厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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<<   作成日時 : 2012/10/08 01:06   >>

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AIJで大損させられた長野県建設業厚生年金基金のことでまたニュースが。
どうやら関係している投資顧問やら信託銀行が行政処分の対象になりそうだとか。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121007-00000010-asahi-ind

記事だけからは正確な状況はつかめませんが、おそらくいわゆる「一任勘定」での投資だったと思われます。
投資顧問との契約では「一任」と「助言」とがあり、一言でいえば、委託者(この場合長野県建設業厚生年金基金)が自分の名前で発注するかどうかです。助言であれば投資顧問会社から委託者がまさに「助言」をうけて(事実上はその通りやるわけですが)委託者の名前で証券会社などに発注します。信託銀行が絡む場合(通常はこのケースが多い)は証券会社などに発注する際に信託勘定での取引である事を伝え、同時に信託銀行に運用指図を行い、証券会社にとっても法的なカウンターパーティは信託銀行となり、信託銀行はそれに従って資金や証券の受け渡しを行います。
一方で一任の場合は委託者が一任契約した投資顧問などが直接発注を行い、信託などにも指図を行います。つまり委託者は「果報は寝て待て」状態になるわけです。この場合運用を一任する投資顧問などの選び方がすべてを決することになります。

ちょっと前置きが長くなりましたが、信託というのは委託者(あるいは一任された投資顧問など)の言うとおりにやるから信託なのであって、自分から勝手に委託者のすることに対していいとか悪いとかあまり積極的に口出しする立場ではありません。もちろんやってもいいのだろうとは思いますが、本当に義務かといわれると微妙な感じがします。
http://www.shintaku-kyokai.or.jp/trust/trust03_07.html

受託者責任として信託でも投資顧問でも一般的な善管注意義務とかありますし、金融商品取引法でもそのようなことは書かれていますが、今回のケースのように委託者がそもそもいい加減というかだまされる気まんまんで事務長だか理事長だかが横領をやろうというような基金であれば、そもそもの前提が成り立っていないと思います。しかも新聞記事に名前の出た投資顧問会社も結局のところ記事にある「投資会社」の言うとおりやるという契約であったわけで、自分では全く判断する立場ではなかったと思います。まあ一任の一任みたいな状況でしょうか。

で、今回のようなケースでは、まあ投資顧問会社(今回はユナイテッド、スタッツ)はそういういい加減な商売でフィーをもらっていたという点では十分に責められるべきですが、本当にこのスキームを支配しているのは委託者と各投資顧問や信託に指図を出していた「投資会社」です。ところが奇妙なことに、日経新聞の記事ではその当該投資会社の名前もその最大の責任を負うべき「逃亡している事務長」の名前もでておらず、代わりに投資顧問会社や信託銀行の名前が出ていて非常にフェアではない印象を受けます。

メディアとしては金融庁からの処分の対象になりそうなのがこうした投資顧問や信託であるからそこを取り上げたのでしょうが、本当に詰めるべき対象は元事務長であり実質的な意思決定をしていた「投資会社」でしょう。ここをえぐらない限り今回の問題の本質には迫れない。こういう表面をなぞるような記事ばかりだと逆にミスリードになってしまうと思います。

おまけですが、今回の事件は年金受給者の方々には本当に気の毒ですが、会社で社長が馬鹿でむちゃくちゃやってつぶれて給料が出なくなったのと同じです。救済の必要は一切ない、ということは改めて強調しておきたいと思います。

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日経新聞「払った年金を貰いたいという考えは甘え。むしろ損してもいいじゃないか。広い心を持つべき」
1 :番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です:2012/11/25(日) 13:10:25.02 ID:ws2fqRLI0● ?2BP(1072)健康保険で「納めた分以上にトク」というのは病気になった状態(医療費を保険が7割払ってくれる... ...続きを見る
【2ch】ニュース速報嫌儲版
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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
私もこの記事を読んで、なぜ信託が責めを負うのか理解できませんでした。信託は単に委託者から指図を受けて、Brokerとの間で決済するだけだと思っていました。
Ayankey
2012/10/08 23:08
まったく同感ですね。実は日経新聞にこの記事が掲載されたときに「厭債害債さんがとりあげてくれるかな?」とひそかに期待してました。ありがとうございます。
日経記事では何が問題で誰がどのような責任(法的、契約上)があるのかサッパリ理解できませんでした。
(1)年金特金での投資一任、投資助言なのか、年金信託(信託銀行が運用指図権をもつ)なのか?
(2)記事では「詐欺ではない」と書かれているものの、では単なる運用の失敗(金額的には大失敗であるとしても)とどこが違うのか?
(3)デューデリジェンスはどこが責任をもつのか?

