厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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zoom RSS 負債の時価評価による益

<<   作成日時 : 2008/04/10 13:00   >>

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http://online.barrons.com/article/SB120736147391891897.html?mod=9_0031_b_this_weeks_magazine_main
ぐっちーさんのところのコメント欄で紹介されてました。
要するに米国の投資銀行の多くが自社の負債(借金)の価値が信用不安で低下したことによりバランスシート上の負債の時価が低下し評価益を計上しているというもの。結構な金額ですね。

確かに会計的には正しいのだろうだけれど、いくら借金の時価が減っても最後はこれを全額(つまり簿価で)返済しなければデフォルトなんですよね。もちろん期日の近いものは簿価に近くなるはずなんだけれど、それでもここまで短期が歪んでいると結構馬鹿にならない評価益でしょう。しかも、当該会社の負債評価は当該会社の信用スプレッドをきちんと反映しますから、自分の会社のリスクが高まれば高まるほど負債の時価が減り利益が出やすくなる仕組み。もちろん、記事にもあるようにキャッシュを伴わないのでかなり「質の悪い」利益でしょう。

更に冷静に考えてみると、素人考えですが、本当にこの場合(自社の負債の評価益を計上する場合)それだけでほうっておいていいかという問題はありそうに思います。つまり今の利益は負債が償還されるとき失われるわけで、繰り返しになりますが、簿価で満額償還しないとデフォルトになりますから、満期まで維持される限り確実にキャッシュを生まずに減っていくだけの利益です。

確かに「時価」としていまそのポジションをクローズし借り換えをしたらそれだけ益が出るからそういう選択もある以上利益でもいいじゃないか、という意見もあるかもしれません。しかし通常はそういうキャッシュのファンディングが苦しい企業ほどそういう益が出やすいわけですよね。新たな資金を例えば優良企業並みのレートで引っ張ってきてそういった利益の出ている負債を返済するという行動が殆ど取れないのではないか?という気がするのです。しかも今回は特に資産側が痛んでいるうえに流動性もなく、さらにキャッシュ(流動性)不足は直ちに信用不安につながるので、資産と負債を両方解消して利益を出すというのがあまり現実的ではないように思えます。

であれば、こういう状況での決算は利益を立てるならそれ相応の引当を立てるべきだろうし、引当がいやなら逆に利益を立てないという扱いのほうがプルーデントなような気がしますが、どうなんでしょうか?まあルール的には今のやり方でいいのでしょうけれど、無理に時価会計をやることで本当の姿が却ってゆがめられることはないのでしょうか?という問題提起だと思います。

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【鷹鳩】米系決算を迎える前に
鷹「いよいよ米系金融機関の決算発表やな」 ...続きを見る
鷹くん鳩ちゃんの金融市場よもやま話
2008/04/15 23:03

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コメント(13件)

内 容 ニックネーム/日時
 長期金利の債務や、保険会社の予定利率のように、固定利率債務に対する金利水準変動で出た評価損益を時価で損益認識するという考えはある程度理解できるんですけど(全然賛成ではないのですが)。デットアサンプション(ディフィーザンス)を行って債務の償還損益を認識できるレベルであれば、正しい活用法だと思います。
 この例のような、自身の信用悪化に基づく債務評価減による益は、ゴーイングコンサーンの仮定にも反して問題外でしょう。ファンディングに困らない自信があり、実際に買入消却して債務償還益を立てた企業だけがその益を享受できる(つまり、評価益は認めない)のが筋だと思います。
元IB現PB
2008/04/10 18:45
解説ありがとうございます。
英語で読んでもチンプンカンプンでしたので。

このことでかなり昔のことを思い出したのですが、いまも存在する某会社ですが、倒産するといううわさで、そこの社債がかなり安くなっていました。
当時、これなら買ってもいいかなと思ったので、覚えているのですが、とにかく、ものすごく安かったという記憶があります。
それでどうなったかといえば、当の某会社がそのものすごくやすくなっていた自社の社債を買って償却したのです。
なんせその時の時価ですので、税務署も文句はないと思われます。
当然、債務金額と償却金額の差は利益計上だと思いますが、うまいことをやったもんだなと感心したことを思い出しました。
隠れファンです。
2008/04/10 21:37
負債の時価評価については、最近FASBから下記リンク先のようなものが公表されていますね。
http://www.fasb.org/project/fas157_measurement_of_liabilities.shtml

負債については一般に活発な市場が存在しないため、評価技法へのインプットが恣意的なものとなりやすいこと及び自らの信用の悪化に伴い負債が圧縮されてしまうので財務指標の解釈が従来とは変ってしまうというような問題があるので、デリバティブ負債やカラ売り有価証券などは兎も角、借入金や社債まで時価評価するというのは、会計マニアではない一般投資家を惑わすだけのように個人的には思います。
SOS
2008/04/10 23:15
上記コメントのリンク先の表示が変になっていましたので、該当部分についてもう一度投稿させていただきます(申し訳ありません)

http://www.fasb.org/project/fas157_measurement_of_liabilities.shtml
SOS
2008/04/10 23:17
元IB現PBさんどうもです。2002年ごろアメリカの企業年金であったように負債の割引金利を国債金利から社債金利に変更することで損益をよくしたような事例も思い出しました。ご指摘のとおりかと思います。

