厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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zoom RSS 性急な議論はみんなの不幸

<<   作成日時 : 2011/05/16 09:30   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 29 / トラックバック 2 / コメント 12

たまたまみつけてしまったのですが、一般の方の感覚はまだこのようなもののようで・・・
http://okwave.jp/qa/q6728892.html
しかも回答もすべて肝心な点(社債が一般担保付だからデフォルトしたら損害賠償請求権は劣後して後回しになりますがな、ということ)に触れておらないというのがちょっと悲しいというか怖いというか。しかも枝野さんレベルで株と債券をごっちゃにしている人もいれば、いきなり共産主義とか言い出す人もいて、人々の議論の中に無法地帯が形成されつつあります。これでは確かに民主党が自信を持って好き放題してしまうんでしょうなぁ。なんだか強烈な脱力感にさいなまれる今日この頃です。

さて、ことの行きがかり上、東京電力の社債の発行登録追補書類にある「期限の利益喪失」条項を見てみたいと思います。法律を学んだ方以外にはややテクニカルな言い方になりますが、融資や債券というのは一般に満期とか返済期日というお金を返す「期限」がありそれまでは金を返せといわれても返す必要がない。そういう意味で「期限の利益」を持つといわれます。しかし、一定の事由が生じた場合債務者はその「期限の利益」を失い、債権者からの請求があり次第返済しなければならなくなります。その請求に応じることができなければ、債務不履行となりありていに言えば差し押さえとか破産手続きとかそういう事態になるわけです。その場合の「一定の事由」を列記したのが「期限の利益喪失」条項です。

結論から言いますと、融資債権者の「債権放棄」は「期限の利益喪失」事由として明記はされておりません。「当会社が社債を除く借入金債務について期限の利益を喪失したとき」という条項はありますが、債権放棄だけですと、元本の削減だけであり、返済期限はそのままとなるから、それは該当しないとおもわれます。

一方期限の利益喪失条項のひとつに「その他の事由により当会社の信用を毀損する事実が生じたときで、社債管理者が本社債の存続を不適当であると認めたとき。」というのがあります。同じ条項の前段は電気事業許可の取り消しとか事業経営に不可欠な資産の差し押さえとか相当重い事態を前提にしていることを考えると、まあその「信用を毀損する事実」というのもそれに類する程度の重い事態を前提にしていると思われますが、さらにいえば、社債管理者がこれを判断するための前提という意味で次のような場合には会社は社債管理者に書面による通知を行わなければならないことになっています。
(1)当会社の事業経営に不可欠な資産を譲渡又は貸与しようとするとき。
(2)当会社が当会社の重要な資産の上に担保権を設定するとき。
(3)事業の全部または重要な事業の一部を休止または廃止しようとするとき。
(4)資本金又は準備金の額の減少、組織変更、当会社の事業経営に重大な影響のある、合併、会社分割、株式交換、または株式移転(略)をしようとするとき。

東電のリストラ案の一部として送発電分離とかいろいろ言われたりするところですが、減資などもふくめてこういう会社構造の根幹にかかわる行動は社債管理者に通知され、これをもとに社債管理者が「社債の存続を不適当」とするような「信用を毀損する事実」にあたるかどうかを判断する仕組みとなっています。肝心なことはこの判断は一義的には社債管理者の判断にかかる、ということです。つまり、会社分割→信用毀損する事実→期限の利益喪失→社債弁済→損害賠償どうする?みたいな展開にならないためには、スキームをきちんと議論しないといけないと思います。ちなみに、社債管理者というのは一般にメガバンクなどがなっており、社債保有者の利益を代表して行動することが義務付けられておりますので念のため。






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コメント(12件)

内 容 ニックネーム/日時
>>一般の方の感覚はまだこのようなもの

そんなもんなんでしょうねえ・・・
銀行に融資の責任を問えと言うような意見も強いみたいですし。
銀行のお金も元をただせば自分たちの預金だと思うんですが、まさか預金がまったくないのか?一旦銀行に入ったら自分のお金ではないと思っているのか?
mushoku2006
2011/05/16 13:47
そもそも論として、ポピュリズムは票になるという事を、政治屋さんたちに強く示してしまったわけですからね。
青臭い意見だと思いつつも、全ての利害関係者の利害調整を行う事で、全員にとって少しでも良い解決策を導き出す機関であるから国というものが存在するのだと思うのです。一部を切り捨てて、満足感を与える事は、政治の放棄だと思います。朝の連ドラ見ながら、何か嫌な雰囲気を感じてしまいます。

