厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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zoom RSS 悲惨な戦い

<<   作成日時 : 2009/11/27 19:02   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 28 / トラックバック 1 / コメント 6

最近の為替、特にドル円を見ていると、どうしてもそういう印象を受けてしまいます。よく、経済のファンダメンタルズだけ見ているとどうして円高になるのかわからん、と質問を受けるのですが、かなり長期ではファンダメンタルズ(成長率とか)が効いてくるとしても数年程度の短期では需給(通貨供給量その他)や金利差はフローに大きな影響を与えますから、長い目で見た弱い国の通貨が上がることもあります。その上、名目金利ではそれほど差がない国同士でも、デフレ国のほうが実質金利は高いわけで、そうなると、実質金利差によって、景気の悪いデフレ国のほうの通貨が買われることもある意味当然ともいえます。

実質金利差というのがわかりにくければ次のような具体例で考えて見ましょう。
A国の通貨:物価上昇率年率2%
B国の通貨:物価上昇率年率マイナス2%
両国とも名目金利はゼロ。

お金が自由に動けるとして、私がA国の通貨でお金を預けたら金利はゼロですが、1年後A国でモノを買おうとしたら2%値上がりしたものを買わされます。つまり通貨の価値が2%目減りする。一方B国の通貨でお金を預ければやはり金利はゼロですが、1年後にはB国では2%安い値段でモノに替えることができる。買いたいものが等質等価のものだったとすれば、B国の通貨で持っていたほうが同じものを1年後に約4%安く買えるわけで、理屈の上ではA国通貨を売ってB国通貨を買い1年貯蓄をするだけで、実質のリターンは4%となります。(まあ現実にはちょっとここまでありませんが)。それだけ有利だという事になるわけで、この意味でデフレ国の通貨(現金)には価値保存効果があり、このような金利環境の中ではたとえ経済成長率がぼろぼろであってもB国通貨を買うインセンティブが沸くことになるでしょう。
最近、米国は2年ほど低金利政策を続けるような事を告白してしまいましたし、日本はデフレ宣言とやらで開き直ったりしてまして、まさにこのAB国のような関係になっているのではないかと思います。これまではその時間軸がイマイチはっきりせず、むしろ一部のかたは早ければ来年半ばにもFRBが利上げするという意見でしたから、見方が統一されていなかったのですが、先日のFOMC議事録で勝負あったという事ではないかと思います。

さらに恐ろしい事に、上記の設例のような名目ゼロ金利下でかたや実質マイナス金利かたや実質プラス金利の状況では、実質プラス金利側(デフレ側)でもはや金融政策での調整がゼロ金利制約によって困難になっているため、状況が長引く可能性があるということです。つまりデフレ国側で打つ手がない以上、そもそも論としてはインフレ国側で何とかしてもらわないと困る。とりわけそれが基軸通貨であれば、なおさらの事です。つまり理屈の上ではインフレ国側が引き締めを行い通貨需要を呼び戻さなければならないのですが、それができそうにないということです。
というわけで、90年初頭あたりの日米金利差逆転当時に比べても今回はたちが悪いと考えます。(だからこそ、非不胎化介入ということがまた言われ始めたわけでしょうけれど)。結局デフレが続く限り、日本国債の金利だって高すぎるわけで、将来の財政懸念はあっても基本的には増発した通貨で国債を買うという循環になっていくように思えます。

まあドル円については、あえて言わせてもらえば現在の市場は「ちり紙交換」市場。どちらもそれほど価値がないけれど、古新聞よりトイレットペーパーのほうがまし、という部分もありますね。それは一般にはリパトリと呼ばれるんでしょうけれど。目くそ鼻くそを哂うとか、もっとえげつない言い方をすれば汚物の投げ合い(現在は一方的に投げつけられておりますな)のような状況です。