隠れファンです。さん、コメントありがとうございます。お書きいただいた事例の場合、まさにキャッシュで償却できたわけですから、これは当然ありですね。そういう余裕のある企業は大丈夫でしょう。

SOSさん、ご教示ありがとうございます。そうなんですよね。今回のケースは、見る人が見ればわかるとはいえ、ややミスリードになっているような気がします。

厭債害債
2008/04/11 00:33
>いまも存在する某会社ですが、倒産するといううわさで、そこの社債がかなり安くなっていました。

ロスカットルールでこの会社(たぶん)の債券を売らざるを得ませんでした。その後、IRで堂々と社債買入償却で数十億単位の益が出たと嬉しそうに語っていたのを今でも思い出します。それ以来この会社の名前も聞くのがいやになりましたが・・・。そういえば詐欺にあったとかなんとかこの前言ってたなぁ。
たこ
2008/04/12 10:45
初コメどうもです。

このエントリを読んで保険会社のエンベデット・バリューの概念を思い出しました。保険会社も負債を時価評価すると大変ですね。

負債の時価が低下しているということは、過去に安い金利(スプレッド)で調達がロックできているので、資産の金利(スプレッド)が上がる局面では、差が拡大し、利益がでるのはある意味当然です。

でもBSを時価評価するだけだと、ご指摘の通りの問題が発生するので、やっぱり将来CFを見るべきでしょうね。調達コストが安いとアーブが大きくなり、利益がでるため、将来CFにはポジティブに働きます。但し、リスクが高くなっているときはディスカウント・レート(割引率)が高くなっているので、理論株価が上昇するとは限らない、って感じですかね。
yari
2008/04/12 12:26
同じ個所を試験勉強中なのでどなたかご教示賜りたく。
US GAAPでは負債の時価変動によるGAINとLOSSは反映させないことになっていると思いますが、どういうことなのでしょうか。デフィーザンスも現在のFASBでは認められていないはずですが。市場性負債の評価にしてもM TO Mではなく、FAIR VALUEになると思いますが。単純に時価適用していいのでしょうか
勉強中
2008/04/12 12:42
貴重なご意見ありがとうございます。自分の評価を下げて一かばちかの大勝負なんて、捨て身の作戦は日本人好みかと。でもこれをわざとやると、逆粉飾決算なんことになるのでしょうかね。この場合利益隠しだと、確実に税務でやられそうですが。
で多分だと思うのですが、不当な?売り仕掛けで株価を下げられて、実態以上にマーケット評価を下げさせらた企業の防衛策としては、このあたり逆手にとって利用したら結構面白いかもしれませんが。
当然マーケットの中のゆがみが修正されるまでですが。ようは、下げられて他人に買い叩かれるよりは、自信があれば自分で負債サイドを圧縮しちゃうのです。
両建て
2008/04/12 21:49
たこさん、コメントありがとうございます。ありうる話ですね。でも、まあきちんと調達できていたから生き残るべき会社だったのだと思うしかありませんね。

yariさん、コメントありがとうございます。生保の7EV(エンベッディッドバリュー)の場合は「将来利益」の現在価値評価という側面がありまして、純粋な負債の時価評価とはやや趣を異にしますが、会計的にいくつもの前提に基づいて表示される経営指標という点では同じでしょうね。負債の時価評価はおそらく2011年ぐらいから始まるでしょうが、いろいろ詰めるべき議論が山積みでどうなりますやら。

厭債害債
2008/04/13 14:05
勉強中さんどうもです。申し訳ありませんが私も必ずしも専門的には詳しくなく、いずれ調べてみたいと思っていますが、とりあえずどなたかお手伝いをお願いしたいと思っています。

両建てさん、どうもです。調達がきちんとできる限りは、安くなった負債を買い戻して消却するのは企業としては当然の行動でしょうね。
厭債害債
2008/04/13 14:09
こんにちは。TBさせて頂きました。

問題となってる米系金融機関が、この環境下で、命よりw大事な手元の流動性を犠牲にしてまで債務を買入消却するってことは、、、、、無いでしょうねぇ、やっぱり。
鷹鳩
2008/04/15 23:14
鷹鳩さん、コメント並びにTBありがとうございます。ご自身のブログでも引用していただいて恐縮です。おっしゃるとおり、ここでキャッシュを使って償却することは多分ないでしょう。きちんとほか脳方法で調達できるのであればそれはそれでアリかな、とは思います。
厭債害債
2008/04/15 23:58

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