厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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zoom RSS 暴力団排除条例のあいまいさ

<<   作成日時 : 2011/11/23 15:01   >>

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先日社内の会議で暴力団排除条例のことが話題に上った。

東京都でもご存じの通り10月からこの条例http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/sotai/image/jourei.pdfが施行されている。金融機関にとってこの条例の最大のポイントは取引約款にこの条例の規制対象となる人との契約(たとえば、預金口座、保険契約など)を無催告解除できる条項を入れる「努力義務」が定められたことだろう。そして入り口ではそういう契約を排除する、やはり努力義務を負うために、データベースの構築や利用が必須となる。(18条)


一般の人から見たら「努力義務」なんだからそんなにかりかりしなくても、と思われるかもしれないが、金融機関というのは基本的に免許事業であり、許認可権限を持っている役所すなわち国の意向に絶対に逆らえない。条例とはいえすべての都道府県で暴力団排除条例があるということは、この内容は国の意思と同じで、それを無視することはとても「怖くて」できないはずだ。。(その意味では監督官庁は何をされるかわからないという意味でやくざよりよっぽど怖い)。そもそも明確にそれを無視すること事態が評判リスクの原因となりかねない。

ところが、よく読んでみるとこの条例、結構難しい。
特に、第二条の定義はそもそも「暴力団」そのものが「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」を援用しているのだがそこでの定義は「その団体の構成員(その団体の構成団体の構成員を含む。)が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体をいう」となっていて、我々が想像するいわゆる「ヤクザ」をこえて広がりを持つ可能性のある定義となっている。たとえば、最近はあまり話を聞かないが昔のいわゆる「過激派」といわれる団体や北朝鮮政府なども当然入るだろう(法律には国籍要件はない、念のため)。さらに条例第二条の4号では「暴力団関係者」というのがあり、「暴力団員又は暴力団若しくは暴力団員と密接な関係を有する者」と輪をかけてあいまいだ。

残念ながら「密接な関係を有する者」の定義は東京都は一切定めていないようである。公式のQ&Aなどでも出ていない。

ちなみに大阪府の条例では公安委員会規則で一応「暴力団密接関係者」の定義があるが、これもまた問題含みだ。


○大阪府暴力団排除条例施行規則
平成23年3月4日
大阪府公安委員会規則第3号
大阪府暴力団排除条例施行規則を次のように定める。
大阪府暴力団排除条例施行規則

(略)

(暴力団密接関係者)
第3条 条例第2条第4号の公安委員会規則で定める者は、次のいずれかに該当する者とする。
(1) 自己若しくは第三者の利益を図り又は第三者に損害を加える目的で、暴力団又は暴力団員を利用した者
(2) 暴力団の威力を利用する目的で、又は暴力団の威力を利用したことに関し、暴力団又は暴力団員に対し、金品その他の財産上の利益又は役務の供与(次号において「利益の供与」という。)をした者
(3) 前号に定めるもののほか、暴力団又は暴力団員に対し、暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなる相当の対償のない利益の供与をした者
(4) 暴力団又は暴力団員と社会的に非難されるべき関係を有する者
(5) 事業者で、次に掲げる者(アに掲げる者については、当該事業者が法人である場合に限る。)のうちに暴力団員又は第1号から前号までのいずれかに該当する者のあるもの
ア 事業者の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、当該事業者に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。)
イ 支配人、本店長、支店長、営業所長、事務所長その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、営業所、事務所その他の組織(以下「営業所等」という。)の業務を統括する者
ウ 営業所等において、部長、課長、支店次長、副支店長、副所長その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、それらと同等以上の職にあるものであって、事業の利益に重大な影響を及ぼす業務について、一切の裁判外の行為をする権限を有し、又は当該営業所等の業務を統括する者の権限を代行し得る地位にある者
エ 事実上事業者の経営に参加していると認められる者
(6) 前各号のいずれかに該当する者であることを知りながら、これを相手方として、条例第2条第5号に規定する公共工事等に係る下請契約、資材又は原材料の購入契約その他の契約を締結した事業者

(以下略)

この太字で書かれた表現、「〜した者」となっている。文字通り読めば、過去に一度でもこの行為をしたら該当しそうだ。しかも同じ第3条の(5)では太字にした(1)〜(3)の行為をしたものを会社の幹部に据えている場合はその会社自体が「暴力団密接関係者」と認定されることになるが、たとえば(3)の利益供与など、昔は多くの企業がやっていたり、場合によってはフロント企業を使った地上げとかやっていたのじゃないだろうか?そしてその時の担当者がいま結構会社の要職にいたりしないだろうか?もちろん定義は明確に「暴力団」「暴力団員」となっているので、フロント企業とかはもしかしたら外れるかもしれないが、直接に交渉した相手が暴力団員だったかもしれないし、そういうことまで考えると、日本の大企業のかなりのところが「暴力団密接関係者」となり、新規の取引を断られかねない。

まあ、上は半分冗談で、条例の趣旨からだれもそんなことまで考えないだろうが、こういうあいまいな定め方というのは本当に民間企業泣かせなのである。役所的には自らの手をそれほど汚さずにヤクザを絞りあげることができる条例として旨く行ったと思っているかもしれないが、本来役所がやるべき仕事を「努力義務」というかたちで形式上のあいまいさと事実上の強制力を兼ね備えた規制が、妙な悪影響を社会と経済に及ぼすリスクもあるように思う。


余談だが、最初に書いた社内会議は、この話題で随分盛り上がった。みんな具体的にどういう場合が排除すべき取引だとかそういう細かいところについて正確な知識を持ち合わせていないということが改めて認識されたのだが、要するに金融機関などの取引当事者が臆病になりすぎて、余計な仕事が増えるのが目に見えるようだ。

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