いっそ本社を外国に移しちゃおっかなぁ。でも、行くあては東南アジアくらいしかないから、大差ないかな。
通公認
2011/05/16 14:36
破たん時点で一般担保付の社債が損害賠償に優先するのはご指摘の通り。しかし、一般担保付社債は法人としての東電が消滅した時点で権利が消失しますが、損害賠償は新事業者なり国なりに「継承」(債務の継承ではなく、特別法等による新たな債務の発生を含む)される可能性が相当に高いと思うのですが。そうなると経済的には債務減免と同等の効果にしかならないと思いますけどねえ。まあ東電のB/Sを考えると社債はダメージが少ないかもしれませんが、銀行融資とかはどうなんですかね。
とある投資家
2011/05/16 22:18
(以下は冗談です。
お気を悪くされた方がいたらごめんなさい。)
「O●Wave」「Yahoo!知●袋」「教●て!goo」は、
「ネット3大がっかり」(*1)(*2)と言われています。

純粋無垢の人々に怪しげな情報を広めたり、
まじめな検索時の邪魔になるなどの理由で、
有害サイトと認定されています。

これらに比べれば、
「2ちゃんねる」の方が、
有用な情報に遭遇する可能性の高いことが
知られています。

---
あとさー、
「b●gusnews」と「虚●新聞」も
まじめな検索時の邪魔になるんで、
何とかならないかなー。

(*1) 言うまでもありませんが、
「発●小町」は別格です。
(*2) 「ラ●フハッカー[日本版]」「I●EA*IDEA」
「n●napi」を、
「ネット3大がっかり」とする場合もあるようです。
774
2011/05/17 00:22
みんす党の左派の方々はいまだに、大企業は人ミンの敵で、収奪をはかる独占資本主義の巣窟と考えているのでしょうか。
そうです。放棄される債権の原資は、国民の皆さまからお預かりした、大切な個人資産です。これと国民負担はどう違うのでしょうか。さっぱりわかりませんね。あーあ経済政策がわからん奴は、どうしようもないです。これから復興のためにガンガン金融緩和をして金を出していかねばならん時にいきなり、債権放棄なんていって、マーケットに動揺起こしてどうすんの。
ようやく原子力政策は国策といったことは、評価しますが。東電には、まずは賠償よりも現状の打開(原発の安定化、夏の電源確保)を先行させさせて、賠償の話は切り離し、被災者にはとにかく国家として支援を行うこと。「私企業」である以上、金のことを気にしたらまともな対策は打てない、その市場の失敗を補完するのが政府の役目です。
まだこれから事態が深刻化すれば、本当に国家破たんですよ。
karu
2011/05/17 23:25
担保が担保としての効力を生じ、権利行使できるかを、以下救済手続き別にみていかないと正しい理解を誤ります。
会社更生法、民事再生法、破産法、会社法の清算、その他の手続き。また破産法では不法行為を根拠とする賠償債権は免責の対象になりますか?ならない。それ以外では一部免責も可か。
救済申立がなされていない状況では、一般担保の権利行使も許されます。申立があれば、保全命令・中止命令がでて、権利行使は停止される。但し破産法では別除権の行使となり、手続き外行使が許可されますが、一般担保とは担保が特定し登記されていなければ、どのように権利実現をされるとお考えか。申立が無くても、債務超過が合理的推認されてしまえば、担保権行使が否認権の行使か詐害行為になり、現状に復帰される。
かりに担保権者の個別処分が許可されるとしても、そのときは破産でなければ清算手続きを意味します。
法律を無視して自力救済は許されませんし、法律社会で法制度を無視して暴力的に解決を図ろうという主張をされたいのであれば、政治による立法によるほかないでしょう。
法は無視できない
2011/05/18 12:47
法的な問題は、仰せの通りだと思います。ただマーケットでこれをまじめにやると、とんでもないことになります。これが市場経済の怖いところ。
電力債とか、電力株の大きさは、そこらへんの企業の倒産とは、全然違うのです。ということで、BBB以下になったところで、投資不適格となり、自動的に年金資金などの投資家から売却が始まります。そうなると、我々も売り方に回りノービットの中で、ウリがうりを読んでも誰も買い方がいない状況、すなわち流動性危機に陥ります。こうなると金融危機の始まり、必要な資金の調達ができなくなり破局的な状況になります。
