厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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zoom RSS ディフィーザンス(defeasance)取引に基づく損失−武富士のケース

<<   作成日時 : 2008/03/03 18:12   >>

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詳しいことが公表されていないので、専門のアナリストの方のコメントを待ちたいと思いますが、こういうところにもサブプライム問題の余波が出ているということです。ディフィーザンスとは、既存債務をバランスシートから消すためのやり方です。信託をつくりそこの資産として本体からキャッシュを入れて優良資産(国債や高格付け債券など)を買うかはじめから本体から優良資産を移し変え、既存の負債と紐付けすることにより、元利金の支払いが確実になったとみなし、本体のバランスシートの負債を落とすことが出来るのです。今回のは負債そのものが消滅するわけではなく、発行体と債務履行履行引き受け契約を結ぶ当該信託銀行が、組み込んだ優良資産からのフローを使って本体に代わって社債権者に利払いを続けていくという仕組みであり、「実質的」ディフィーザンスであります。社債債務者は変わっていないことから武富士はバランスシートから外したものの「偶発債務」に計上していたようですね。

これを実行した結果、負債の部と資産の部からほぼ同じ金額が信託に移りバランスシートが圧縮される結果資産収益率(ROA)は上がりますし、対資本負債比率(D/Eレシオ)も下がります。要するにお化粧が出来るわけです。めでたくバランスシートから外した上、金利も安くなったとして一定の収益まで計上していたようです。当然格付けの観点からは評価が上がりますね。

信託に組み入れた資産サイドが本当の優良資産なら何の問題もないのです。ただ、問題は資産サイドがサブプライムがらみの資産だったということ。(これにまたメリルが絡んでいるところがなんとも「香ばしい」(どらめもんさんの言い回しのパクリです、すみません))。資産サイドがトリプルAだったと思っていたら不良資産化してしまったため、元利払に疑義が生じディフィーザンスは成り立たなくなりました。そのため本日のプレスリリースにあるように、本体の負債に戻す必要が出てきたようです。で、資産のほうはご存知のとおり価格が暴落しているため、「最大300億円」の損失と発表。つまり「全損」覚悟ということです。当期利益433億の見込みが大幅下方修正ということで、当然株は暴落ですわな。

で、おそらく誰もが感じる疑問は、同じようなことやってる企業がほかにもあるんじゃないか?ということですが、さてさて…

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コメント(8件)

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 デットディフィーザンス自体はオフバランスだけを企図するならまともな金融取引ですが、資産側の利回りを高めようとした助平心に問題がありましたね。「偶に爆発する(=偶発債務)から注意」、って古くからのギャグがぴたりと当てはまってしまいました。とはいえ、本件、メリルが「負債よりコストが高い」ことを売り物にファイナンスとパッケージで提案したりしたのではないかと心配です。だとしたら、そもそも偶、というよりずっと必然性が高そうだったことになりますが。
 私のIB的業務初の成功ディールは、某事業会社に、私の所属した証券会社の海外子会社銀行へ預金することで、彼らの既発SBをオフバランスする提案でした。ところが、しばらくして、先方の新しい財務部長が、預金を都銀に全額移したい、と。「利回りはかなり低くなるが、自信を持ってオフバランスするには、自分たちと比較してクレジットが全面的に信頼に足るところでないと意味がない」。若い私は往時それは憤ったものでしたが、その後の所属証券会社の運命を考えると、かの財務部長さんの慧眼に恐れ入るばかりです。
元IB現PB
2008/03/04 08:54
うーん香ばしい、まことに香ばしい。こりゃ武富士の完敗でしょうか。
まずわからないのは、債務者がこのスキームを採用する理由です。単純に消却してしまえばいいように思うのですが、そうでなくコストもリスクも高くなるスキームを選んでしまうのは何故なんでしょう?
それから、おそらく運用資産の縛りを格付けだけにしていたのでしょう。これは明らかに武富士の失敗で、MLにしてみるとそこがまさに儲けどころなんでしょうね。
また、運用に係る損失が債務者に遡及されてしまうのもご不幸なことです。そうとわかっていれば、もっと慎重に運用資産を選んだでしょうに。

他の債務者でもあるんでしょうね、きっと。ちょっと意外なところに影響していたものです。
・・・みたいな。
2008/03/04 19:56
行きがかりとはいえ、・・・みたいな。さんにコメントできるとは光栄です(^^) 
>単純に消却してしまえばいいように思うのですが、
 私の経験例であるSBだとわかりやすいですが、早期償還規定がないので<償還できない>場合。同様に、特に固定債務で、消却に債務の理論価値以上に高いコストがかかる場合。あるいは銀行との力関係で返せない、ってケースもあったみたいですが、これは最近はどうなのでしょう。
 いずれにしても、最近のデットだと、上記例に当てはまるような例はあまりなさそうで、デットディフィーザンス自体が怪しげ、という害債さんの指摘がおっしゃる通りなのかもしれません。私のコメントで恐れているように、デット設定がアセット購入を前提としたものだったら、これはもうデットディフィーザンスの悪用以外のなにものでもないわけですが・・・
元IB現PB
2008/03/04 20:25
元IB現PBさん、ありがとうございます。なるほど、そういうケースがあるのですね。ちょっと考えればわかることでした(恥・汗)。
ところでこの対象債券、あらためて見ましたらクーポン4.0%の20年債なんですね。ちょっとびっくり。ディフィーザンス実行当時はいくら位だったんでしょう。消却したくなるのもなーんとなくわからないでもありませんが、今ならとってもお安くって?(苦笑)
あ、結果論でしたか(爆)。
・・・みたいな。
2008/03/04 21:09
 あ、債券は8回債と開示されてましたか、失礼。昨今のJSDA価は95円近辺です。どれだけ流動性があるかわかりませんが、買いあがって100円までビッドすればほぼ全額集められるでしょうから、今まで待ってすなおに買入消却しとけ、と思いますよね。
 武富士の決算を見ると、ディフィーザンス設定時に損失が計上されていないように思われるので、だとすると、彼らが積んだ資産の金額は300億円以下、つまり購入した仕組債が4%以上の利回りだった可能性が高いです。残存15年(07年5月設定当時)で4%の利回り→L+200。これはリスクがあると考えない方がおかしいでしょう。
元IB現PB
2008/03/05 16:26
元IB現PBさん、・・・みたいな。師匠議論を深めていただき恐縮です。時期的に見てこのアセットを売った側はある程度リスクの大きさを購入者側よりはるかによく知っていたはずですね。法的には問題にならないかもしれませんが、やはりそういう業態への不信感を増す結果になりそうな気がします。
ディフィーザンスの失敗の事例を見てなんでわれわれがこだわってしまったかつらつら考えてみたのですが、これって日本の国富ファンドの将来を暗示している(きちんと償却すればいいものをスケベ心で運用して大損する)からかもしれませんね。
厭債害債
2008/03/05 23:27
うわぁ、害債さんのオチ、スッキリしたぁ。確かに、どーもなんかと似てるなあ…とアタマの片隅に引っ掛かるモノがあったような気がずーっとしていましたが、そうか、日本のSWFのことだったのか。。。

少しだけムナシイ。
・・・みたいな。
2008/03/06 00:32
・・・みたいな。師匠、どうも恐縮です。追い込まれると、ついつい・・・みたいなお話でしょうね。
厭債害債
2008/03/07 21:15

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