厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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zoom RSS (続々)提携ローンと反社会的勢力

<<   作成日時 : 2013/11/02 21:54   >>

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みずほさんからプレスリリースがでております。
http://www.mizuhobank.co.jp/release/2013/pdf/news131028.pdf
第三者委員会の報告書でして、ここにはいくつかの重要な論点が含まれているので、この問題に関心のある方は是非ご覧いただきたいと思います。

以前にも書いたと思いますが、基本的には貸し手の側には借り手の個別性を認識する手段がこれまでなかったということがポイントです。ただしみずほさんの場合はオリコはグループ企業であり、その中での情報共有はやり易かった。グループとしてのリスク管理としては当然といえば当然で、グループ企業の不手際はダイレクトに親会社の不手際となってくるから、きちんとやるインセンティブは高く、実際上記報告書でも「きちんと」やろうとしていた形跡は大いに見られます。ただ、みずほさんのばあい、それが制度化されなかったため、ちょっとした規程違反もふくめ、チェックがその後おろそかになり排除も積極的に議論に上らなかったように思えます。

新聞記事などでは、他の生損保もチェックできていなかったという点が指摘されておりますが、グループ企業でもない企業間で、どこまで個人の属性を共有できるのか、という問題をこれまで真正面から扱ってこなかったということがここで問題となって現れているように思えます。前提としては信販会社のほうは殆どチェックするインセンティブがない(経済産業省からそのような厳しい指導がなされていない)なかで、保険会社は信販会社にデータを求めても笑って断られるのがオチだったわけです。建前としては「貸し手」としてきちんとチェックするべきであると言われればそれまでですが、まあ過去の取引慣行はそうだったし、それにたとえば店頭で物を買うとき(例えば家電など)これまでであれば信販の簡易な審査だけで通っていた状態から、真の貸し手(銀行や保険会社)の審査を待って初めて通る、という状況に変わりますと、グループとしてデータを共有でもできていなければそもそもビジネスとして成り立たなくなる可能性はあります。

まあ提携ローンなどそれほど需要がないからグループで信販を抱えているところ以外はなくなってもいい、というのならそれでもかまわないとは思います。反社会的勢力との取引をその状況で完全に遮断しようとすれば、グループ内で信販を持っているところ以外は多くの場合そのビジネスを完全にやめるのが合理的です。この程度のことでここまで言われるならやってられませんからね。

今回、上のリンクにあるみずほさんの第三者委員会の報告書(要約版)を読んでちょっと引っかかった点があります。
(引用)
「なお、みずほBK は、かかる結果還元に向けた調整に際して、事後チェック
によって得られた反社認定先以外の不芳属性先情報についてもオリコのデー
タベースに登録するよう求めたが、オリコ側は、みずほグループの不芳属性先
情報の範囲が極めて広いため必要以上に取引が制限されてしまうこと、また、
システム上別途の対応を必要とすることなどを理由にこれを受容れなかった。」
(引用終わり)

まあグループガバナンスの問題と言えるのですが、信販がそもそもあまりそういう事前チェックに熱心でないことがこの事例からもわかると思います。

そして
(引用)
「C は、第1 回の事後チェックの完了後も、オリコとの間でみずほグループの不
芳属性先情報(反社会的勢力に該当するか否かを問わない。)についてもオリコ
の審査に用いられるデータベースに登録するよう折衝を続けたものの、平成23
年5 月頃までには、上記不芳属性先情報を全て共有することはおろか、事後チェ
ックにより判明した本キャプティブローンの顧客に係る不芳属性先情報の還元
さえも実現困難であると認識するに至った。
また、C は、平成23 年3 月に経済産業省の担当官がオリコ宛に示した個人情報
の共同利用に係る見解を入手し(オリコの顧客情報の共同利用に関する回答であ
り、反社チェックを想定してなされた回答ではない。)、その内容を確認して、み
ずほグループの不芳属性先情報をオリコに還元するという態勢作りが個人情報
保護法の観点からも実現困難であると認識するに至った。」
(引用おわり)

ということで、信販の所轄官庁である経済産業省のほうが個人情報の共同利用についてやや腰が引けていた、という点も指摘しています。

ですから、まあ次第にめんどうくさくなってチェックや対応がおろそかになっていた面はあるにせよ、今回の問題の本当の原因は信販であり経済産業省であると感じます。まあみずほさんにとってオリコはグループ企業であり情報を得ていながら放置した点が責められる(行政処分でもその点が指摘されている)のですが、「事前チェック」という点は、そもそも提携ローンというやり方を根本的に変えない限り難しいのではないか、と思います。仮に事後チェックするとしても、個人情報を異なる企業の間で共有するという点、常に顧客の同意を得るなど新たな仕組みを作らなければならないと思います。

