厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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zoom RSS 新銀行東京の「再建計画」

<<   作成日時 : 2008/02/20 17:33   >>

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先日のエントリーで取り上げたように本日新銀行東京は東京都に対し正式に400億円の追加出資要請を行うことを発表しました。同時に4年間で人員の75%を削減する(つまり4分の1にする)リストラ案を公表したようです。

一つ重要なコメントは、ロイターからの孫引きですが、これまで掲げていた中小企業に対する無担保・無保証融資路線について「事業の基軸としては転換しなければならない」と同銀行の代表が述べたことです。これは同銀行の重要なビジネスモデルの変更ということです。

しかし、リストラ案からもわかるとおり、削減されたこの人数では中期的にまともなビジネスはやりようがないから、身軽にしてあわよくばどこかに買ってもらうという下心がみえます。一方で新規にコマーシャルベースでわざわざこんな銀行から融資を受けようとする銀行はないだろうし、預金も集まりづらいだろうし(東京都が取引関係をバックに業者から強引に集めるという手はありますが)そもそも現状のオーバーバンキング状態で通常のビジネスがうまくいくとは思えません。悪者になりたくないという意味でも買い手はまず現れないとおもいます。

ビジネスプランの変更により、新銀行東京はますます「無用の長物」、どころか損失を垂れ流すお荷物と化していきます。経営的な判断では「見切り千両」つまり解散が正解だろうと思います。しかし、これまでせっかく高邁な理念でやってきたのに解散となれば貸し剥がしがおきますね。そうなれば当然またメディアを通じて怨嗟の声がでて都のお役人に責任追及の声が高まる。とりあえず継続させておけば、メディアに対しては貸し剥がしによる「弱者」いじめをしないということで説明できるかもしれないと踏んだのかもしれません。そして旧経営陣の責任追及を行う(金銭的にも?)ということで納税者からの批判もかわそうとしているのかもしれません。しかし8割の株を東京都が持っているのですから、親会社が完全子会社の元トップの責任を追及するイメージなのですが、本来は東京都のステークホルダーが親である東京都の責任を追及するのが本筋で、どうも目くらましをかけようとしているとしか思えません。この損失の原因となったビジネスモデルを指示した、あるいは実質的な支配者として承認したのは親である東京都でありその首長その人だからです。旧経営陣への責任追及はそれを避けようとする姑息な手段にみえます。

もう一つ興味をもって見ているのは、通常の新設銀行との比較において金融庁がどのように対応するかということです。銀行法施行規則1条の8第3項では次のように定められているからです。
3  内閣総理大臣は、前二項の規定による免許の申請に係る法第四条第二項 に規定する審査をするときは、次に掲げる事項に配慮するものとする。
一  銀行業の免許を申請した者(以下この項において「申請者」という。)の資本金の額が令第三条 に規定する額以上であり、かつ、その営もうとする銀行の業務を健全かつ効率的に遂行するに足りる額であること。
二  事業開始後三事業年度を経過する日までの間に申請者の一の事業年度における当期利益が見込まれること。
三  申請者並びに申請者及びその子会社等の自己資本の充実の状況が事業開始後三事業年度を経過するまでに適当となることが見込まれること。

ここでいう法第四条第ニ項の審査とはまさに銀行免許申請手続き上の審査なのですが、3事業年度以内に当期利益を上げる見込み、および「自己資本の充実」が3事業年度経過までに適当となること、が重要な考慮要素であることが書かれています。おそらくお役所的な立場で言えば、これを書類で確認して免許を与えそのとおりできず社会的な問題が起これば免許を与えた責任ということになるので、何らかの指導なり処分という流れになるのかもしれません。
今回の新銀行東京は旧パリバ信託銀行を買っただけですから、免許申請はしておらず法律的に上記の政令が適用されるわけではありません。しかし、収益計画はビジネスモデルに依存するわけで、完全に旧銀行と全く異なるビジネスモデルで始めた新銀行が3年後にここまでぼろぼろになっている以上、バランス的には金融庁として何か言わざるを得ないと思うのですがどうでしょうか?今回の増資も、開業後3年経過することを考えるとこの関係で行われたのでしょうか。これにより自己資本比率は多少見栄えを良く出来るのかもしれませんが、「再建計画」にふさわしい収益モデルが立てられているかどうかによっては金融庁は何らかの対応を迫られるのではないでしょうか?銀行である以上「金融システムの安定」に影響を与えかねないのですから、良識ある対応が望まれるところです。

