厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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<<   作成日時 : 2011/11/10 11:39   >>

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利回り上昇が止まりません。プライマリーバランスが一応黒字の国ですが、まあ首相が首相だっただけに信用が相対的に低いという悲しい現実があります。ちょっと前まではAAAの国ですが、ワタクシはもともとあの首相ゆえに4ノッチぐらい下の評価しかしていなかったので、それほど違和感はありません。まあ今は流動性の薄いマーケットですから、どちらにしてもねらいをつけられたらひとたまりもありませんな。

ところで、既に知られていることかもしれませんが、イタリアの場合、信用リスクそのものというより若干ポジション要因も大きいのではないかとの見方もあります。

たとえば、先日破綻したMFグローバルのポジションの多くがイタリアだったりしたようで、破たん処理となればそういうポジションの清算をこの地合でやるはめになり、スプレッドの拡大に拍車をかけそうです。それに加えて以前アイルランドのところで紹介したクリアリングハウスの担保ヘアカット率の引き上げが最近話題になっていました。要するにAAA格の国の国債利回り(具体的にはドイツとフランスの平均利回りのようですが)から450bp乖離してしまうと、ルールによって担保掛目が減らされる。要するに金融機関によってはポジションを減らさざるを得なくるし、場合によってはそれで金が借りられないのであれば、もう売るしかない、てなことになりかねない。そのトリガーがどうも今回イタリアのケースでは6%台後半だったようです。利回りが7%を超えるともう救済を求めるしかなくなるという意味は、そういうところにもあるわけだと思います(つまり相場の下落=スプレッドの拡大が加速してしまって勝手に転げ落ちていく)。これまでギリシャは別にして先ほど紹介したアイルランドやポルトガルは当の昔にその水準を超えてしかるべき機関に救済を求めており、ノーリターンとなりました。イタリアも、IMFの監視をいれるとかいう表面的な対応では止められず、とうとう二日ほど前にヒットしてしまったようで、そこから加速していることはご覧のとおりです。
もうひとつ、こないだのギリシャの債務削減が「自発的」であることとしてCDSのトリガーをヒットさせなかった影響を指摘する人もいます。つまりCDSがユーロの国の債務リストラで有効な保険とならない前提ができてしまった以上、保有者が完全にリスクヘッジする手段はもはや「売る」以外になくなっている。このマーケットでその動きが加速している可能性があります。

ただ、やはり冷静に考えるべきは、一応プライマリーバランス黒字(一応ね)ということで本来であれば財政赤字は減っていくはずの国だったわけです。ところが、その国が市場の力でこういう状況になれば借り入れコストは膨大になり、対外ファイナンスに頼る国は加速的に苦しくなってしまうという恐ろしさがある。つまり本来生き残れる主体まで市場が勝手に破綻させてしまうという危険性です。市場が冷静に物事を見つめることができれば多少解消するはずなんですが、プロシクリカルな動きになってしまうと、ちょっと世の中に対する破壊的な影響が出かねず、心配です。ここでも統一通貨ユーロの呪縛で国内ファイナンスコストと海外ファイナンスコストを区別できない(自国だけの金融政策がとりえない)という苦しさが背景にあります。日本だと外野が何を言おうが今のところは国内ファイナンスで完結しているので、金利が上がらないけれど、対外ファイナンスに依存していると、外野の意見が支配してしまうことになるわけです。まあ日本でも先のことはわかりませんけれど。

いくらグローバル化社会であるとはいえ、あらゆる状況において外国や部外者がすべていつまでもやさしくしてくれるという前提は捨てたほうがいいでしょう。市場開放もそうですが、もちろん実利を取りつつ開放すべきところは開放し、相互依存すべきところはするべきですが、中期的に日本に与える影響をしっかりと詰めて議論したうえでよく考えて実行に移すべきですね。あまり自立にこだわりすぎるのも鎖国とか妙な結論になりかねないので怖いのですが、これからみんなでより詰めた議論が必要だと感じています。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
いつも拝見しております。ギリシャはともかく、ユーロ第三の国、イタリアまでもが実質的デフォルトに向かうとしたら、なんとも解せないです。政治が悪いので致し方無いとも思いますが。マーケットが食い荒らしたあとには、「そして誰もいなくなった」ユーロが残るのでしょうか?ミステリーでは済まない現実に寒気がします…
みっちー
2011/11/10 19:09
今の状況は市場機能が劣化し、あるいはなくなりつつあるということで、いわば「市場の不存在という市場」です。それでも取引が成立する限り市場価格がでてきますから、イタリアが7%を簡単に超えてしまう。市場がなくなることを予想するなら価格はきわめて保守的に設定せざるを得ません。例えば、株式市場では通常PERやPBRは数倍以上で取引されますが、非公開会社の場合、一番保守的に評価するなら、すべての資産を時価評価してその後にでる純資産価格そのものつまりPBR1倍の世界です。そしてその価格でも換金性がなければ、買う人は極めて限られる。市場機能が消滅しなければ平穏無事だったものが市場機能がなくなったとたん、核爆発のようにいろいろなものが吹き飛ぶのが今の金融市場の現状だと思います。その意味でおっしゃるとおり「そして誰もいなくなった」状態はありえるのであり、イタリアの状況はなかなかしゃれになりません。
厭債害債
2011/11/11 08:48
そうですね。市場はコントロールが効かなくなる、連鎖的な臨界に達すると、安全装置があることが逆に働いて、ヘアカットルールしかり、さらにそれぞれの個々の合理的行動が、全体として次の危機を起こすことになるので、こういった状況下では、平時の原則論から離れて、安全装置を一気に解除するほうがよいのでしょう。まー爆発する前に放射能を放出する勇気は誰にもなかったように、この決定はだれにもできないかも知れませんが。
かる
2011/11/11 22:11
かるさん、どうもです。合理的行動の集積が危機を深化させるというまさに合成の誤謬とでもいうべき事態ですが、自動消火プログラムが機能していない以上、自動操縦ではなく手作業で爆発を食い止める必死の作業を続けざるを得ないのだと思います。
厭債害債
2011/11/13 08:48

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