厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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zoom RSS シャンパーニュ・ボルドーの旅(6)〜ボルドー市内と西岸のシャトー

<<   作成日時 : 2011/09/18 11:28   >>

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さて、翌日は市内観光。といっても、実はボルドー市内はそれほど見るところは多くないです。まずは教会へ。この教会、何だか見たときから違和感ありました。正面と思われる方向が正面ではなく、確かに入り口から見た外見は左右対称になっているのだけれど、中はまったく違った形。ていうか、半分ぐらい未完成という方が正しいかもしれません。外見も中身もランスの大聖堂とは比べ物にならないくらい貧相で、確かにこれじゃガイドブックにもページが割かれていないわけです。

なんだか欲求不満がのこるので隣にある鐘楼に上ることにしました。こちらは一人5ユーロ。高いです。教会の改修費用にぜひ充ててもらいたいものです。230段ほどの階段を上ると市内が一望でき、それなりに圧巻です。中世の町並みとトラムとが微妙な味わいをかもし出します。

その後はちょっと有名な橋を見に、トラムで川向こうに。川向こうから見る歴史地区はそれなりの趣があります。とはいえ、ご他聞にもれず、この歴史地区の川沿いはしっかり再開発が進んでいて、雰囲気を壊さないように注意しながら、新しいお店やレストランなどが軒を並べて市民などが集まる場所になっています。

日が暮れそうな夕方に、ぜひ行くべき場所、それは川岸の公園です。公園といっても広い遊歩道みたいなもので、ところどころ芝生があるというものですが、この一角に水を使った仕掛けのある場所があります。まさにガイドブックなどによく出てくる風景の場所なんですが、その水の仕掛けは時々噴水みたいになったりしながらしばらくすると薄く水がたまるようになっている。昼間はよくわからないのだけれど、夜になるとちょうど背後の建物がライトアップされ、それが水面にきれいに映るという仕掛けになっています。背後に月が出るという幻想的な仕掛けになります。これは一見の価値あり。
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さて、翌日はいよいよ今回のメインである、ワイナリーめぐりです。ボルドーのワインというのは非常に範囲が広いのですが、おおむね真ん中を流れるガロンヌ川の左岸と右岸に特徴付けられます。左岸はメドックとかに代表されるカベルネ・ソービニョン中心の葡萄からワインを作るところで、右岸はサンテミリヨンなどに代表される、メルローを中心にワイン作りをするところです。これは土壌の質が大きく影響しており左岸では礫質つまり石ころがいっぱい混じった土地なのに対し、右岸が粘土質中心の土地なので、それぞれにあった葡萄が中心になるということだそうです。
で、この日はレンタカーを借りて左岸のワイナリーをピンポイントで攻撃する作戦に出ました。基本的には殆どの著名ワイナリーもビジターを受け付けてくれるのですが、殆どが予約が必要です。シャトー・ラトゥールやシャトー・マルゴーなど超有名なところはもはや一般客を受け付けなくなってます。今回は実は1ヶ月ほど前から気合を入れて著名どころに予約を試みたのですが、ムートン・ロートシルトは「現在改築中でだめ」という返事が来ました(行ってみたら実際に改築中でした。ワタクシの理解では現在でも原則としてビジターを受けていたはずです)。それ以外にもやはり改築中という返事が何件かあり、あまり多数予約しても大変なことになりそうなので、シャトー・ブラネール・デュクリュ(Chateau Branaire-Ducru)とシャトー・ランシュ・バージュ(Chateau Lynch-Bage)に予約を入れました。いずれも名だたる著名シャトーです。

どちらも、お決まりどおり、製造場所や貯蔵場所を案内しながら、自分のところの作り方について説明してくれます。最近は多くのところが近代的なステンレスの発酵タンクを使っているのですが、木の樹齢ごとに味わいが異なるので、別々のタンクで発酵させるというのは初めて知りました。もちろん葡萄の種類ごとにも別のタンクを使います。左岸地区の有名どころのシャトーは大体3−4種類の葡萄をブレンドして作りますが、先ほども書いたように土地柄からカベルネ・ソービニョンが主流で、それにメルロー、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルドーなどをブレンドするやり方がだいたい共通しています。言うまでもなくその年のぶどうのでき具合で配合を変えるようで、またワイナリーによって卵白で清澄作業をきちんとやるかどうか、濾過をやるかどうか、トップアップをどれぐらいやるか、とかそれぞれのやり方が異なっており、まさに毎年の作品はワイナリーが農作業と経験と味覚で作り上げた芸術というにふさわしい作品になるのですね。

あと、はじめて知ったのは、「樽ブレンド」。ワタクシの立ち寄ったグランクリュクラスのシャトーではどこも一定の割合の新しい樽を毎年ファーストブランド(グランヴァン)の熟成に使っていて、しかもその樽は6社とかそれ以上の複数の会社の樽を仕入れているということ。まあ考えれば当たり前ですが、新しい樽はそれなりに品質に年によってばらつきが出るし会社もさまざまなので、品質のボラティリティーを少なくする意味でも欠かせないプロセス。瓶詰めする前に異なる会社で作った樽につめた原酒をブレンドしてから製品にするのだそうです。なるほど、これはリスク管理やなぁ〜。