ちなみに東京都の出資金額合計1400億円を都税の納税者数約650万人として割ると一人当たり2万円強の数字となります。


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新銀行東京、都に追加出資要請
東京都が1000億円を出資して2005年に設立し、多額の累積損失を抱える新銀行東京は20日、都に400億円の追加出資を要請したと正式に発表しました。当初開業3年で黒字化を目指していましたが、現行計画より2年先送りし、2012年3月期とする再建計画も合わせて公表。旧経営陣に対しては、法的措置を視野に責任を追及するとしました。 厭債害債さんのエントリー(こちらとこちら)にインスピレーションをいただきました。ありがとうございます♪ ***♪金融素人慎太郎♪ ...続きを見る
歌は世につれ世は歌につれ・・・みたいな。
2008/02/21 22:09
新銀行東京
東京都民の皆様方、心よりお見舞い申し上げます。都知事の私利私欲の為にでっちあげられた「石原銀行」その設立時に1000億円をも巻き上げられた上に今度は更に400億円ですか、、、「今、金さないと破綻して、結局清算でもっと金かかるぞ!」との居直りは、正に「やから」ですな。合計1400億円をドブに捨てるとなると都民おひとり辺り1万円以上ですか?「焼肉たむら」でたらふく肉食べられますな。 ...続きを見る
しっとう?岩田亜矢那
2008/02/26 23:50

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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
おはようございます。
今朝の日経社説”石原銀行”には笑いました。
月曜日の”春秋”東京マラソンのコラムといいなんだか、最近やけに拗ねていると言うか、大人気ないと言うか・・・(笑)
ここ、都が84.22%の出資なんですね。100%か限りなくそれに近いと思い込んでいたので、驚きました。
もうまともには売れないでしょうから、二束三文でどっかに引き取られるのでしょうが、結果によっては住民訴訟起にでもなればなぁと。
神奈川県で多選禁止(最長3期)と決めましたが、普通に考えたら2期がいいところなんでしょうね。オーナーではないんですから。(笑)
フレッド
2008/02/22 10:38
フレッドさん、どうもです。ワタクシは石原都知事の「気持ち」の部分は多少評価はしていますが、いつもそうなんですが威勢だけ良くて都合が悪くなると逃げるところが気に入らないのです。まあそれを選んだのが民主主義の結果ですから・・・多選禁止も民主主義との関係でいえば、やはり両刃の剣なのかもしれません。
厭債害債
2008/02/23 16:05
中小企業切捨ては残念ですね。プログラミングのプロを入れればというか、金融に対する哲学に何か工夫が必要なんですね。金融のビジネスモデルを触らずに新しい新機軸をするという愚が今回の次第と言う事でしょう。それを巧く立ち回ればこれ程公務員批判も起きないのでしょうが。
hbar
2008/02/25 13:24
hbarさん、どうもです。今回は思想はよくてもそもそもその能力から見て無理筋(サブプライムに無担保融資するようなもの)だったわけですね。役人にこれができるぐらいなら、民間でとっくにやって他と思いますよ。
厭債害債
2008/02/28 03:01
で未だにノーズロなんで、とっくに破綻処理してるのに、この場合第三セクターだったので、民間でかぶせて、一旦つぶれたはずなんですよ。でも別機関にして垂れ流してますよ。このあたり国の場合、毒法になるけど、痴呆は目めちゃくちゃですから。特に議会はみんな仲間なんで、野党系の公共法人は誰も立ち入れできません。いかれ一般市民。ふざけるな野党の癖に既得権を擁護して、財政再建言ってるやつは国賊です。
でもやっぱりメインバンクはいつもここは?
2008/03/03 00:53

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