厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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zoom RSS ベーシス・スワップ

<<   作成日時 : 2009/02/27 18:19   >>

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といっても、マーケットの人以外には聞きなれないし興味も無いかもしれませんが、まあ愚痴だとおもって聞いてください。

スワップというのは文字通り「交換」を意味し、金融取引において「等価と思われるキャッシュフローの交換」をさします。…と思われる、と書いたのは、そこに将来の変動要因が入っているからであって、それゆえ、スワップ取引の残高も時価変動リスクにさらされる。そしてその時価というが最終的には需給で決まってくることもほかの金融商品と同じです。

ベーシス・スワップというのはスワップのうち「異なる変動金利のフローの交換」と定義されます。典型的な一つのカテゴリーとして、ドルの変動金利(たとえばドルの6ヶ月LIBOR)と円の変動金利(たとえば円の6ヶ月LIBOR)とを交換する契約がそれにあたります。この取引はたとえば、ドル6ヶ月LIBORと交換するとき円6ヶ月LIBORに対してどれだけのプレミアムないしディスカウントをつけるかという形で表示されます。たとえば、期間5年のドル円ベーシススワップの市場建値は、(ドル6ヶ月LIBORフラットに対し)円6ヶ月LIBORプラス(マイナス)XXベーシスポイント(1ベーシスポイントは1/100%)という形で表示されます。

さて、この異通貨間ベーシス・スワップで6ヶ月なり3ヶ月といった金利更改期間が一致している場合、プレミアムなりディスカウントというのはおおむねゼロからそれほど遠くないレベルで取引されていたのがこれまででした。なぜかというと、そもそも将来の変動金利水準(つまり将来の各時点での6ヶ月金利)は金利裁定によって為替レートに反映されると考えられるため、どちらの通貨の支払いでも受け取りでも、理論的な受取額が一致すると考えられるからです。つまりそもそも異通貨間で同じ期間の変動金利の交換は等価であると考えられてきました。

ところが、最近のベーシス・スワップのディスカウント幅が過去例を見ないほど拡大しています。チャートをごらんいただければ一目瞭然ですが、こういう水準は記録が残っている限りにおいて見られたことは無い。
画像


このベーシス・スワップの参加者にどういう人々がいるかというと、最近で典型的だったのは、ドルの調達主体(たとえば海外の金融機関)が円で調達しようとした場合があります。これらの人々は、円で調達した場合、その円(変動金利)の支払いのために円の変動金利を受け、ドルの変動金利を払うスワップを契約します。それによって基準通貨であるドルでの調達コストを固定するわけです。ここで、たとえば、こういう人々があまりにもマーケットに集中しすぎて需給が大きく狂ったときにどうなるか?みんな円の変動金利を受けたがるわけですから、その価値は値上がりし、円の変動金利に対して大幅なディスカウントがつき始め、受ける金利が下がってしまいます。そうした金融機関が投資家に対して支払っている金利がたとえ円の固定金利であったとしても、もうワンステップ、円の固定の受けと円の変動の払いをかませればよいだけなので(こちらのマーケットもまだ異常なんですが)理屈は変わりません。

しかしながら、こういった需給を吸収できないほどにはこれまでのマーケットは小さくなかったわけで、最近のマーケットのボラティリティーはやはり、プレーヤーの不在、という一言に尽きるのではないでしょうか?

スワップは先に申しましたように、金融商品であり、ポジションそのものが時価変動にさらされます。かりにヘッジ目的であっても、時価の変動によってポジションの勝ち負け(評価損益)は理屈上発生します。この評価損益は相手(カウンターパーティー)にたいする信用リスクとなります。あるとき自分がカウンターパーティーに対してスワップの評価益を持っている時点で、カウンターパーティーが破綻したとします。そのスワップ契約は今後履行されないことになりますから、同じ経済的便益を享受するためには「その時点での市場水準」で同じ条件のスワップを「再構築」しなければならず、その差額がまさに評価益プラスアルファ(手数料など)になるはずです。担保で保全されている場合は別ですが、こうした再構築コストが、まさにカウンターパーティーリスクということになります。これらのカウンターパーティーリスクの取り手が実は激減しているのではないかということです。また期末が近いという季節要因というのもあるかもしれません。

