厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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<<   作成日時 : 2013/04/10 09:01   >>

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まあ当然の帰結と言えば帰結だけれど、国内に投資先がなくなれば投資家は海外に目を向ける。
日銀の決定会合以来、どうやら生保が外債(ヘッジ付)にシフトするのではないかという話がかなり有力になっているが、それはまあ当然のことである。海外でもこのような論調になっているようだ。

http://www.ft.com/intl/cms/s/0/b5a2046e-a042-11e2-a6e1-00144feabdc0.html#axzz2PpT5Du1W

記事の内容はまあ低金利によって国内に投資機会の少なくなる日本の投資家が外国への投資をすでに増やし始めているということであり、これは肌実感としてもあう。

ただ、最近の新聞記事などを見ていて若干違和感があるのは「外債投資」=円安という論調になっていることだ。確かに事実としてはすでにそれを先取りする形である程度までは思惑であろうが円安が進んでいるから、マーケット参加者的には結果として正解になっているのだろうが、実際のところ生保がオープンでがんがん外債を買えるのかというとそれは多少割り引いて考えないといけないだろう。

そもそも日本の生保の場合負債がほぼすべて円建てであり、オープンで外債(というか外貨建て資産)に投資するとそれだけで資産と負債のミスマッチ(リスク)が生じるわけで、ありきたりの言葉を使うと「博打」になりかねないのである。もちろん、話はそう単純ではなくて、おそらくどこの会社のリスク管理でも様々な資産の相関とかバランスなどを考えて一定量の外貨リスクはリターンとの関係で十分取れる、という判断でやっているだろうが、一部の会社ではここ数年全く外貨のリスクをとらないということを決めている会社もあるので(現在のリスク管理の在り方からするととても美しい)やはりそう一筋縄ではない。

為替リスクというのは市場でヘッジが可能であり、今のところコストも安い。海外の金利の高さはそのコストを払ってもペイするゾーンがある。まあ何年か前ほどはおいしくはないけれど。

それに、どの保険会社もソルベンシー・マージン比率というのを公表していて、これはあのコワい監督官庁様の行政介入のトリガーとなる数値だが、個々での算出基礎となるリスク量において、オープン外債はきちんとヘッジした外債の約5倍のリスク量で計算される。具体的に言うと、為替だけで10%のリスク量(債券部分を入れると11%)を見ておかなければならない。リスク量とは想定上の損であり、この損を調整したリターンがリスク調整後リターン(RAROA)となるわけだが、極論すれば外債のオープンは単体で考えれば2%5年の債券ではRAROAはゼロということになってしまう(厳密な計算ではないので念のため)。そういう投資を本当にやるのかどうか。まあ今はかなり含み益も含めて資本に余裕がある状態だからどうでもいいかもしれないけれど、現場の判断としてはやはりちょっと悩ましいと思う。まあ実際には多少はやるんだろうけれど、メディアでいわれるような単純な話ではないことに注意は必要だ。(もちろん実際は各社が自社のモデルで独自のリスク量を出していてそれが意思決定に使われると思うので、これはあくまで行政上の規制に絡んだ話)。

ただ、逆に為替をヘッジした外債はリスク量がわずか1%なので海外なら割とリスク調整後リターンがメイクセンスしやすい。しかも米国をはじめとして市場も大きいので資金の受け入れ先として申し分ない。この結果まず起こることは欧州などの主要国における国債金利の低下だろう。まさに今の欧州にとってはありがたいことだろうと思う。
ユーロ高でドイツなどの輸出が多少苦しくなるとしても、ユーロの安定を確保できた方が当事国としてはありがたいのではないかと思う。

一方アメリカは確かにドル高円安になったが、そもそも、アメリカには為替で一喜一憂する有力産業は残っていないのではないか、と思う。自動車は?と言われれば、個人的にはアメ車購入層はそれほど価格センシティブではないと思う。昔サターンとかいう日本車キラーと呼ばれたのが価格の安さを売り物にして登場したがほどなく消えた。アメ車の乗用車は趣味の世界であろう。いまアメリカが握っているのは軍事産業であり、航空産業であり、食料であり、シェールガスであり、アイフォンやOSなどいわゆる非代替的なプロダクツである。言い換えると車は日本車が円高で割高になれば日本車を買わないで韓国車にするというチョイスがあるが、アイフォンはドル高でもきっと売れたに違いない。
すくなくとも日本や欧州に比べると、ドル高が経済に与える影響は相対的に小さいうえに、最近の上記のようなプロダクトミックスの変化によって為替の影響を受けにくくなってきていると言えなくないだろうか?