基金が最終的に責任をもつとしても、DDなど「基金のおじさん」にできないでしょうし。デューデリジェンスが「当然払われるべき努力」といった意味の英語である、なんていうこともおじさんたちは知らないのでしょうし。「テクニカルなことは専門家に任せておいて・・・」と思考停止したり、なにかあったときは「プロに信頼して任せていたのに・・・」とかおいおい、あんたはアマチュアなんかい?といいたくなつてしまう輩が多いですからね。
日経新聞の記事のヒドさはぐっちーさん(GicciPOST)がかねがね嘆かれていますが、今回の記事もそのひとつですね。日経新聞の記者諸君は情緒的記事を書いてはならない、ということをキモに命じるべき(朝日や毎日とは違うクォリティペーパーとしての矜持はいずこ?)。それができないならペンを折れ!

それしても、厚生年金基金制度が廃止されるというのは、隔世の感あり、ですね〜。自助、共助、公助の発想から英国の年金制度をヒントに創設された同制度ですが、今日の私的所有権、情報社会、時価会計、短期思考といった潮流の中で、金融への無理解がひどいニホン国の現状を鑑みるに妥当な選択ということでしょう
お伊勢参り
2012/10/08 23:39
Ayankeyさんコメントありがとうございます。
当事者ではないのでもう少し複雑な契約内容なのかもしれませんが、当局としてはここのところを「行政処分」しないと収まりが悪いのかなぁとも思いました。日経新聞の名誉のためにあえて付け加えれば、記事本文はあくまで行政処分についてですが、ヘッドラインはどうみても「AIJ以外」で「運用3社」(ここでは信託や投資顧問など)が「損失」を出したのでえらいこっちゃ、に読めてしまいます。どうみても「運用3社」の能力とは(DDの点を除けば)無関係な話だろうと思ったので。
厭債害債
2012/10/09 04:35
ここでいわゆる投資会社の存在がわりません。私の感覚では年金基金は、直接投資顧問会社に一任もしくわ助言契約を結ぶはずですが、だいぶ状況変わっているのですかね。
AIJでもリーマンでも、あまりにも複雑化された金融商品は、詐欺師の常套手段と考えておいてください。
かる
2012/10/10 19:31
この道30年バイサイド、セルサイド、バンキング、トレーディング、プロップ、ファンディング、規制当局、監督官庁なんて色んな立場になってわかったのは、みんな強欲な猿集団の論理だの、哲学だの、経済学だのが、社会主義の末路同様、この30年の市場経済国民国家の幻想であったことがばれてしまいました。
皮肉にも資本主義国家群は、財政赤字に負け、元社会主義国家は国際経済においてかっこたる地位を築きつつある。歴史のアイロニーはここまで皮肉か。マルクスは偉大なり。( ̄^ ̄)ゞ
かる
2012/10/16 03:14

ちなみにこの年金基金を含め、aij絡みは極めて特殊な関係なのですが、マーケットでは登場人物知らない人がおおいのでは。
ということは、セルバイサイドとも、確か認可性で、🐵でも参入可能っ昔のお任せ運用に回帰の結果です。
kalu
2012/10/16 03:28
投資会社の名は株式会社アール・ビーインベストメント・アンド・コンサルティングのようです。ユナイテッドの報道発表資料で名指しされています。また、虚偽の告知等を行っていた適格機関投資家等特例業務届出業者として金融庁から警告書が発出されています。さらに、長野県警から詐欺容疑で家宅捜索を受けたと報道されています。全部セットのようです。
Mimi
2012/10/17 00:28
そうですか、しかし投資運用会社の複雑化きわまれりで、どいつが詐欺師かは、たぶん規制当局含め、日本の間抜けなアドミカスドニーには、見抜けないでしょう、ていうか確信犯でやっていて、金ちゃんに刺されてそりゃねーだろって、阿呆の責任擦り合いで馬鹿丸出しですな。だから今はプレーンな商品に投資して下さい。ご自分の老後の大事な財産が、又がしのまだかしのそのまたがしで、だれに投資されているかわからないのが、今の資産運用の異常です。基本的に金持ちはそんな馬鹿な投資はしません、自分の見える範囲でやってます、でそこから逸脱した投資行動に対してノーといえる判断ができるので、プロの投資Fと逢いたいで本当に自己責任でやってます、で、まさか自分のねんきんは、一流の金融機関からAAAで日本国債より安全っ言われたが、本当の投資先が、最後をたどれは、自分達より無知で、経済の毛の字も知らない、道徳観ないアメリカの貧乏人を騙して貸したローンの不良債権でしたってわかるわけねーか。
かる
2012/10/25 02:01

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