最初のブラネール・デュクリュは、小ぶりのシャトーですが、畑はそれなりにあります。オフィスの入り口を入ると、こじんまりとしたオフィスがあり、4人ぐらいの人がとてもアットホームな雰囲気で仕事してました。

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同じ時間に予約していたはずの人が来なかったらしく、係の若いおねぇちゃんがワタクシのためにだけ案内と説明をしてくれました。くそ暑いなかで、ちょっとぽっちゃり目のこのおねぇちゃんは、けっこう汗かきながら頑張って畑とかも案内してくれました。こういうところがまじめなシャトーってことですね。このシャトーは格付け5級ですが、非常に最近評価が高い。作業を徹底的に数値化し、新しい技術を積極的に取り入れるとともに、細部にまで献身的なケアを行うことによって、格付け以上のクオリティを出しています。2003年のファーストとセカンドを試飲させていただいたのですが、程よく開いた感じで、ようやくバランスが取れてきている感じです。ちなみに、ボルドーの格付け(1〜5級)はナポレオン時代につけられたもので、原則的には変わらないことになっている。数少ない例外がシャトームートンロートシルトともう一つどこか、って聞きましたが。だから、その後数百年の努力とかは反映されていないので、低格付けでおいしいところというのはお買い得になるわけですね。格付けが当たらないというのは債券みたいな・・・おっとそこまでだ(自主規制)。でも、ワインも結局努力したところがきちんと結果を出している、それだけのことですね。

試飲ですが、シャトーによって色々考え方があるみたいですが、ワタクシが予約して訪問したところはおおむね「もう少しで飲みごろ」といった年代のものを出してくれることが多かったです。一番いいビンテージなどはもちろん出てきませんが、かといって業者さんの買い付けに対応するような年の若いものを出すところもありませんでした。この辺、観光客相手の微妙なバランスのとれた対応ということでしょうか。

ブラネール・デュクリュはとにかく庭がきれいでした。あとで写真をみると、いまきれいな庭になっているところも昔は畑だったようで、最近観光にしっかりと対応している様子がうかがえます。

ここをあとにして、すぐ近くのポイヤック村へ。ここには観光案内所があり、ここでも有料で試飲ができます。僕はやらなかったけど。

お昼はホテルでもらったサンドイッチで済ませて、ついでに飛び込みで立ち寄ったのがここ。Chateau Cos Labory .
車で乗り付けて応対してくれたのは作業中のような格好をした実直そうなおっちゃんで、試飲させてもらえるかというと納屋のような小屋に案内され、お決まりどおりファーストとセカンドをそれぞれ味わわせてもらいました。基本無料です(まあこれが本来普通なんだと思いますが)。このシャトーのあるサンテステフ(Saint-Estephe)はムートンやラフィットなどのあるポムロール地区からさらに北上したところにあります。ラフィット・ロートシルトは、一応ポムロールですが、ポムロールとサンテステフとの間にあるというほうが正確でしょう。北に行くほどやや男性的な味わいが強くなるといわれていて、確かにここのワインはそれまでの試飲したものよりごつごつした感じがありましたがそれがまた力強さとしてよいバランスをかもし出しています。試飲させてもらったのはファーストでは2007年と2008年の二種類でしたが、2008年の方に可能性を感じました。そういう風に伝えたらおっさんはちょっとうれしそうな顔をしました.もともと、ここは一時期グランクリュの中でも結構ひどい評価を受けていて、ものの本によればCru Bourgeoisに格下げすべしという意見も強かったようですが、当主の献身的な努力でかなり復活しているという評価が一般的なようです。
大体この手のグランクリュは数年、本当の一流ものだと10年以上寝かせてから飲むのがベターなのですが、すでに結構開いている感じで、ワタクシが買ったのは2007年のほう。25ユーロというお手軽価格もさることながら、ちょうど部屋飲み用のがひとつほしかったので、とてももったいないけれどこれなら十分飲めると判断したから。
ちなみにこのおじさん、あとでグランクリュ協会の出している本を見たらやっぱりオーナーでした。そういえば、最近は売り込みによく日本にも行っているとか言ってましたね。来年には日本でボルドーワインのイベントがあるみたいで、そのときにも行くことになっているそうです。最近はパーカーポイントもほぼ90点近い評価になっているようで、頑張ってほしいものです。

で、もうひとつの訪問先は、シャトー・ランシュ・バージュ(Lynch-Bages)。ポイヤックの南のほうにあります。さきほどのところから車で行こうとしたら、ポイヤックの村の道は想像以上に入り組んでいて相当迷いました。観光案内所でもらった地図が役に立ちました。