さて、担保となった原発を競売にかけて、売れると思いますか。
確か、尾瀬など水源の権利をもっている資産をどっかの破たんと同じように、売却してわけのわけのわからん企業もしくは国家に買われてもいいのですか。
当然海外では、別途法律で制約を課しているのに、たかだか原則論でやってしまうというか、まじめにやってしまうところが、日本人のアホなところです。問題の本質が違います。
KARU
2011/05/19 00:14
原則論に従って破綻させたら金融システムが混乱するからと脅し、原則論に従わずに破綻回避で金融機関に応分の負担を求めたら原則論を無視するなですからねえ。まあ結局はみんなポジショントークということで…
とある投資家
2011/05/19 03:57
原則とは法の適用を言う。法とは人の行動を規制し、安定性を欠くと、法律行為は不安定となる。
第一次責任の賠償金をBSに明示したら債務超過となるから、まず減資が先となり、その後債権の免責の順。連帯債務として責任を内部求償に留めれば、債務超過査定を免れうるとしても、債権カットしなければ事業が継続できない。だから債権を一部カットしてくれという。さもなくは救済法手続きで処理すれば、債権は結果的にBSがバランスするまでにカットされる。だから合法かつ経済的合理理性のある協議である。法適用にかかわらず、責任負担によっては実質破綻しており、生かしたままにしておくなら、債権カットはいたし方なし。銀行や社債権者はそれが納得できなければ、救済法理を申し立てしなされ。自分が被害をこうむるわけ。
ここで国が会社の連帯債務を負うのだから、それを内部求償すると理論構成したら、債権カットは当然なんだけど。なんで分からんのかね。法学部一年の法律だろうに。
法は無視できない
2011/05/19 08:54
金利減免-->default-->5兆円社債、3兆円の貸付が要管理債権に-->銀行・保険では引当金7割へ-->格付BB未満で要資本は全額(BIS基準1250%)-->銀行の資本調達急務-->東電市場借入不能-->政府貸付のみ
KARUは法を無視しようと防ぐべき-->政治なら可。
しかし法による救済手続きに入っても同じ結果。どちらをとるか。発電or送電部門を分けて新設会社建てて株式移転か分割をはかり、債務承継するか移転対価(実質証券の期限延長など交換になるけど)で支払うか。法的手続きでも手続き外でもできるから、結果は同じだが、手続き内のほうが債権者協議を強制できるからやりやすい。
法は無視できない
2011/05/21 14:00
ということですが、皆さん戦後処理の問題を太平洋戦争真っ只中でいってるのです。多分いまは、東京大空襲で、政府以下こんらん状態ですが。でこの責任は誰が負うのか、戦後無差別爆撃をした、アメ公を訴訟できないし、焼け野原の復興を民間に負わせるのでしょうか。で最大の問題点は、あだ戦後でないという認識が誰にもないこと。先ほどいたように、今後福島原発はいまだ戦時中であり、原爆投下なみの脅威がいまだに存在していて、戦争責任を言う状況ではないのです。尾まだ戦時体制でイカにこれからの被害を少なくするかで、誰の責任なんてあと数十年後のことです。
karu
2011/05/25 01:30
こういった見えない事態に対して、現場の指揮官は遠くの参謀本部の指示を独立した判断する意思を持ち、えてして「正しい判断」である場合が多い。ここでもいったが、最初の判断で、現場の担当者が再利用性を考慮して、急速に冷却しつつある原子炉の冷却を止めたのは、営利企業としての判断としては「正しい」、もしこのままで、何も問題がおこらなけば「彼は」原子炉の早期復旧に貢献したとして、表彰されたでしょう。しかし事態は全く想像できない状況となった。
いわゆる「人知」を超える事態である。予見可能性はゼロに等しい事態。1000年前の津波に備えるとすれば、それ相応のコストが必要だったが、そんなことはだれも考えない。マスコミは玉川のスーパー堤防などを100年の起こっていない災害に備えるのは税金の無駄といっていた。
正しい判断とはどこにあるのか、それを判断しなけらいけない人間が、誰も未知の状態で判断して、失敗したことをせめてはいけない。
karu
2011/05/27 22:04

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