もう一つみずほさんの報告書でひっかかったのは、次のところ
(引用)
「金融庁の入検時、担当検査官から本キャプティブローンに係る事後チェックの
結果を取締役会・コンプライアンス委員会へ報告しているかとの質問があったが、
これに対し、みずほ銀行側は、そのような報告は行っていない旨の誤った回答を
した。
そして、かかる検査終了後の金融庁の報告徴求命令に際しても、取締役会・コ
ンプライアンス委員会への報告がなされていないことを前提に報告を行った。
その際、みずほ銀行行内において、コンプライアンス統括部に現に所属する行
員に対してヒアリングが行われたが、過去に同部に所属していた行員に対するヒ
アリングは行われず、過去のコンプライアンス委員会議事録等関係資料の精査も
なされなかった。関係者の聴取結果によれば、本キャプティブローンの反社チェ
ックに関しては、オリコの関連会社化当時からコンプライアンス統括部に所属す
るC が誰よりも詳しく、同人が言うのであれば間違いないと軽信し、実質的には、
一担当者に過ぎないC の記憶のみに依拠して回答が行われた。かかる特定の個人
の認識や記憶に依存した組織的な対応態勢の欠如が、本金融庁検査における過誤
報告を招いたものといえ、みずほ銀行の関係者が、上記コンプライアンス委員会
資料中の記載等について、これを殊更秘匿したことを窺わせる事情は認められな
い」

うーん、銀行側の対応を非難しているようでじつは最後の結論が「秘匿ではない」と銀行擁護になっていて、若干違和感があります。また銀行の組織として上記のようなことが本当にあるのか、という点も若干違和感があります。何かどこかで責任の所在を無理矢理すり替えている感じがしなくはありません。

そして
「みずほBK においては、その規程上、自行に係る反社取引についてはコンプ
ライアンス統括グループ長及び頭取に報告するものとされ(コンプライアンス
基本方針細則(反社会的勢力関係)第3 条B)、また、「反社会的勢力への対応
に関する事項」については、審議・調整する必要があるとされていた(経営政
策委員規程別表)。
このうち、経営政策委員会規程別表については、反社会的勢力への対応に関
するいかなる事項を審議・調整すべきなのか、その具体的な内容は必ずしも明
らかではない。
一方、コンプライアンス基本方針細則(反社会的勢力関係)の定めは比較的
明確であり、本件においても、第3 回事後チェックの結果以降、本キャプティ
ブローンの反社認定先との取引の状況について、みずほBK の頭取に対する報
告がなされていないことは、当該細則違反の謗りを免れない。この点に関し、
反社会的勢力マニュアルの渉外室室内ルールにおいては、上記細則に基づく頭
取報告のルールについては言及がなく、渉外室内において、当該ルールが十分
浸透していなかった可能性は否定できない。」

という点も、これだけの組織で、昔からやっていたルールがある段階から守られなくなるという点がやはり違和感があるのです。ストーリーとしては最近のことについて頭取は知らないということをやたら強調したがっているように見えるのですが・・・まあいいです。

一方で、この一連の騒ぎそのものにもかなりの違和感があります。もし本気で国家が暴力団を根絶やしにしたければ、まずは国家が表に立って行動を起こすべきなのだと思います。なにせ相手は反社会的な暴力集団です。通常の市民を矢面に立たせるというのは無理があります。まずはお金の面や制度の面でぎりぎり絞っていくことが有効で、たとえば生活保護などはそれなりの対応をとっているようです。それ以外にたとえば反社会的勢力の運転免許をすべて失効させればいいと思います。法律をちょっと変えれば済む話です。これは結構効くと思いますがどうでしょう?そういう対応すらとらない状態で、民間がうっかり取引したら大騒ぎするのはいかがなものかと思っています。公的機関が反社会的勢力を死滅させるような集団をとっていないのに、民間にだけ責任を押し付けるのはどうかと思いますけれどね。

最後にメディアの報道について一言。

「暴力団融資」という表現が散見されますが、これは明らかに書きすぎ。暴力団そのものにお金を貸しているわけではないし、暴力団と認識してお金を貸しているわけではない。通常の不注意による交通事故死を殺人というようなものです。せいぜい「暴力団員への融資」でしょう(だいぶニュアンス違いますよね)。

http://www.huffingtonpost.jp/2013/10/26/insurance-provider_n_4165590.html?utm_hp_ref=japan
「丸投げ」というのも正確ではない。丸投げというのは自分たちがやるべきだと思っていることを他人に全面的にやらせること。今回はそもそもその他人(信販)がやるべきことを(経済産業省のいい加減さにより)やっていないだけの話です。もちろん、事後チェックがないなど貸し手としての自覚がなかった点は責められるでしょうが、その程度の話です。

信託など他業界についても更に追いかけているようですが、そりゃまあ当然どの金融機関も出てくるでしょうよ。よほど暇なのか記事が書けないのか、こうしたメディアが何を主張したいのかよくわかりません。相手が暴力団員だといおうこと仮にわからない状態で取引するのがすべて「悪い」というなら、すべてのコンビニとか商店とかの販売相手も調べて記事にしてはいかがでしょうか?

