいなかった主体が力を持っているということです。中国、ロシアを含む新たな勢力、産油国や資源国、そして日本の個人などです。前のエントリーでも書きましたが、これらは極論すればガバナンスなどとは無縁のお金であり、究極のリスクテイカーであります。そういうところに現在お金がいっぱいあるということは、問題点も多い反面、実はかなり心強いことではないかと思っています。

ところでリスクテイカーがリスクテイカーとして行動する前提条件はなんでしょうか?それは「最大損失が明確な形で限定されていること」ではないかと思います。例えば宝くじやギャンブルの類ははじめから負けると思ってもこれぐらいなら捨ててもいいお金だと思うから投資に踏み切るわけですね。そこで働いているのは最大損失の限定です。エクイティーというものの本質にさかのぼれば「有限責任」つまり株主は出資額以上の損失を蒙ることがない、ということですから、お金の有り余る人は無限の利益の可能性を狙ってエクイティーに投資できます。持っているお金の量と支出するお金の量の差が十分に大きい場合に成り立つことです。
FXの証拠金取引も、証拠金の範囲に損失が限定できます。サブプライムCDOの先物指数であるABX−HE先物もBBBマイナスのクラスが一時期20以下まで下がっていたのに、その後トリプルAが下がり始めたときは殆ど下がらず「あれ?」と思ったものです。おもうにそのあたりになると損失はあと18ぐらいに限定される(先物価格は0以下になりえない)わけで、オプションとしての価値が出てくるわけですが、トリプルAのマーケットがぼろぼろになるようなボラティリティーの高い状況ではオプションとしての価値がむしろ付加されていったのではないかと推測されます。個別の株式もきちんと分析すれば、一株当たり倒産した場合の残余財産分配請求権でカバーされる金額(解散価値と言い換えてもいいかも)以下の株価で取引されていれば企業が粉飾でもやってない限り中期的には損失が相当限定された取引になるでしょう。現在はリスクテイカーにとっての投資機会がかなりあるのではないかということです。

問題はそのような階層が日本には個人を除いて存在しないということでしょうか?そしてそういう階層を育てようとはしていないということでしょうか。官庁やメディアの取り組み方を見る限りそのような気がしてなりません。

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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
>金利差は1987年のブラックマンデー前夜と同じレベル
いつも、貴重な情報を、ありがとうございます。
今のTED-SPRは記憶に無いなーとは思いましたが、ブラックマンデーの時にあったんですねー。
そう書かれると、何か、リアリティありますねー。
といっても、実際にはブラックマンデーの時を知らないので、実感として理解できるわけではないのですが、、、、
http://d.hatena.ne.jp/uupa/20071213/1197517539
うーぱー
2007/12/13 22:04
>問題はそのような階層が日本には個人を除いて存在しないということでしょうか
日本のメガバンクが資金提供の要請に乗って行かないところを見ると,それは実感しますね。橋渡しをする政治家もいませんし…人材難の時代です。
EURO SELLER
2007/12/14 04:00
うーぱーさんどうもです。一応ブラックマンデー世代?としては当時はまだまだ今と比べて原始的なことが多かったと言う印象です。それでもリスクをとってリターンをあげるということや金利と株の利回りとの関係といった基本的な枠組みは変わっていないと思っております。

EURO SELLERさんどうもです。自分で書いておいてアレですが、あとでよく見たら日本のメガへの出資要請は銀行のエクイティーではなくスーパーSIVに対する出資要請だったようで、それでは話になりませんね。まったく日本のメガバンクもなめられたものです。
厭債害債
2007/12/14 23:18
やっぱりなめられてるんですね(苦笑)
ろじゃあ
2007/12/17 20:27
バカラのルールもわからずに後からでてってババ引いた馬鹿な農協の親父がラスベガスで損したかっらて、その胴元が勝手に破綻するのにさすがに農協幹部は金あったってておつきあいしないけど、今はアラブと共産党のほうが、本場でも上得意でしょうからねー。
目がパンク
2007/12/17 23:03
ろじゃぁさん、どうもです。米国がこういう要請をするなら本来的には米国の銀行のエクイティーを差し出すぐらいのことは必要でしょうね。

目がパンクさん、コメントありがとうございます。農協ってところが単なる比喩でもないような・・・失礼しました。
厭債害債
2007/12/18 00:38
いつも、読ませてもらっています(難しいですが)
私の、わからないのは、サブプライムローンで担保証券はどこが持っているのでしょう?
借り手は、住宅を担保に出し、お金を借りている
でも、日本の銀行は担保証券を持っているのでしょうか?今後は裁判になれば、そこは結構重要なところだと思います。
証書も渡さない、権利もないないのにお金だけ集めた米金融は詐欺みたいだと思うんですが・・。
こより
2007/12/19 15:45
こよりさん、コメントありがとうございます。担保権は貸し手(最初は住宅金融会社や銀行)がローンとともに投資銀行などに転売し一定の群団として集合的にプールされます。それが特別目的会社にさらに転売されそれらの受益権が証券化の対象になるわけで、多くの場合そういった特別目的会社が直接の保有者になっているように思えます。
権利がないというより、権利の対象となる元のローンに価値がなかったというほうがぴったり来ると思いますが、詐欺みたいだという感想はまったく同感ですね。
厭債害債
2007/12/20 00:24

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