厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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zoom RSS ラガルド専務理事のギリシャに対する発言をめぐって

<<   作成日時 : 2012/05/31 23:28   >>

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IMFの専務理事ラガルド氏のギリシャに対する発言が物議をかもしているようです。

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/120530/mcb1205302119033-n1.htm

まあ、確かにこの記事を見る限りにおいて、時期が時期だけに言い方には気をつけろよと思わず言いたくなりますが、一般的にギリシャにおける税金の捕捉率が低いことは共通の認識に近いとおもわれ、内容的に(ギリシャ人が怒るのはまあもっともとしても)いちいち目くじら立てるほどの話か、というきはします。

むしろ問題はこっちのほう。

http://www.guardian.co.uk/business/2012/may/29/christine-lagarde-pays-no-tax?INTCMP=SRCH

英国のガーディアンの記事ですが、こうした物議をかもしたラガルド氏がIMFの専務理事としての報酬に課税されていないことを取り上げています。でも記事の終わりのほうはなんだかそもそも国連などの国際機関職員の給与水準が高すぎるみたいな話になっていて、全体としてなんだか良くわからない趣旨の記事になってしまっています。

まあ国際機関や外交官の給与水準が高すぎるというのは良く耳にする話ですが、ここでのギリシャ問題とはあまり関係のない話で別のところできちんと議論してもらえばいいことです。

ラガルドさんが税金を払っていないのは、それは国際機関としてのトップとしての報酬だからでありこれは条約上もきちんと定められているようです。

国際連合の特権及び免除に関する条約(国連特権免除条約)

第5条
第一八項 国際連合の職員は、
(a)公的資格で行なった口頭又は書面による陳述及びすべての行動に関して、訴訟手続を免除される。
(b)国際連合が支払った給料及び手当に対する課税を免除される。
(c)国民的服役義務を免除される。
(d)配偶者及び扶養親族とともに、出入国制限及び外国人登録を免除される。
(e)為替の便益に関して、当該国政府に派遣されている外交使節団に属する外交官で自已の地位と同等のものに与えられる特権と同一の特権を与えられる。
(f)配偶者及び扶養親族とともに、国際的危機の場合に外交使節に与えられる帰国の便益と同一の便益を与えられる。
(g)当該国で最初にその地位につく際に家具及び携帯品を無税で輸入する権利を有する。


言うまでもなくIMFは国際連合の専門機関ですから、これの対象になるのではないかと思います(ちょっと自信はありませんが)。ガーディアンの記事の本文では免税の根拠を「外交関係に関するウィーン条約」にしているようですが、厳密には「外交関係に関するウィーン条約」は外交官に適用されます。つまり特定の国を代表する「使節団」を前提にした関係を規定しており、国家を越えた存在である国際機関と国家の関係を規定していると解釈するのはちょっと無理がありそうに思いました。まあ免税の趣旨は同じですが。

税金というのはあくまで国内法に基づいて徴収されるものなので、特定の国の支配に服することが適当ではない国際機関の主な職員や接受国(相手の国という意味)の支配に服するべきではない外交官は特定の国の租税を免除されるのが昔からの慣例であり、それは特に外交官の場合は国家対国家の無用な紛争を避けるための「大人の知恵」であり、条約でもきちんと定められています。国際機関も、国家という概念を超えて活動してもらわなければならないから、特定の国家に支配されることのないよう、このような条約が定められていると考えられます。だから、彼女が税金を払っていないことは別にちょろまかしているわけでもなく、条約を通じて世界中の国が認めていることなのです。(とはいえ、実際は多少何らかの税金は取られているという説もありますが実際どうなんでしょうか?)

ギリシャに対する発言は、多少言い方に問題はありますが、内容としては実際彼らの税金のところがしっかりしていないと結局中期的に国家財政はどうにもならないですから、ある意味当然のことを言ったまでと思います。一方彼女が税金を払っていないのは、条約上そうなっているからであり、彼女のせいではありません。それでもこのガーディアンの記者がどうしても文句をつけたいなら、明日あたり自分から税務署に赴いて、「法律の根拠はないのだけれどどうしても税金を払いたい」と強く主張されてはいかがかと思います。きっと「変な人」扱いされるのが落ちでしょうから。いずれにしても、ギリシャに対する発言と彼女がIMFからの報酬について税金を払っていない(免除されている)こととは全く次元の異なる話なのに、それを無理やりくっつけて「庶民」の低レベルの怒りを掻き立てるようなやり方はメディアとしてもっとも避けるべきだと思うのですが、いかがでしょうか?

もちろん、こうした国際公務員の給与水準自体には何らかのチェックが入ってしかるべきですが、先ほども書いたようにこの記事のタイトルからしてもどうも趣旨はそういうことではなさそうです。

FTなんかもそうですが、英国のメディアの劣化も相当なものだなぁと思わずにはいられません。・

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マスメディアの人たちには、「思慮深さ」は無縁のもの。この傾向は増すばかり。
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そして自分たち以外のダレか(政治家・官僚・企業経営者など)が悪で、自分たちは社会正義を追及する「ナイト(騎士)」と思い込んでいる・・・。彼らのおかげで何百万人の人間が虐殺されてきたことか・・・。
お伊勢参り
2012/06/01 00:09

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