厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

アクセスカウンタ

zoom RSS 米銀のストレス・テスト(2)

<<   作成日時 : 2012/03/14 11:44   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 16 / トラックバック 1 / コメント 1

2009年にリーマンショックの余波の中でストレス・テストを行ったときにもエントリーを書きました。そのときはストレス・シナリオがストレスになってないだろうとか、はじめから結果ありきではないかとか散々書きましたが、今年も改めてストレス・テストが実施され、今回はそれなりの結果が出たようです。

2009年との大きな違いは、やはりストレス・シナリオとしてそれなりに厳しいマクロ、市場条件をおいているということです。前回は失業率8%台とかがシナリオになっていてもう一月もたたないうちに達成されそうなレベル(実際そうなりましたが)だったりしたのですが、今回は実質GDP成長率が2012年1Qにマイナス8%、2013年ごろ失業率13%でピークに達し、株価50%下落、住宅価格21%下落という事象が同時に生じた場合をシナリオとしています。前回とは比べ物にならない厳しさですが、それでも対象19行(グループ)中15行が監督基準の4項目の最低水準(例えばティア1自己資本比率4%など)を満たす結果となり、まあよかったねーという結果になりました。考察範囲の9四半期での19行累計のロスは5340億ドルだそうです。

おそらく今回のストレス・テストは銀行が望んでいた「増配」を実現するためにクリアしなければならないひとつのハードルだったのだと思われます。FRBのリリースのコメントにもそのような表記が見られますし、そもそも銀行がそうしたコーポレートアクションを予定しているならそれを織り込んだ数字も出しているはずです。

JPモルガンは13日にプレスリリースで増配を発表しましたが、そのなかで

The Federal Reserve has informed the Firm that it completed its 2012 Comprehensive Capital Analysis and Review ("CCAR") and that it did not object to the Firm's proposed capital distributions submitted pursuant to CCAR.

と書いております。ここでいうCCARはまさにストレステストのことですが、FRBがストレステストの結果を受けて同社の株主分配について意義を述べないといっていることを明らかにしています。まだ公式に結果も出していないのに大丈夫か、という点はともかくとして、今回のストレス・テストが一部銀行にとってはようやく回復を印象付けるための重要な道具であったことがうかがえ、市場に与える影響の大きさを想像させてくれるでしょう。

(ちなみにFRBのリリースのほうでは

... despite the significant projected capital declines, 15 of the 19 bank holding companies were estimated to maintain capital ratios above all four of the regulatory minimum levels under the hypothetical stress scenario, even after considering the proposed capital actions, such as dividend increases or share buybacks.

と、フライングしたJPモルガンをちょっぴり皮肉るような書き方をしている気もするのですが、先ほども書いたようにもともとその辺のコーポレートアクション込みで大丈夫かという計算をしているので、それは多分気のせいだと思います。)

その意味で「合格」「不合格」という言い方は正しいのですが、ストレス・テストという使われ方は必ずしも今回のように特定の行動を許可したり禁止したりする明確な結果を導くものだけではありません。一般には少なくとも金融機関については自社内でも定期的あるいは時宜をみたストレス・テストの実施が金融監督上要請されているはずで、こちらは「合格」「不合格」というのではなく、自らがストレス環境の下でどのような状況に陥るのかという思考実験の意味合いが強いと思われます。監督当局はまず間違いなくそういう内部のストレス・テストの内容をチェックしますが、極端なストレス環境で資本不足であるという状況そのものを問題にするのではなく、それに対して対応なり備えなりを取れる態勢がきちんとあるのかどうかをチェックするのだろうと思います。その意味で、自主的な経営プロセスの一環としての内部的なストレス・テストには「合格」や「不合格」という言い方は適当ではないものと思われます。てなことは一般の方にはどうでもいいことですね、はい。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 16
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
面白い 面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
毎日の疲れもこれでスッキリ
毎日の仕事や 家事 育児でクタクタ 夕方にはぐったり・・・・・そんな女性には、超効ポリフェノール・紅珠漢。低分子化ポリフェノールで 疲労回復 毎日イキイキ。 ...続きを見る
超効ポリフェノール・紅珠漢
2012/03/23 08:23

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
そうですね。銀行という業態がサイレントな状況にあり、極端な他人資本を使ったレバレッジを使いすぎてはいけないという、基準をマーケットに対して各金融間に対する評価としアナンスしたことは意味あるものだとおもいます。しかし、BANKという国民国家の外側にある業態に対して、無力であるという意味ではいわゆるグローバルな世界では限界があるということでAIJ事件でおわかるかと。
karu
2012/03/29 23:09

コメントする help

ニックネーム
本 文
米銀のストレス・テスト(2) 厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる