厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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zoom RSS 暗黙のコール保証?は成り立たない。

<<   作成日時 : 2008/12/18 07:09   >>

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昨日ブルンバーグを見ていたら、ドイツ銀行がある劣後債(10年満期、5年コール)のコール期日にコールオプション(発行企業が期限前に償還させるオプション)を行使しないことを決めたという記事が出ていた。つまり2009年1月に予定されていたコール期日に弁済を行わないで、2014年まで期限が延びることを意味する。こうした劣後債は、優先(シニア)債権者より劣後して弁済を受けられるということで資本性を持ち、BIS上もローアーティア2に入るため、多くの銀行が発行しており、日本の金融機関だって国内で大量に発行している。

こうした期限付き劣後債の場合、あまり長いと投資家が存在しないため、短くするためにコールオプションをつけ、さらにコールを事実上強制するためにコールしなかった場合その後の利率が大きく上昇する仕組みになっていることが多い。今回のドイツ銀行の場合、L+88bpへ上昇する。ところが、最近の状況にかんがみコールしても再調達しようとすると88bpどころのコストではなくなってしまうため、経済合理性からコールしないで多少金利を上乗せして劣後債務すなわち資本を維持したわけだ。

もちろん、こうしたことはすべて債券の発行条件に書かれており投資家も理解して投資しているわけで、「本来は」なんら文句のつけようが無い。

ただ、「本来は」と書いたのは、こうした銀行劣後のばあい、市場にどうも「暗黙のコール保証」みたいな空気が存在しているように思えるからだ。現にこのブルンバーグの記事でも、直前にBNPパリバが同様の劣後債についてコールしたためドイツ銀行についても当然そうすると見られていたようで、債券の価格もそれを織り込んで100%に近いところで気配が出されていたようだ。ところがコールされないと決まった瞬間、この債券は残存5年の劣後債務となり、今のマーケットだと下手すると90%以下かもしれない。つまり一瞬にして10%近い評価の下落となる。

(追記:この債券にはバーミューダン・コール条項がこれから先5年ついているため、今後は四半期ごとにドイツ銀行がコールするかどうか選択権を持つようです。ちょっと見落としていました。ちなみに、バーミューダン・コールはアメリカンタイプ(満期までいつでも行使できる)とヨーロピアンタイプ(満期日一回だけ行使できる)の中間で、満期までの間に何回か行使の機会があるものを一般的にさします。なぜ、バーミューダかというというまでもなくアメリカとヨーロッパの中間だから(ほれ、バミューダ諸島があるでしょう?)。金融業界(とくにデリバティブ)はこういうくだらない言葉遊びが結構好きです)。

海外金融機関のほうが最近信用度が?なので一概に言えないけれど、日本の金融機関について発行している劣後についても同じリスクは本来はある。ワタクシが懸念しているのは、海外はどうかわからないけれど、少なくとも日本の劣後の発行市場においては「暗黙のコール保証」が価格に織り込まれているのではないかと言うことだ。ワタクシの印象ではこうした価格の発行時の値つけでは10年劣後債券にコールオプションの価値を織り込むのではなく、5年金利との比較で(ワタクシに言わせればテキトーに横にらみの比較を行いながら)劣後性のリスクを織り込みつつプライシングされているのではなかろうか?

信用スプレッドの高止まりがつづけば、今後日本の劣後についてもこういう事態が生じない保証はない。もちろん、日本の場合は取引関係などの制約も大きいし、もしかしたら口頭でかなりつよいコールのコミットをして引き受けてもらっているケースも多いから、なかなか難しいかもしれないけれど、債券の発行条件としてはそういう事態が生じてもなんら不思議ではないのだ、と今回の事例は改めて認識させてくれる。

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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
最近は驚くようなニュースに事欠かないんですが、今回のも結構なインパクトがありました。
私も、比較的な高金利に釣られて、個人向けの劣後債をいろいろ買っています。
その際に、理論上はともかく、実際上は繰上げ償還が確定しているようなものという説明を受け、自分もそうだろうと納得して買っているんですが、こんなことがあるんですね。しかもドイツ銀行というビッグネームで。
自分的には、満期が3年間から8年間になっても、金利を享受できる期間が長くなるので、却って嬉しいのですが、時価評価しなければならない機関投資家だと大変ですね。
初心者
2008/12/18 09:04
おはようございます。なりふり構っていられないというところなんでしょうね。 
私がこの記事から感じたのは、今後暫くは金利は寝るしかないと思いますので、もしかしたら5年後にはEURIBOR+0.88%というのも美味しい話になってしまうなんて事もありうるのかと、同じ88bpでも4%と1%では・・・
フレッド
2008/12/18 10:07
仰ると通りでして、国内の劣後債も暗黙のコール条項付きのプライシングです。今日でしたか、横浜銀行の同様のスキームの劣後債がニュースになってましたね。今は、みずほと野村が個人向けでやってますよね。でも、コールかけるには金融庁の許可が必要と言う罠。でもって、地銀劣後で過去コール掛からなかったケースも実際ありまして、コール保証の神話は崩れてしまったんです。
鷹鳩
2008/12/18 22:28
そんなことは英米の下らん常識でしかないということでしょ。その英米流の常識が非常識で崩壊した以上、ある意味での反逆ですよ。米英系通信社は次の起債ができないとかいっているけど。今の状況は関係ないでしょ。そのあたりの世界観の違いはドイツはしっかりしてますよ。その点なさけないのはうちやつらですよ。
かるぱーす
2008/12/21 00:47
こういうバカの常識は意味がないのです。
確か日本国債の格付け【今ではアホでも信じない宗教的な階級差別】がボツワナ以下に下がった時の、ドア方が大変なことだといったましたね。で日本国債の保有者の90%以上が国内投資家で、円貨で決済がなされて、外貨準備(=米国債の保有)が世界最高である以上意味がないのですよ。君たちは何をいってるのかね。
かるぱーす
2008/12/21 00:54

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