厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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zoom RSS “Don’t mark to Markit” −エコノミスト誌より

<<   作成日時 : 2008/03/31 19:37   >>

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時価の問題についてエントリーを立てたついでに、先日(3月8日付け)の英エコノミスト誌の記事から。(なお、業界の方々には自明だが、mark to Markitというタイトルはmark to market(時価評価する)のシャレである)。
表題にあるMarkitというのは、サブプライムとか信用リスクとかを語る際最近よく出てくる社名である。この会社がABXという名前の下、サブプライム関連CDOの指数を作っており、ビンテージ(組成年)や格付けクラスごとに分けて店頭デリバティブとして取引されている。http://www.markit.com/information/products/category/indices/abx.html
 実は、欧米で多くの金融機関がこの指数をベースにしてサブプライムやCMBS関係の証券化商品の理論値をはじいたといわれ、その結果が巨額の損失の発表につながっている。
エコノミスト誌の記事はこの指数がCDOわずか20銘柄で組成されており、「これまででももっともヘッジファンドが取引をしまくった商品」として記憶に残るようなもので、性格上下方圧力を受けやすい(詳しくは書いていなかったが、CDOという流動性の低い商品の性格上、現物買い先物(ABX)売りの裁定取引やヘッジのABX売りはありえても、現物売りABX買いの裁定やヘッジのABX買いはなかなか大きくならないということか)ため、時価の基準として使うのは不適当ではないか、という疑問である。Markit社自体でもこの指数に過剰な重みを置かれていることについて戸惑い気味だ。
 結局こういう動きは、自らの立場を守ろうとする会計士たちがわらにもすがる気持ちでこうした「客観的な」データに依存する傾向があるためだろう。記事の後段でも示されているように、ドットコムバブルの崩壊のときはアーサーアンダーセンが不正会計に手を貸して飛んだ。会計士にかかる負荷はその後も大きくなり続けており、銀行固有のモデルに基づく価格算出よりも、ABXのような指数に基づく算出のほうを「時価」としてみなしたほうが安全である、と考えたとしても不思議ではない。しかしながら、こういった市場環境でABXが正しい価値を表示しているかというと必ずしもそうではないかもしれない。

なお、ABXについていえば2007年シリーズ2(2007年前半に組成されたサブプライムCDOの指数)以来指数の新設は中断されている。そもそも原資産が組成されていないのだから仕方ない。「時価」を求めるべき市場がなくなっているということを素直に認めるべきだろう。

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責任ある立場を自覚せよ
厭債害債さんの記事で初めてmark to Markitという言葉を知りました。 この所、1番注力しているのは発達障害についてであるから仕方ないとは言わないが、今調べた所、値洗いという事のようです。 ...続きを見る
よく考えよう
2008/03/31 21:17

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
欧米の金融機関の多くがABX指数を用いてサブプライム等の証券化商品の理論価格を算出しているというのは、米国会計基準SFAS157で導入された公正価値ヒエラルキーの影響が大きいのではないかと思います。
ABX指数は、Markit社のサイト等で公開されていますので、それを用いて公正価値を計算すれば、Level 2 inputs(観測可能なインプット)を用いた評価ということになるのかなという気がします。(SFAS157を早期適用している金融機関の10−K等を真面目に読んだ訳ではないので実際のところは分かりませんが・・・)
最近の日本では官製不況・政治不況とか言われていますが、米国においては会計基準不況という側面もあるのかもしれませんね。(クレジットバブルの崩壊による不況というのが本筋だと思いますが、その悪影響を増幅しているという意味で)
SOS
2008/04/01 01:55
SOSさんどうもです。実はこのエコノミストの記事と前後して、WSJでもやや行き過ぎた時価主義への疑問を呈するような記事がでています。http://online.wsj.com/article_email/SB120432957846104273-lMyQjAxMDI4MDA0MTMwMjE5Wj.html
まさにおっしゃるように悪影響を増幅する役割を果たしてしまっているのだと思います。
厭債害債
2008/04/01 12:20

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