もう一つ忘れてはならないのが日米の戦略的な枠組みで、米国はいま財政の問題に厳しく取り組まねばならず、極東でのコストを減らしたいはずだ。もともと右派である安倍首相が人気を維持し懸案の憲法改正を実現すれば、集団的自衛権の行使を前提に日本の軍備拡張が見えてくる。アーミテージ、ナイによって「いつまで二流国でいるつもりか」と恫喝された日本なので、そういう考慮のもと、少なくとも自前での「自衛軍」を持つような流れになれば、アメリカはコスト削減と軍需産業へ恩恵とでダブルメリットになるだろう。中国の脅威を考えるとその意味はなおのこと大きい。

今回これほどまで急速に、しかも意図的な政策で、為替が円安ドル高に振れているにもかかわらずアメリカから異論が出ないのは、もしかしたらそういうことなのかもしれないと勝手に思っている。もっと想像を膨らませれば、浜田センセイを通じてアメリカから吹き込まれてしまったのかという陰謀論になってしまうのだが、それはあまりにもアレなのでこの辺で。

ある意味、今の政策は「国際協調」なわけですね。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
すみません。今回は一発で。生保の外債投資は確か昔の低金利時代にもあったような。まー当時はJGBも3パーゼントくらいありましたが、物価上昇も2パーセントあったから、実質では状況似てるかも、当時は買うのは、米30年債しかなかったが、確かノーヘッジで買ってレート160で塩漬けのはず、しかし当時の金利は8位あっかので、トータルリターンで今は勝ってたりして、今は更に追い風が。
あとちなみに外債ヘッジ100パーセントとかいってるけど、米30年債買っても大概が、せいぜい手前の長くて3Mをヘッジしてるだけで先の29年9ヶ月はまる裸って感じです。
まー投資期間がマッチすれば間違いではありませんが。
いわゆる短期マーケットにおけるショートファンディング的にリスクとってるのには変わりない。まー生保は調達が長期なのでバタバタせんでも、人間いつか死にますが、予定以上には死なん計算してますんで。生保の運用担当がくだらん色気出さねば問題ないかと。
かる
2013/04/13 01:07
かるさんどうもです。あの頃はリスク感覚もへったくれもなくて、単に金利が高い信用度の高い債券というだけで外債をフルオープンで買っていたようです。大体いずれの世でも、人は自体が根本的に変わるとは思わないで行動するので。
規制も絡まって円建て発行で償還が外貨というデュアルカレンシー債が堂々と円建てとして扱われていた時代です。ただ、プラザ合意以降は長期的に見て、かなりの期間において、オープン外債はトータルリターンで国内の安全金利リターンを上回っていたはずです。
ヘッジの考え方は、期間のミスマッチのリスクは当然わかった上で短期的な変動をヘッジするというものです。金利構造が変われば当然作戦変更になるでしょう。
おっしゃる通り変な色気を出さなければ(極端なALMリスクをとらなければ)運用で死ぬことをあまりないでしょう。
厭債害債
2013/04/13 09:37
ついでにもう一発。まー何万年も言っているように、ここから内需です。馬鹿な日本の能無し経営者は、この20年、てめーの馬鹿なことを忘れてグローバル化とか、規制緩和で日本経済が立つ治らないんだよ。もっと自分の息子たちを教育しろ。外人がえらいとか、官僚が悪いとか何もできないアホが、今こそまともな経営者は国内に目をむけないと。
なんか、TOEICがとか会議が英語とか言っている本邦グローバル経営者は多分、多国籍企業はだれもやとわん。今時代が変わる。
かる
2013/04/20 00:35
もう一発、基本的にできる奴は何人だろーができるので、彼らはグローバル人才ではない、で何とかできそうな奴で英語できても、プレゼンできようが、根が馬鹿なので全く違えない。
でこういう奴らに世界は騙されているだから世界はよくならない。所詮言葉は関係ない。ヨーロッパ見てみるとわかる。99パーセントは馬鹿で成り立つのが世界、そんな我々はグローバルなんて関係ない。北朝鮮みたいな国家が生き残るだから世界はおもしろい、だからみんなが幸せにならないと、なにが成果主義くそくらえ。この20年が逆にいけばよかった。でマラソンでテロが起こるでもアメリカはじゅうを捨てない。
あほ、マスコミは爆弾の使い方を教え、直後にドラマで爆弾まにあに警察が頭下げる放送を平気で流して、暴力反対だと、狂ってます。
かる
2013/04/20 00:59

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