厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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<<   作成日時 : 2009/03/06 01:18   >>

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この時代ならではの裁定取引ですが、たとえば、ある企業の5年債券が信用力の低下で額面の20%で取引されているとします。一方、以前一物三価というエントリーで書いたように、CDSの取引は全く別のロジックで成り立つのでたとえば1400bp(年間14%の支払い)で取引できるとしましょう。投資家がこの債券を買ったうえでCDSのプロテクションを買うと、5年間での投資は最大20%+(14%x5)+手数料(たとえば5%)であり最大95%ですが、万が一その債券がデフォルトしてもCDSでカバーされているので(カウンターパーティーリスクを無視すれば)100%の額面で支払いを受け取れるから、5%が倒産リスクを相殺しても自動的に残る。もちろん倒産しなければ同様に100%で元本が返ってきますから、5%プラス所有期間の利息が手に入る。つまり通常の運用に比べて確実に5%上乗せした投資ができることになります。

今日ブルンバーグの記事でこれが紹介されていたのですが、これの怖いところは、投資家にとって対象企業が早くつぶれたほうがリターンが高いことです。つまりこの取引をやった翌日に会社がデフォルトしたら、極端な話1日で5%の利益ですから、年率換算ではすごい利回りになります。ところがこの会社が5年間持ちこたえたら、利回りという観点では鞘の部分は年率1%にしかなりません。となると、本来債権者が協力すれば再生可能だった企業についてもそうした裁定取引の投資家は話し合いに応じなかったり、あるいは何とかしてCDSの相場を持ち上げて不安をあおって資金繰りを止めて、当該企業を倒産に追い込むというどす黒いインセンティブがわくことになります。

ブルンバーグで取り上げている企業の一つSIX FLAGSはアメリカでも有名なアミューズメントパークで、ワタクシも2度ほど行ったことがあります。主として絶叫系中心の場所なので、結構人気もあり、リピーターも多かった。まあ日本に比べればガラガラで、経営大丈夫かとか思ったりすることもありましたが、いずれにしても子どもや若者(ワタクシではない)にとっては結構有用な場所でした。たぶんここに書かれたような裁定取引を行う人々は、そういうことは一切お構いなくつぶれれば儲かると思っているかもしれませんが。

この辺の問題点については、以前にもCDS取引のモラルリスクというエントリーでちょっと取り上げましたが、やはり現実にもそういう事例が出てきているということでしょう。

いずれにしても平時であれば裁定取引として容認されるであろうやり方も、ここまで市場が傷んで政府が必死で機能の維持に努めている中で、このような取引に入ること自体のモラル(あくまでモラルのレベルでしょうけれど)が問われなければならないのではないかと感じます。企業の中には確かにつぶれても仕方ないところもあるでしょうけれど、資金繰りや事業環境の急変で急激かつ一時的におかしくなってしまったところも多いでしょう。企業の社会的な存在意義を個別に検討することなく、企業がつぶれれば儲かるからつぶしに行く、といった行動をとる主体があったとしたら、それは反社会的勢力と言わざるを得ないと思いますが、どうでしょうか?

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破綻願望
今日、ブルームバーグに面白いニュースが流れていた。 ----------引用開始---------- CDS買いの投資家は破たんが望み、フォードなどの債務再編の障害に 2009-03-05 08:19:19.528 GMT 【記者:Caroline Salas and Shannon D. Harrington】 3月5日(ブルームバーグ.. ...続きを見る
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2009/03/07 11:09

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
去年のベア・スターンズ吸収のときもそういうGSかどこかの風評でやられたと元CEOが言っていた気がします。多分うわさを流した連中はこうした取引をやっていたのでしょうね。
EURO SELLER
2009/03/06 02:05
管理人様の記事はが大変造詣深くとても勉強になります。CDSに関しては以前株の空売りを禁止してもCDSを取引することにより実質的に空売りするのと同じ効果を上げることができるという説明を聞いたことがあったんですが、カラクリはこういうことだったんですね。下落相場では株を売り禁止にするところまでがノリシロだと誤解していました(汗)。CDSを利用すれば破綻に追い込むところまでが全部ノリシロになってしまう。一物三価ですか・・・。目から鱗でした(汗)。
はじめまして
2009/03/08 02:10
EURO SELLERさん、どうもです。まさに風評が効くのがこのマーケットの怖さでしょうね。

はじめましてさん、どうもです。お役にたてればうれしいですが、まあブルンバーグの記事にちょっと味付けした程度ですので、あまり感心していただいてもそのあれ・・・(汗)
厭債害債
2009/03/09 05:37
債券の世界にマーケットレベルの裁定はありえません。
だめです
2009/03/14 00:13
だめです、さんコメントありがとうございます。たしかに債券の現物は独自の価値観で動いているようですね。
厭債害債
2009/03/15 20:48
クライスラーも黒い噂が絶えませんね。火消しがうまくいかなければ、GMも餌食になりかねません、ってもうすでに宝の山であることがばれてますね。

それにしてもインフルエンザはどうしようもないようです。まさか中国より動きが鈍いとは考えもしませんでした。未だに原因を調査しようともしないところにアメリカの没落が垣間見えます。南アメリカはこれから冬だそうで南アメリカの状況が夏以降の北半球の未来を先取りするのかなと思ってます。
タロ
2009/05/01 22:56

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