厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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<<   作成日時 : 2011/05/29 10:21   >>

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震災の影響でそれなりの支払いが出ているようですが、まあこういう事態は当然予想されたことであり、そもそも亡くなったり怪我したりした人に保険金や給付金をきちんと支払うのは保険会社として当然ということであって、この程度(といっちゃ失礼ですが)の災害で支払えなくなるようでは保険会社の意味がない。ということで決算を見る限りこれらの支払いの額は全体でみると今のところ「蚊に刺された程度」に見えます。一部の保険会社では死者15万人クラスの首都圏直下型大地震を想定してそれでも大丈夫だというところもあるぐらいですからね。保険会社の利益の元の一つとして「危険差益」というのがあり、想定される死亡率などに対応する保険金の見積もりに対応する保険料を危険保険料としてお客さんからもらっているわけですが、それと実際に支払った保険金などとの差額が危険差益となります。これは多くの会社は公表していませんが、今回の3月末現在の震災関係での支払いはその危険差益の範囲内に相当な余裕を持っておさまっているのではないか、と推測されます。

といって、ここからいきなり保険会社がもうけ過ぎというのは短絡的にすぎます。多くの会社は配当という形で加入者に還元しているうえ、万が一の時のためにさらなる準備金を積み立てる必要を感じており、とにかく、何があっても支払うということに対して万全の備えをすることが保険会社の責務だと考えているからでしょう。今回もそれがあったからこそ、震災の当日や翌日に即座に全額支払いという発表がほとんどの会社からなされたのだと思います。

それにしても一部メディアの頓珍漢な表現には時々悪意すら感じるのですが、植村さんのブログでも指摘されていた通り、今回のソルベンシーマージンは基準が大幅に変わっただけであって、生保の体力の実体そのものが大きく変わったということではありませんが、朝日新聞では「規制強まり体力低下」と書かれてしまっていて、これは明らかにミスリードだと思われます。この辺の誤解がないように金融庁のほうでもいろいろと広報活動をしてきたと思うのですが、全く聞いてなかったんでしょうか?

もちろん基準が厳しくなり一部リスク資産のリスク掛け目が高まったりしたことで規制値の200%に引っ掛かりやすくなったというのは事実ですが「体力」そのものは変わっていません。まあ今までの数字があまりにも見せかけにすぎなかったというだけの話でしょうね。そもそも新基準も含め現在のソルベンシー基準では保険負債の方を経済価値ベースで評価していないので、いずれ欧州のソルベンシーIIに類した経済価値ベースの規制がなされるはずであり、新基準も含めた現在のソルベンシーはその経過措置ととらえられると思いますが、そのことに触れられている記事がほとんどないのは寂しいことです。まあ経済価値ベース(時価ベース)への道のりはIFRSとのからみもあって、なかなか一筋縄ではいかないのですが、新しい金融検査マニュアルなどを読めば、監督当局が明確にそれを志向し段階的に取り入れていくつもりであることが分かります。

東京電力の有価証券は明らかに一部の会社の決算には影響が出たようです。ただ、ちょっと心配なのは、東京電力の社債はまだ引き当てをしていない(技術的な話をすると長くなるのでここでは書かないけれど)と思われるため、今年度以降に政治の対応次第で影響が出るかもしれません。まあそれも全体の体力からすれば大した額ではないですが技術的理由で市場売却とかになった時の市場への影響は懸念されるでしょうね。いずれにしても、詳しく読めばそれなりに面白い生保決算でした。

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