厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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zoom RSS 「金融権力」(岩波新書)

<<   作成日時 : 2008/06/03 07:14   >>

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本山美彦教授の著。
基本的には、米国の金融界のもつ共通した権力性を軸にした世界観ということで、納得できるところが多い。格付け機関という表現の欺瞞性はワタクシも以前に指摘したことがあるが、そうした細かい事柄を通じて権力は知らず知らずのうちに力をつけていく。
この書では、歴史的な出来事を整理してそれがアメリカを中心とする金融権力につながっていることを示している。内容はおおむね既知の事柄が多いが、ワタクシの知らなかった学者や識者の意見や知見も多く引用されていて、その意味では読む価値がある。

ただ、現場の人間は、最初のプロローグあたりから相当いらつくと思う。それは、細かい点でやや不正確ないし誤解を招く記述をされているからである。たとえば

間接金融と直接金融の違いについて書くくだりで「銀行預金者と異なり、証券への投資家は、長期的に証券を保有しない。株式ですら保有期間は長くて数週間である。」(P11)と言い切ってしまっていいのだろうか?

またCDOについて「CDOの多くは金融機関が勝手に、つまり金融当局の認知がないまま、独自の計算方法で価格をつけてきたものである」(P20)とあるが、金融当局が販売時の値決めにかかわるのは相当厳しい規制業種だけであり、多くの商品については金融当局が関与しないことについて問題とされることはない。あえて言うなら、準公的役割を担っていた格付け会社がそのチェックをし、信用力を与えていたことが問題なのだろう。

P29の「CDOの期間はわずか1〜3ヶ月である。」というのはABCPかなにかと混同したものと考えられるが、明らかに間違い。

出版前に投資銀行の方のチェックを通せば、と悔やまれる部分ではないか。


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コメント(11件)

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裏を返せば、学会と現場に繋がりがないということを物語ってるのでしょうか。
実際、サブプライム問題のときの、有名大学の教授のコメントにも誤りが散見されましたね。
恐らく、逆もまた然りなのかもしれませんが。

学会と現場の繋がりについての、as-is, to-beはどのように思われますか?

私は、学者と言われる人に、もっと実務経験者がいてもいいと思うのですが。
アナリスト
2008/06/03 23:58
 この種の本はすぐ目を通すようにしていますので、先日立ち読みしました。いくつかの記述で私の中ではもう完全にトンデモ本として分類されてしまったので、さっさと棚に戻してしまったのですが。害債さんオススメとあれば、仕方ない^^) 読んでみますか。
アナリストさん、
>学会と現場に繋がりがない
今回のはひどすぎる例だと思います(^^;
学者と実務経験者の融合には大賛成です。開かれているようでいて、実は政治力のある大物が突然に教授になる以外に道がない。それこそ私レベルのペーペーが講師として教えられるようになると良いだろうなと思うのですが。

元IB現PB
2008/06/04 10:38
元々、金色夜叉ではないが金は力の象徴になっています。官僚が官僚支配をしているのも税収を勝手に我物顔に使っているのを言っている訳で、金融は事業者からみれば雅に権力に相違ない。融資をする立場が権力であって、資本市場の成熟によって間接金融が支配力を減じた因により金融の生存を掛けて様々な金融商品が生れたのでしょう。金融が弱者になる過程が金融権力と呼びたくなる構図を作っているのでしょうね。
Hbar
2008/06/04 11:41
アナリストさん、どうもです。学者の役割は、現実から多少離れたところで冷静に長期的に物事を分析することであり、実務家はそこからより根源に根ざした知見とか基礎を得るのだと思います。学者までが余りに実務的に走りすぎる昨今の金融の世界では、こういう立場は必要かなともおもいます。といってミスを決して許容するわけではないのですが。

厭債害債
2008/06/04 11:58
元IB現PBさん、どうもです。あの・・・決してお勧めしたわけではないのです。是非行間を読み取っRちじゃP@うわMなにをする・・

厭債害債
2008/06/04 12:01
Hbarさんどうもです。あまり言い過ぎると誤解を招きかねないのですが、お金とか金融の公共性みたいなものについてこれまであまり注意を払わなさすぎた、ということでしょうかね。今回のサブプライムで久しぶりに金融システムと公というかかわりが表に出てきたことは、ちょっとした変化のきっかけになるかもしれません。
厭債害債
2008/06/04 12:05
capital markets、finance理論を学ぶ人や自分の意見を発信する立場にあるアナリストに、たとえばサブプライムを語るとき、何を求めるか。
1.subprime,Alt-AのRMBSやHELOCのP&S Agr, Prospectusを読み、パターンに類型化できる。
2.CDOやSIVのprospectusに読んでいる。投資家配布用transaction summary、term sheetを自分で作成できる。CDOやSIVのCitiの投資家向けレポートを読んだことがある。
3.CDSのISDA standard formを読んだことがある。
4. RMBS,CDOのrating criteriaに目を通し、base modelを理解している。
5. SEC届出されているRMBSなどのServicing reportをみている。
6. monolineのSEC届出書、investor reportを読んでいる。
これらがnoの方のサブプライムの分析、教えを、合理的根拠をもって信じられますか。
学者・アナリストの基本知識
2008/06/04 13:52
なんでもかんでも、英語を使って自分だけの世界で、現実を見極めもせず、他人の声に耳を貸さない。でそんなの読んでないと、経済を語れないのしょうか。どんな専門用語というかあんたらだけしかわからんお宅言葉という感じですが。(このあたり悪徳金融業者とかわらんわ)それが全て出たらめだからこうなった結果でしょ。
かるパース
2008/06/04 22:18
証券を語るのであれば、目論見書くらいは読まないと、証券化では証券の概要も分からないでしょう。「読んだことがないから」CDOで誤った記述があると合理的に推論されることはしかたがないでしょう。部外者が、取引を正しく理解し、リスクを認識して、現実を見極めるために、目論見書を読むのが常識的アプローチでしょう。読んでいなければ、語ることはできません。本を書いたりしたり、アナリストの最低の注意義務でしょう。基本知識がなくて、証券リスクは論じれないでしょう。株や社債や不動産ではないのですから。サブプライムを語るのであれば、関連商品がニックネームのようなのは新聞で引用される名称で、専門用語ではないでしょう。誤りですか。
吉行誠
2008/06/05 15:55
でそのもくろみ書とやらのここがおかしいとかいわんとアナリストは。でその辺のババーに、ほら目論見書にブラックショールズの式が書いてあるでしょ。それを理解しなかったあなたが悪いとあんたはいうのかね。
かるパース
2008/06/07 00:08
目論見書の主体が、取引概要、リスクファクター、タームシートで、モデル分析ではないことは、ご存知と思います。証券会社に従事する学者もおられ、CDSやCDOの確率的な数理モデル分析をされており、credit derivativesでは多くの論文が出てくる。しかしそれは、基礎工学の部分であり、取引の概要ではない。目論見書は、SEC届出で要件を満たしていれば受理され、33年証券法、34年証券取引所法に照らし、証券詐欺に当たるか、risk factors開示が正確に、不開示なくなされているかは、悪意の違法性があれば、損害を受けた者が請求する紛争でしょう。裁判で決定されたらよい。そこにモデルの妥当性についての議論はでてきませんし、法的に裁けるものではない。おっしゃられるのは、格付会社のbase modelの想定が現実を予測するには、妥当性を欠いたことをおっしゃられるのですか。学者が見当違いをするのは、目論見書も読まないで、FAS基準にも目を通さず、サブプライム・モーゲージを語るからというだけ主張です。
吉行誠
2008/06/07 03:10

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