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CDSの取引は主に金融のプロ同士が行ううえ、それを取り締まる法律も特になく、相対取引の枠組みの中で取引は大きく伸びた。最近米国の決済機関DTCの親会社であるDTCCが公表した今年10月末のCDSの想定元本総額は、個別主体に対するものとインデックスを対象とするものを合わせると、33.6兆ドル(約3300兆円)にのぼる。これ以外にも米国で金融保険を業務とする会社などが相対でやっていて報告されていないものもかなりあるようだ。もっともDTCの数字のうち9割程度は業者間取引が両建てでカウントされているため、実質的なリスクはその1割程度という見方も出来る。それでも市場では少なくとも数百兆円を超える企業倒産リスクポジションを誰かがとっているということである。 CDSのカウンターパーティーリスク(及びそれに伴う決済リスク)はそれ自体大きな問題であるが、そもそも、このような取引は契約自由の名の下に自由に当事者が行ってよいものだろうか。たとえば全くAという会社に利害関係を持たないBとCの間でAの倒産リスクが取引され、Cがそのリスクを引き受ける見返りにBから一定額をもらうとする。BはAにクレジットイベントが発生すれば、おそらく極めて低い価格(たとえば額面の10%)で設定されるであろう清算価格と交換に額面全額を受け取ることが出来るというのがこの契約の仕組みであるから、BにはAの倒産を期待するという合理性が生まれる。状況によっては、Bが様々なやり方でAの信用力に悪影響が出るような行動を取る可能性すらある。Aが借り換えに依存しているような業態の場合、Bが金融機関であればその借り換えが困難になるような行動を金融機関がとってみたり、その企業にとって不利な分析レポートを関連会社のアナリストが書いてみたりすることだって考えられる。そのような行為も悪意の証明はなかなか難しいため、結局のところ借り換えが苦しくなっていくという事実でAの信用力が悪化し、CDSの時価(上乗せ金利の水準)が上昇する。すると、市場はその水準の上昇を見て当該企業になにかよからぬことが起こっているという理解をしてしまうため、ますます与信がつかなくなる。このようなことが、流動性の欠如する市場ではスパイラル的に生じ、場合によっては資金繰り倒産に追いやられ、その結果プロテクションのバイヤーは利益を得られるのである。もちろん人為的に追い込まれる企業はそれほど多くないかもしれないが、仕組みとしてそういうリスクを内包していると私は感じており、それを明確に防ぐ方法は今のところ用意されていない。 現在、通常の生命保険ビジネスでは第三者の生命に対して掛ける保険は実務上引き受けることはない。それは第三者の死亡によって得られる経済的利得が大きいため、殺害したりするインセンティブが働いてしまうことを恐れるからであり、実際過去に保険金目的の殺人は何度も発生している。こういう状況は生命保険におけるモラルリスクと呼ばれるものである(モラルハザードとは別物である。念のため)。 企業信用の世界でも、自分の持つ特定企業への与信をヘッジするためにこうしたポジションを取ることすなわち保険を掛けることは許されるだろう。そしてそうした保険を業として引き受ける企業の存在もありうるだろう。しかし、CDSの問題がここまで大きくなったのは、自分と関係のない企業のリスクを取引することが必要を超えたレベルまで許容されてしまったためである。そして引受業者にとってもその規模が大きくなりすぎたこと、さらには性格上保険事故が連鎖的に起こりやすい(つまり通常の病気よりも大量伝染病となりやすい)フィールドであるにもかかわらず、そうしたリスクを考慮していなかったと思われることである。そのような危険なフィールドで無制限な保険ビジネスを許容してしまったことが、今日の問題を引き起こした原因の一つといえるのではないだろうか? |
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そうか、CDSを生保で考えれば簡単だったんだ。 |
kazzt 2008/11/24 00:15 |
kazztさんどうもです。オプションは一種の保険であり、保険とデリバティブの親和性はきわめて高いですね。CDSはスワップと名前はついているものの実質オプションですし。 |
厭債害債 2008/11/24 21:23 |
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