厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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zoom RSS 世界一のサステイナブルさ:日本企業

<<   作成日時 : 2011/03/02 00:26   >>

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毎年ダボス会議にあわせてフォーブス(Forbes)という雑誌が、カナダのメディアである「Corporate Knight」社の調査に基づく結果をもとに「世界で最も“サステイナブル”な企業100社」というのを出しているようです。サステイナブル(sustainable)というのは一般に「維持可能」とか「永続的な」とか翻訳されるようですが、ここでは具体的には公開企業3000社の母集団から業績やその他の基準を用いて300程度に絞り、その中で、外部の投資顧問会社の協力を得て、10個の環境的、社会的、ガバナンス的側面からの基準と「透明性」を評価しランクを決めているようです。

http://www.forbes.com/2011/01/28/most-sustainable-companies-leadrship-citizenship-100.html

この中でやはり注目すべきは日本企業の多さでしょう。100社中19社が日本企業で、国別ではダントツに多い。商売上の強力なライバルである韓国やインドの企業などは極めて少ないですし、当然のことながら中国企業など一つも入っていません(ゴクリ=溜飲を下げる音)。10個の基準が具体的にいかなるものであるかは記事では紹介されていないので詳細についてはコメントできませんが、記事からは、役員(経営陣)の女性比率、炭素排出単位あたりの生産性、水の使用単位当たりの生産性、きちんと税金を支払っているかどうか、調査開発費(R&D)にどれだけ使っているか、などが含まれているように読めます。

ところで日本企業はせっかく多数がランク入りしているのですが、それだけに余計に目立つのが“Leadership Diversity”すなわち女性経営陣比率の低さ。ランク入りした日本企業19社中14社が0%、つまり役員(経営陣)に女性が一人もいない、ということを意味します。もちろん100社の平均そのものも13%程度で決して高くないのですが、日本の平均が約2%に対し日本以外の平均は約16%となっており、その差は歴然としています。諸外国の中にはノルウェーのように企業のボードメンバーの一定比率を女性にするよう義務付けているところもあり(ノルウェーは40%)単純に比較は出来ないにせよ、やはり目立ちますね。

経営層と女性比率の問題は、経営者の方々の間でも悩ましい問題のようです。つまり「急に言われてもねぇ・・・」という感じの方々が多いのではないかと推測します。もともと男性優位の社会にあって、女性を長期的視野で育ててきていないわけです。ワタクシが会社に入ったころはそもそも女性の同期は大卒であっても全員が事務職(今で言う一般職)として入社しており、暗黙のうちにどこかで退社するのだろう、という雰囲気がありました。そして、実際そうなってしまっています。まさにワタクシたちぐらいのキャリアと年齢の層が今経営陣の中核をなしているのですから、ある意味人材不足は当然のことといえます。

その後の総合職制度になった時代においても、圧倒的少数派の総合職女性は苦労を強いられていたと思います。かなりの人はキャリアを捨てて家庭に入りました。専業主婦優遇税制や優遇年金制度もそれを後押ししていました。こういう時代になっていざ女性の幹部を登用しようとしても、長期にわたって企業で働き揉まれてきたような女性人材はそれほど残っておらず、それゆえの質の低下を受け入れるのかどうかのジレンマがある、という声も聞いたことがあります。まああとは、今の経営者の決断で過去を断ち切るかどうか、ということではないでしょうか?

Diversificationの問題はかなり大きな制度の問題でもあります。アイロニーでもありますが、変化を乗り越え過去から長期的に継続してきた企業であるからこそ、このDiversification不足の問題に今直面してしまっているともいえます。女性が社会で働き続けるには、日本の基盤はまだまだ不足していると思います。また女性の側にも女性が故の甘えも感じられることがあります。最終的には営利企業としてリスクとリターンを考量したら男性のほうが登用しやすい、という面もあるでしょう。そもそもDiversificationがすべてに一律に必要かどうか、これも議論が尽くされているとはいえないと思います。この問題は少子高齢化時代の労働力問題ともからめて議論が深まっていくことを期待したいと思います。

なお記事の本文の最後にここに選ばれた企業群総合がベンチマークより株価がアウトパフォームしているというくだりがありますが、そもそもパフォーマンスでスクリーニングしているんじゃなかったでしたっけ・・・と軽く突っ込んでみる。

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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
ブログ記事とは関係無いんですが、
政府系ファンドのインサイダーって、十分考えられると思うんですけど、「中国政府系ファンド、日本企業への出資を拡大 (2月 25日のWSJオンライン)」って問題無いんですか?シャープの中国工場への最新鋭要求とか、BYDの工場建設不許可とか、裁量余地が大きすぎると思うんですけど。

学生
2011/03/02 10:34
経営者の皆さん、暢気なことは言ってられませんよ。優秀な女性は皆、海外に活路を見いだしています。女性の頭脳流出は極めて深刻な問題です。今や、日本の大学でもほとんどが学生の男女比率は半々でしょう。半分の優秀な頭脳が流出しているのです。即刻、専業主婦優遇制度を廃止し、優秀な人材活用への道を開くべきです。
DC在住
2011/03/02 23:28
学生さん、どうもです。厳密にはインサイダーの犯罪構成要件を満たさないとは思いますが、まあフェアではないし力が大きくなりすぎていることへの違和感は当然あるでしょうね。

DC在住さん、コメントありがとうございます。そのような危機感がないことが今の日本の問題点かもしれません。
厭債害債
2011/03/03 00:18
サステイナビリティの評価基準に役員の女性比率があると言うのに、その基準にほぼ合致しない日本企業が多数ランク入りしているということは、その評価基準項目が企業のサステイナビリティに余り関係がないってことにはならないのでしょうか?

人の優秀さの評価自体が多様化してきている昨今、例えば、女性の視点で数々のヒット商品を生み出している人なんかが、役員になって会議に時間をつぶされてしまうこともないような。

そのためには、報酬体系は変えるべきだと思いますけどね。
お染
2011/03/07 13:24
お染さん、どうもです。おっしゃる通りなんですが、女性役員ファクターはまあ全体の中の一部であり、日本企業についてはほかのファクターが相当いい、ということでしょうね。
女性は力強いので、報酬体系がしっかりしていれば黙っていてもきちんと活躍してくれると思います。
厭債害債
2011/03/07 23:58

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