余談ですが、フランスのHertzで借りた車のナビは本当にくその役にも立たず。ワイナリーはガイドブックなどには正確な住所がもともと表示されていないことが多いので(たとえば33250 Pauillacとか書いてあっても、それはポイヤック村という以上のものではないから正確には更なる情報か場所を示した地図が必要)、それはナビのせいではないのですが、何が一番頭にきたかっていうと、帰りに借りたところまで返しに行こうとすると、通常これまでのHertzのナビNever Lost についていた「返却」つまり最寄りのオフィスへのナビのプログラムが無い。だから、駅とか適当に近くの目印や住所をいれてそれを頼りに行くことになるんだけれど(オフィスの住所も書類に書いてなかったので)途中で行き止まりに案内され、どうしようもなくなって違反覚悟で一方通行を逆行する羽目に。自転車で通りかかった親切な若いおねぇちゃんが「ここ一方通行だよ」ってわざわざ教えてくれたんですが、そんなことわかっとるわい、というか必死の形相でなんとか脱出しました。その後はナビを全く見ないで、うるさい声も無視して勘でレンタカーの返却場所にたどり着いた次第。出発前にもナビの使い方が分からず教えてもらうために(説明書がついてないから)30分以上ロスしたことと併せ、もうしばらくHertzは使う気になれないですね。

レンタカーのネタなのでついでに豆知識です。知っている人は知っていると思うけれど、いわゆる国際免許証っていうのは本当は無いんですね。本当に必要なのは条約加盟国間であれば、それぞれの国で有効な免許証にくわえ、それを取得していることを運転する国の官憲が理解できるための「翻訳」です。法的には日本の警察で出しているのも「翻訳証明」にすぎません。ですから、厳密にはこれが無くても運転はできるのですが、日本語で書かれた免許では現地でそもそもレンタカー屋さんの係員が受け付けてくれないでしょうし、お巡りさんに止められたときにトラブルになることは間違いありませんから、やはりいわゆる国際免許証は取得すべきです。
ただし、要するに現地の人が理解できればいい、という考えに立てば、「英語」ならおっけーじゃないか?と考えても不思議ではありません。実際(今回はお巡りさんに止められることもなかったのでそちらは検証していませんが)レンタカーを借りるというレベルでは英語の免許証があればオッケーなようです。僕は幸いアメリカで取得した免許の有効期限がたっぷり残っているので、それを見せて何の問題もなく(まあHertzは米系だし)借りられました。在仏アメリカ大使館のHPでも基本的に短期滞在の旅行者は米国の免許だけで運転できるという立場で、「念のため」翻訳を携えておくことを勧める、という立場のようです。

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ランシュ・バージュも比較的カベルネ・ソービニョンの配合の多いところで、値段のお手ごろさもあって日本でも人気がある(でもエノテカで6000-7000円ぐらいはしますが)。こちらではアメリカ人の団体と一緒に見学と試飲を行いましたが、色々行くうちに、何が比較の対象になっているかということがおぼろげながらわかってきて、勉強になります。ボルドー市内のfnac(書店チェーン)で買った「Union des Grands Crus de Bordeaux」(12.5ユーロ)という本がなかなか良くできていて、要するにボルドー・グランクリュ協会に入っているシャトーを網羅した本なんですが、サンテステフからサンテミリオンまで133のシャトーがそれぞれ1ページずつ紹介されています。そこには文章での紹介にくわえ、畑の広さ、生産量(ボトル換算)地質、基本的なぶどうのブレンド(ただしこれは年によって相当変動することを後で知ります)、樽内熟成の期間、新しい樽の使用比率、そしてセカンドブランドのワインのブランド名まで書かれています。ランシュ・バージュの持つ畑は100haもあり、地域の中でも最大級。年間35万本も生産しているようです。優美でかつ力強さのあるこちらのワインも、じっくり寝かせて飲みたいものだと思います。貧乏なので買わなかったけど。

・・・・

すでに相当旅行にお金を使ってしまっているので、その後の食事は本当に切り詰めてやらなければならなくなりました。で、ボルドーの泊まったホテルの近くに幸いカルフールがあったので、水やらパンやら大変お世話になりました。行きの機内でゲットしたカップラーメンにもちょっぴりお世話になりました。この時期に前にも紹介した中華のテイクアウトが威力を発揮します。

だいたい、フランスではあまり飲み物を冷やすという発想は無くて、ジュースにしても炭酸飲料にしてもカフェで注文しても特別にお願いしない限り、氷は入っていない。氷で量をごまかすことを潔しとしない、というふうに善意に解釈しています、生ビールに関してはそこそこ冷えていますが、やはりときどき冷たい缶ビール、ってのが飲みたくなる時があるんですが、これはホテルでも手に入らない。スーパーのカルフールの一角にほんのひとケース分程度冷やしてあったのですが、あっという間に売り切れる。ということで、欲求不満がたまっていたところ、その中華のテイクアウトのお店でハイネケンの缶がしっかり冷やされていることを発見。ありがたかったですね。ビールと食事で10ユーロ程度ですから、ほんと助かりました。(たぶんあと1回だけ続く)

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