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zoom RSS モノライン保証会社へ奉加帳方式救済か?

<<   作成日時 : 2008/01/24 09:38   >>

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【記者Erik Holm】
1月23日(ブルームバーグ):ニューヨーク州の保険監督当局は23日、米銀行と会合を持ち、金融保証会社の資本増強について協議した。当局の報道官アンドルー・メイス氏が明らかにした。

同報道官はインタビューで、金融保証会社への信頼を回復し金融市場の状況を改善させることが、ニューヨークでの会議でのエリック・ディナロ・ニューヨーク州保険局長の目的だと語った。参加した銀行の名前は明らかにしなかった。

増資によって、最大手MBIAなどの金融保証会社の「AAA」格付けが維持され、2兆ドル(約210兆円)規模の保証対象証券への信頼低下に歯止めがかかる可能性がある。業界2位のアムバック・ファイナンシャル・グループの格付けは既に、米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン焦げ
き増を背景に、フィッチ・レーティングスによって「AA」に引き下げられている。

(引用おわり)

結構多くの市場関係者が愛用?しているメリマンの占星術によると、1月23日はいくつかの相場の転換日だそうで、図らずもNYは暴落の後棒上げという激しい相場になりましたね。そのきっかけとなったのがAMBACやMBIAなどのいわゆるモノライン保証会社と呼ばれるところに対する資本注入のお話です。まだあまり詳しくは見てませんが、どうやらNY州主導で奉加帳方式で銀行から出資を募るという形のようですが、早くもこのキモの部分に公的な手が伸びたことは喜ばしいことです。

ブルンバーグで見ますとAMBACのCDS(クレジットデフォルトスワップ)の5年のスプレッドはおとといの引けで1800ベーシスポイント(つまり上乗せ金利18%をリスクプレミアムとして要求されるということ)ぐらいまで広がっていました。一応まだムーディーズ、S&PではネガティブウォッチとはいえトリプルAなんですが(汗)。基本的には市場がほぼ倒産を予想するようなレベルだったわけですが、これがまだ格下げになっていなかった理由の一つにおそらくこういう保証会社に対する何らかのサポートが十分期待できるということがあると思います。

第一にこれらの企業が保証している高格付け証券化商品があまりにも多い。ブルンバーグからの孫引きですが、S&Pの2007 年12月19日付のリポートによると、金融保証会社はサブプライム関連資産を少なくとも一部に含むCDO1270億ドル(約13兆4700億円)相当に保証を提供していた。モノラインが投資適格外に下げられることによってこれらの債券が一気にジャンク化します。スーパーシニアトリプルAだった証券化商品が100%支払いがおぼつかない、という評価になってしまえば、それより下のランクの階層のCDOなどの評価は「ゼロ」です。上位の階層の投資家を守るために下位の投資家が損失を引き受ける(その代わりに高い利回りを受け取る)というのがこういう商品の仕組みなのですから上位が毀損していればその下に価値は残っていることはない。そのときに世界中の銀行を中心とするポートフォリオにどれだけ巨額の評価損が発生するか、それが受け入れられるのか、というところは試すことすら恐ろしい話であります。

第二にこれらの保証会社は米国の地方債の保証業務もやっている。保証会社がビジネスが出来なくなれば、単独の信用力での発行が難しい地方の地方債の発行がとまり、資金が枯渇し行政が回らなくなる恐れがあります。MBIAのホームページによれば米国の地方債の50%が保証付で発行されており、MBIAだけで93000件の債務保証を行っていると書かれています。

これらの事情を考えると、少なくとも大手の所は「潰せない」のだろうと感じています。但し現状はあくまで奉加帳方式の資金注入であり、政府が保証したりしているわけではありません。上記のニュースの後もAMBACのCDSスプレッドは1200BPまで縮まりましたが、それでもまだ1200すなわち12%の上乗せ金利を払わないとリスクの取り手がいないということです。今後も資産の劣化や保証債務の増大が続けば、結局更なる公的資金の投入、究極的には国有化、という道筋まで考える必要があるのかもしれません。まあ現在のアメリカで露骨な国有化というのはなかなか発想として難しいでしょうが、それほどまで重要なインフラであれば国有化も決して排除される選択肢とは思えないのです。

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
おはようございます。
昨日のニューヨークは激しかったようですね、寝る前と起きた後の状況が180度違い驚きました。
ファイナンシャルタイムスのサイトで、私もこの記事読みました。自由競争の国でも"too big to fail" はあるんですね。(笑)
アメリカの凄いところは、前日の利下げといい、動くのが速いですよね、そして決めたら即実行。わが国も夏場のBOJミーティングで値下げと言われていますが、株価が2年前の水準なのですから今すぐなにかすべきでは!と切実に願います。

フレッド
2008/01/24 10:29
お互い同じこと考えていたんですね。TBしておきます。
EURO SELLER
2008/01/24 16:17
フレッドさん、どうもです。市場は日本でもかなり利下げを織り込んできました。福井総裁も相当身長ながら可能性を排除しないコメントになっていますね。市場に押される形の金融政策っていうのは中銀マンにとって結構屈辱かもしれません。ちなみに欧州は市場の問題は我々の責任ではない、と言い切るのでしょう。日本はその意味でもちょっと中途半端な気がします。
厭債害債
2008/01/24 19:19
EURO SELLERさんどうもです。恐れ入ります。まあ心理的な側面も大きいと思いますが、まさにいま当局の仕事は行動ファイナンス的アプローチによる「恐怖をマネジメントすること」なんだろうと思ってます。
厭債害債
2008/01/24 19:21
国有化という選択肢は適用すべきではないでしう。米国の良さの1つは日本では国が関与するはずの業務を民間が行っている所にあります。それにしても格付けという神にも似た業務は必要なんでしょうか。
Hbar
2008/01/30 10:11
Hbarさん、コメントありがとうございます。ご指摘のとおりなのですが、重要なインフラの保護については国家や公が関与する余地は依然として大きいと思っています。ただ、ウォーレン・バフェットのようにそういうビジネスを自分でやってみようとする人が出てくるところがおっしゃるようにアメリカの強みなんでしょうね。
格付けはそれなしでは債券市場がなくなってしまうという意味で重要なインフラとなってしまいましたね。
厭債害債
2008/01/30 23:27

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