こんな状況で通貨が買われても、目先はいいことは少ないですね。やはり景気が悪いから投資も出にくいし、むしろ輸出企業などへのマイナスを懸念して株が安くなり、金融機関に悪影響が出、貸し渋りにつながり・・・みたいな負のスパイラルがおきますし、さらにいえば円高はいっそうのデフレの原因となります。ここはひとつ、理屈はさておき、一方的に投げつけられてばかりではなく、時々汚物を投げ返しながら、腐臭の漂う広場をいかにきれいにしていくか、みんなで話し合いでもやっていただきたいと思います。その意味ではそろそろ財務大臣は仕事をされておられるようで一安心ですが、血気にはやってミエミエの介入などしたらそれこそ相手の思う壺ですから、ご用心ください。まあ最終的には普通の介入など本質的な解決の先延ばしに過ぎないことはその通りなんで、非不胎化などやって汚物の投げ返しでもやるしかないのでしょうかね?

それにしても一部の要人がまだ鈍いというかなんというか・・・

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ドル急落、14年ぶり86円台
26日の東京外国為替市場でドル相場が、節目と思われた今年1月の安値1ドル=87円11銭を割り込み、一時1ドル=86円29銭まで急落し、1995年7月以来14年4ヵ月ぶりの安値を付けました。米国の超低金利政策が長期化するとの観測から投資マネーのドル離れが勢いを増していおり、ユーロやスイスフランなども上昇するドル全面安の展開になるとともに、円の対主要通貨での実力を示す実効為替レートも約9ヵ月ぶりの高水準となり、にわかに円独歩高の様相も見せつつあります。 ***♪やばいドル♪ ...続きを見る
歌は世につれ世は歌につれ・・・みたいな。
2009/11/27 21:55

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
実質金利が高いから、高金利選好で通貨が買われている昨今の傾向から、対ドルでは円高へという解説、なるほど目からウロコです。
しかし、私の記憶では高金利通貨国=高インフレ国だと思ってたんですが、デフレでも高金利通貨になるんですね。
39歳無職
2009/11/28 18:58
ある意味での通貨戦争ですよね。全く自国経済に対して自信がない場合は、戦争か自国通貨安という極めてネガテブな戦略に走るあけですね。
karu
2009/11/29 00:47
通貨戦争ですねえ、、近隣窮乏策、といいますが、本国が窮乏している現状、そんなこと言ってられないとおもいますけど(過去、それがブロック経済から戦争を引き起こした歴史があるといえ)。政府は実弾介入する気もあんまりない(というかできない)ようですし。個人的にドル円はその景況感から円安かなあ(USが復活しないと日本もいろんな意味で復活しない)、とみてましたが、FOMCで長期低金利コミットで日本の実質金利のほうが高くなるとなると、そうもいってられない、ということでしょうけど、、、。
ttori
2009/11/29 11:14
39歳無職さん、どうもです。デフレ国ではゼロ金利制約から実質高金利通貨となりやすいですね。まあこれを言うとインタゲという話につながりそうですが。

karuさんどうもです。アメリカは昔からその意味で自分の都合でうまくやってきてますね。ただし、中国との関係ではさすがになかなか難しいようで、この制約がかなり重いものになるような気がしています。やはりドイツや日本のような非核旧敗戦国を相手にする時とはわけが違いますからね。

ttoriさんどうもです。今の日本では最終的に本気で立ち向かえるだけの軍事力もないので、しょせん交渉戦略の一部に組み入れるぐらいしかないでしょう。
ここは元気のいい企業が円高を利用して海外の(ペーパー以外の)資産を買い漁ることに期待したいと思います。
厭債害債
2009/11/29 12:15
なぎらけんいちのネタかとオモタ。
通りすがり
2009/11/29 22:30
通りすがりさん、コメントありがとうございます。なぎらけんいちを思い出していただけるとは、結構アレなんですが、まあそれを意識してないといえばウソになりますね。
厭債害債
2009/11/29 23:40

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