厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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<<   作成日時 : 2010/11/11 18:39   >>

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この時期にこういうことをやるのはかなりKYといえなくもないのですが・・・

http://www.lchclearnet.com/risk_management/ltd/margin_rate_circulars/repoclear/2010-11-10.asp

要するに欧州の主要清算機関(クリアリングハウス)のひとつであるLCH.Clearnetというところが、アイルランド国債をふくむすべてのアイルランドの債券に対するレポの証拠金率を引き上げた(担保掛け目を下げたというべきか)ため、これを担保に使っていたアイルランドの金融機関などが10億ユーロとも言われるキャッシュコールに即日直面してしまい、あわてて投売りせざるを得なくなった、とFTなどは書いてあります。

とはいえ、LCH.Clearnetでは10月のはじめの段階でAAA国(具体的にはドイツ)とのスプレッドが一定(たしか450bpでしたか?)以上に開いた国は国債であってもマージンを変更するというお触れを出していまして、すでの600ぐらいまで広がっているアイルランドがそのルールに抵触していることは自明のことだったので、本来は驚くべき話ではありませんからFTの書き方はやや誇張している可能性はあります。しかし、当然この話が具体化してから売ることも多いでしょうし、なによりも今の地合いとして周辺国を売る格好の材料として捕らえられたのでしょう。(ちなみにポルトガルもこのカテゴリーに突入していますがなにか?)。

問題は、清算機関たるもの、そのような効果があることを十分承知の上でやっているわけですから、ある意味「さじを投げた」という言い方ができるのではないか、ということです。

アイルランドの問題は銀行の不良資産であり、その銀行が事実上の債務超過となっていてそれに対して政府が救済しようとすると膨大な資金が必要となるのですが、すでに財政赤字が膨大な比率となっており(単年度GDPの30%ともいわれる)とてもそんなお金はない。それで欧州の緊急融資に頼らざるを得なくなるわけですが、こちらは「絶対に」焦げ付かせるわけには行かない。かといって、銀行にお金を入れないと、国内銀行はすべて立ち行かなくなる可能性がある。ということで、民間銀行というか国内の金融システム維持のために政府が債務リストラ(国債のヘアカットを債権者に受け入れさせる)という話が現実味を帯びて語られるようになってきました。

本日のWSJの記事がここに至る過程を生々しくトレースしているのですが、興味深いのは、最初楽観ししていた不良債権問題による損失見込みが、実は銀行(特にアングロアイリッシュの名前が出ていますが)側のいい加減な評価や虚偽に近い申告によって、実際時間がたつにつれどんどん膨らんでいき、気がついたら政府が手に負えない水準に来ていたということです。しかも、アイルランドは金融危機の初期に政府が銀行債務をすべて保証する言うことをやっていて、銀行の損失の一定部分を政府がかぶらざるを得ない仕組みになっている。その結果がGDP比30%を超える財政赤字というわけです。

とはいえ、この段階では必ずしも政府債務についてリストラがあるとは断言できないだろうと思います。これはかなり政治的な問題なので、政治の意思で何とでもなる問題でもあります。リストラは相当気合のいる話であり、ワタクシとしては当面はEFSFの資金を使って先延ばしにするのではないか、と思います。しかし、ギリシャが3年後に何らかの結論を出さなければならない以上、アイルランドについても残された時間は限られているでしょう。その間に財政統合を含めたドラスチックな制度改革でもなければ、ギリシャやアイルランドが自力で借金を返すことはなかなか難しくなってきています。もちろん借金というのは金を貸し続けてくれる人がいればそれで続けられるのですが、それに値するだけの信頼を市場で再び勝ち得ることができるのかどうか?むしろ一回きっちりリストラしたほうが早いのではないか?という意見が出てもおかしくないのです。

いずれにしても、この地合いでECBは「正常化」はありえても、利上げはありえないでしょう。金利の先高感(そしてドルとの2年などの金利差の拡大傾向)が収まってしまった結果としてユーロの水準は修正が必要になってきているのだと思います。


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