厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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zoom RSS A House of Cards

<<   作成日時 : 2008/07/09 18:39   >>

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辞書によればいわゆる(子供の作ったカードのピラミッドのような)危うい計画とか仕掛けとかそういう物をさすイディオムである。マイケル・ドブズ(Michael Dobbs)の名作政治ミステリーのタイトルでもある。

米国証券取引委員会(SEC)が主要格付け会社3社への調査を行ったレポートが出ているようだが、それによれば格付け会社で利益相反の問題がかなり深刻であり、自社の営業を考慮して格付けが行われていたことが明らかになっているという。
更には格付け会社の従業員がCDOマーケットの中身のなさ(裏づけ資産のクオリティーの低さ)を十分に認識しつつ高い格付けを与えたという疑いがますます強まっている。

A House of Cardsという言葉は、今回はブルンバーグニュースの中である格付け会社の従業員の書いたメールの中に登場している。
(ブルンバーグニュースへのリンク)
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=conewsstory&refer=conews&tkr=MCO:US&sid=ajhoEOoJHZuY

要するに、CDOの市場がHouse of Cards(「砂上の楼閣」とでも訳すのがふさわしいかもしれない)であり、「我々が、この砂上の楼閣が崩壊する前に金持ちになって引退できることを願おう」とまでそのメールには書かれているようだ。くどいようだがこれは「格付け会社」の従業員の書いたメールである。またアナリストが格付けに際して「ビジネスを失うかどうか」という視点を思い切り持ち込んでいたことも明らかになっており、利益相反の問題が生じていたことが明白である。先日明らかになったムーディーズの格付けミス事件も含め、今後はルールの見直しや損害賠償、場合によっては刑事訴追というケースに発展する可能性もある。

一方でこの帰結として債券市場には次のような変化が生まれる可能性がある。
1. 証券化商品と一般の格付けについて明確な違い(格付け推移グリッドのところの違い)を一般に周知せしめること
2. 指定格付け会社制度の見直し(BISおよびそれに関連する規制一般)
3. 資産査定における格付けの重要度の低下

投資家の立場からすると、格付け会社の思い上がったような行動様式が是正されるという点では好ましいのだが、信用判断を一種外部委託しているという面も否定できず(それらのコストは発行体または引き受け業者が負担していたとはいえ最終的にはその分利回り低下要因となっているという意味で投資家が支払っているのだが)今後は格付けは依然として必要でなおかつ独自の観点でよりつっこんだクレジット分析を機関投資家が迫られる可能性がある。言い換えると、指定格付け制度に甘んじ単なる格付けだけをよりどころとして社債などを買うことが難しくなってくる。すなわちバイサイドのクレジットアナリストの重要性が高まる一方でコスト要因となってくる。

一方で、そういう人的な余裕のない投資家は結局社債投資などに対し控えめにならざるを得ない。市場の流動性が落ちてプレミアムが上昇するという副作用も覚悟しておく必要があるかもしれない。そして、それが本当にいいことなのか、という検討も必要であろう。


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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
TDBとかTSRは、情報を買った人がお金を払いますよね。なんで、格付けを依頼する人がお金を払うのか、前から理解できません。
通行人
2008/07/13 22:42
通行人さん、疑問はごもっともです。ただ、調達が必須の発行体は格付けをとって投資家に「買ってもらう」必要があります。買いたくなきゃ買わなくていいよ、では済まされない。だから、自分から進んで格付けをとって、投資家にアピールしに行くのでしょう。また、結果的に格付けがあればファンディングコストが安くなる可能性があり、発行体にはお金を払ってもそうするメリットがあると思います。
なお、事後的に個別のクレジットを調べる場合はやはり投資家が個別に金を払うのは同じでしょう。
厭債害債
2008/07/14 19:40

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