厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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zoom RSS 貸し渋り対策法案の落とし所

<<   作成日時 : 2009/10/10 10:23   >>

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亀井大臣の返済猶予プランによれば、やはり金融機関にも一定の配慮をして(?)、このプランの一定の条件に従って返済猶予した債権については「不良資産」(おそらく少なくとも査定によって一定の引き当てを要求されるレベル=破綻懸念とか実質破綻とか)にはしない方針である、と報じられている。

ロイターの最近の記事では、貸し渋り対策法案はおおむね次のような内容を盛り込むと予想されているようだ。

(引用開始)
ロイターの取材では、同法案の検討チームによる合意事項に、1)猶予期間は最長3年、2)実施期間は1年の時限立法、3)返済猶予の適否の判断は強制せず、金融機関が判断する、4)借り手の対象は取引先の倒産などで一時的な資金繰りに窮している中小・零細企業と、勤め先の倒産などで住宅ローンの返済が困難な個人、5)貸し手の対象は預金取扱金融機関に限定、6)返済を猶予した債権を不良債権に分類しない、7)金融機関による取組状況は定期的に国会への報告を義務づけ制度の実効性を確保する、8)信用保証制度や改正金融機能強化法などの活用――などが盛り込まれていることが明らかになっていた。

(引用おわり)

多くの関係者がすでに感じていることだが、既存の信用保証制度や改正金融機能強化法などの制度を使いつつ、個別に返済の繰り延べを認めるケースを作るということであれば、実態的には現状と大きな違いはない。複数の民主党関係者からお話を伺った感触からも、本来的に実務レベルで目指すのはそういう方向のようだ。

そして最大の違いはむしろ「不良債権としない」という方になってくる。支払期限の繰り延べを認めた場合今はそれが不良債権になるが、貸し渋り対策法案が施行されたら、一定の範囲で不良債権とならない、ということになるのではないか?

これは金融機関の引き当て(損失)を一時的に少なくする方向に働く可能性がある。ただ、問題はそのように支払いを繰り延べた先がやはりだめでしたとなった場合、一定期間後に損失が実現するだけのことであり、結局早期に処理すべき不良債権の、悪い言い方をすれば先送りにしかならない可能性がある、ということだ。

もともと将来の返済可能性を吟味したうえで対象とするのなら、もともと要注意先ぐらいまでしか対象にならない(破綻懸念だと「事業再生の見込みがほとんどない」ため)から、本当に意味のある政策となりうるのかな?という疑問はある。それをあえて金融機関に判断させて(つまり金融監督上その当否のチェックはしないということ?)やるのなら、本来対象となるべきではない破綻懸念先や実質破たん先などが入ってくる結果、損の先送りをやってしまう可能性はないのだろうか?

まあ国民新党はもともと「時価会計の全面停止」とか過激なことを言っているから、こういうやり方はむしろ整合性が取れているともいえるが、金融監督的には通せるとしても、会計的には保守性の原則?からみてやや疑問符がつくのではないか?と思われる。現在でも個別交渉レベルでは条件変更や猶予はありうるのであり、そのうえで一定の引き当てを行ったりしているのだから、それでなぜいけないのか、という疑問がある。

結局、多くの人が言うようにK大臣が単なるマッチポンプであり、国民新党の存在を最大限に国民にアピールするための大芝居を打った(本人は意識していないと思うけれど、ベテラン政治家として体に染みついた行動様式かな)と見るのが妥当かもしれない。すでにいくつかの点で(たとえば対象が預金取扱金融機関に限定されるかどうかなど)大臣が公の場で叫んだ内容とは異なる方向性が打ち出されているようであり、副大臣各位をはじめとする皆様方のきちんとした修正努力に深い敬意を表したい。

「レバレッジ政党」。一部の民主党議員の中で国民新党や社民党がそう呼ばれているという話を聞いたが、たしかにわずか数議席がまだキャスティングボートを握り党首が郵政や金融の重要なポジションをとったのだから、なるほど、と思う。ただ、世の中の流れは「デレバレッジ」なので、過剰なレバレッジの害悪がそのうち共通認識となり、それなりの対応がなされるのではないかと思っている。

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コメント(6件)

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貸し手からすると「今回の返済猶予を利用した借り手には次回からは(なるべく)貸さない」ということになるんでしょうか?
---
有権者のなかにも「私は国民新党/社民党へ投票したわけではないのに...」と思っている人がたくさんいそうな予感が。
(「デレバレッジ」のくだりは上手いなぁ。)
774
2009/10/10 11:31
774さんどうもです。今回の制度の実効性を担保するためには、次回の申し込みを断れなくする必要があると思うのです。その点は監督官庁がよくやる手として「報告」によって「ロールオーバー」されなかった借り手についてチェックする、というやり方はあり得ると思います。猶予期間があって返済できるのであればまあロールに応じるべきだというのが貸しはがし防止ということになるのでしょう。

国民新党・社民党に投票したわけではない・・・ということはきっと民主党の方々がもっともよく感じているはずで、それなりの対応が考えられているはずです。それが奢りにつながらなければいいのですが。
厭債害債
2009/10/11 09:43
法とは身分や財産を拘束したり強制する。
貸し渋り禁止でなく、ただ目標は法とはならない。
法違反には罰則・処罰規定があり、それが強制力を強める。

現在、債務超過でも支払不能でもないが、支払能力が欠ける債務者に支払猶予して、結果破綻したとき、国が銀行に補償をあげるのなら、必要予算の見積りを出さないと是非は判断できない。

大塚副大臣。立法者?行政機関の副責任者?
まず法を知れ。
支払猶予とは、支払いに関する契約上の債務不履行事由(金融界ではデフォルトと呼ぶらしい)が生じたとき、契約に定められた貸主の権利行使を一時的に猶予することで、権利放棄ではなく、猶予条件を守らなければいつでも権利行使でき、債務全額について期限の利益喪失、担保があれば処分される。
ちょっと我慢して待って、3ヶ月だけが猶予。
契約の条件変更は、法が私的な契約を変更するから、国が私的自治に介入し、財産権の侵害になるから、補償問題になる。
workout素人
2009/10/14 18:36
workout素人さん、コメントありがとうございます。原則的には全くおっしゃる通りです。しかも従来は個別の条件変更も私的自治の範囲内で行ってきたわけで、それを強制的に介入するとなると、やはりいろいろ問題となるでしょう。まあ結果としては妥当な線に落ち着くと思いますが、それ以上に自己資本規制、会計、資本増強要請といったものとの関係における整合性が問題となりそうに思います。
厭債害債
2009/10/14 23:29
でーいつものように、民間か公的で不良債権のかぶりまくりですよな。でいつものようにこれを利用した悪い奴らが儲けまくって、こいつらの懐へなんてことにならないようにな。なので悪い奴らに回った金はいつもなら、消費に回るが最近はこいつらが海外なので、需要創出効果ゼロだわ。
最低の循環
2009/10/18 00:15
最低の循環さん、どうもです。制度の悪用にならないように気をつけたいものですね。
厭債害債
2009/10/30 06:18

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