いま、金融機関で危機が深化してしまっているのは、実はおもなスワッププレーヤーだったところです。これらのところはバランスシートをきちんとして資本を有効に使うようにしていかなければならないため、どうしてもリスクに対する対応が厳しくなるでしょう。したがって、以前の感覚でこれぐらいの金額がスワップ市場でさばけると思っていたら、じつはプレーヤーはもうあまり残っておらず、必然的に少ないプレーヤーに引き合いが集中し、その元気なプレーヤーもおのずから取れるポジションが限られていて、それこそかなり「離した」プライスを出すのだが、それでも背に腹は代えられない(どうしてもディールしなければならない)場合もあるから、結構オーバーシュートしてしまったのではないかと推測しています。もちろんワタクシごときにすべてのフローが見えているわけでもなく、推測の域を出ないので、もし事情に詳しい方がいらっしゃれば是非ご教示を。

巷間いわれている一つの要素は、外国政府保証のサムライ債などです。かなりの金額を出したけれど、外国主体だから、ベーシス・スワップがからむケースが多いはず。そういえば、オーストラリアの一つの銀行は結構増額したけれど、後の銀行は減額したり発行そのものを見送りつつあるところもありました。背景にはこのベーシス・スワップ市場の混乱があるのでしょうね。

最初に愚痴だと書いた意味はなんだ?っていう質問については、ご想像にお任せいたしますとお答えしておきましょう。

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
ドル円のベーシスがこんなことになっていたとは、気づきませんでした。勉強になりました。

仰るとおり、豪銀やら蘭銀やらが侍起債しまくって、歪めているのかもしれませんね。今の流行は政府保証侍ですから。

愚痴は期末に絡む債券の時価評価と勝手に想像しております。


鷹鳩
2009/03/01 15:58
おはようございます。
円ドルのベーシスは、誰もレベルが見えなくて大変みたいですね。受けが強いのは、サムライ債が大きな要因だったようですが、先週末のカオス状態はどうやら5年の-85?辺りで大きな仕組み債がヒットされて、そのポジションが云々という話を又聞きしましたが・・・
フレッド
2009/03/02 10:57
AUDのベーシスも、ほぼ一年前(ちょうどお彼岸の祝日のころ)に、ヒストリカルに見て一日の動きではあり得ない位スプレッドが拡大し、これが昨年秋以降のめちゃめちゃなマーケットのプロローグだったように思えます。厭債さんのおっしゃるとおり、プレーヤーのリスク許容度の低下によって、このようなマーケットの歪みが是正されずに放置される傾向にあり、むしろ、複雑な仕組債に絡んだヘッジなど、レベル感に関係なくトレードする人々が歪みを助長しているような、、、。
いやはや、何がなんだかわかりません。
よっしー
2009/03/02 12:51
鷹鳩さんどうもです。残念ながらご想像のとおりではありませんが、ボヤきばかりの今日この頃です。

フレッドさんどうもです。仕組み債がらみもあったのですね。勉強になりました。

よっしーさんコメントありがとうございます。おっしゃるとおり、金融の世界では「レベル感にかかわり無く」強制的にトレードさせられる場合が多いので、プロシクリカルな動きが加速されやすいですね。これも今回の危機についての反省の一つのテーマかとおもいます。
厭債害債
2009/03/02 19:06
いつも拝見しております。
為替の指標はいつも気にしては居るものの、教科書にあるようなエコノミー等価の裁定が働く説明は多くあっても、なかなか現実に即した実務的な部分の解説は少ないのが現状で、とても勉強になります。
少し前に異常な動きになった為替のフォワードや、リスクリバーサルについても機会があったら取り上げていただけると有難いなと思いました。(個人的感想です)
blue^2
2009/03/03 00:14
blue^2さん、コメントありがとうございます。個人的見解を勝手に書き連ねているだけのブログですので、あまり多くを期待されてもアレなんですが、自分自身でも勉強になりますので今後もいろいろ書いてみたいと思っています。よろしくお願いします。
厭債害債
2009/03/03 10:26

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