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コメント(9件)

内 容 ニックネーム/日時
何時も、実社会の実態の情報は大変勉強になります。

チョット思った事はマスコミの事ですが、マスコミは商売が何が受けるか考えていますよね。人に聞いた話ですけれど、『人間の感性に訴える「道徳」の問題のフックが一番興味があるそうです。』身近では「食品偽装問題」などなど。
まあ、多分、永久に続くんでしょうね。
ひこうき
2013/11/10 18:07
さて、この問題の怖さは、いわれもなき国家権力の規制によって警察に、反社会的個人を特定化させる怖さであるという本質をわかっていない、恐ろしさです。
さて反社会的勢力の一員であるというレッテルはどのような基準だれがはるのでしょうか。ヤクザとフロント企業とか、テキ屋が駄目なら虎さんは、はんしゃそのものですね。
戦前の特別高等警察的な、かつ反体制派に対する、マイノリティーに対する差別化の最初の一歩、警察国家の最初の一歩になることを忘れずに、この問題をべつの角度からみてください。
かる
2013/11/20 01:14
さて昨日のリーガルハイいいですね。国民がバカなことをどうどうと述べてました。素晴らしいドラマです。国家権力と国民世論のバカさ加減を世にとう素晴らしいドラマです。さて猪瀬首にして、とくすかいをおいやってだれがしあわせになるのでしょう。とちぢせんで次の馬鹿をえらぶために金かかるし、五輪へていたいするし、地方の中核病院がたぶん幾つかなくなるでしょう。
さて正義ってなんでしょうか。コミ門君の一言。
かる
2013/12/20 00:59
しかしマスコミを通じたぶ情報統制の気持ち悪さは、北の方の連行シーンと猪瀬さんのカバンつめシーン
やらせてるのが、また公明だの自民の胡散臭い議員というところは、あんな北とかわらんな、それん垂れ流して馬鹿な国民煽るところと、辞職と処刑の後にアホな国民という愚民のレベルは多分同じだよ。誠に残念ながらってマスコミ関係者は笑ってかなー
かる
2013/12/20 03:24
ほんとマスコミ集団リンチ体質とバカ国民の迎合体質が全てのガンですね。まともに自分の頭で考えることができん支配層の民度と宗教もしくは道徳観のなさ、めしくはそれをなくした愚民教育の行き着いた先だなー
かる
2013/12/20 03:33
またまたKゆうちょう様が、権限逸脱して、某国家並みの統制かけようとしてます。
なんかたいぼうくんまで.算出違反したら見たいな馬鹿なこと言ってます、早く解体しないと社会主義の経済当局みたいなるぞ。経済学しらない検察に運営任せるようなものですよ。ってまたいいますよ。
かる
2013/12/25 21:22
政策てきな魔女狩りを、またまたやってくれました。さてこれで一人勝ち状態でーす。半沢的、内部告発によるできレースの完成でーす。
この日本は極めて危険な魔女狩り国家でーす。さてこの企業このままいくと北の国家みたいになるので国家元首様が、最後にしかけた罠かもしれません。
コミッテー実にいい案ですが、これは実質的に破綻していないが、外部からの統制管理会社と同じになる可能性があることを、この馬鹿企業の経営者は未だにわからんだろーな。
危機感ねーのよ、しかし最後のチャンスかもな、このあたり考えたてたらSさんいい仕事したかもね。
東京中央銀行頭取
2013/12/27 22:55
反社会的勢力、守旧派とかまたまた小泉的プロバガン政策が、まかり通る都チヂミ戦でーす。アホでもわかるアンチテーゼに、敵対勢力を祭りあげバカ都民を騙す、いわゆる郵政つぶせば日本が良くなるだとこんなまやかしにバカ国民は騙されました。その後日本はよくなってません。ハイげんばつなくすことと、経済政策は関係ありません。
レッテル
2014/01/24 22:12
案の定バカな展開で、とちぢせん終わりで、つまんなかったけどせいけん放送で、秀逸はマック何がしかだな。結構面白い。さすが京大卒伊藤忠の知性かんじたりして。
かる
2014/02/12 23:06

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