厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

アクセスカウンタ

zoom RSS 「会計監査のあり方に関する懇談会」議事要旨に思う

<<   作成日時 : 2015/10/23 19:37   >>

ナイス ブログ気持玉 4 / トラックバック 0 / コメント 0


「会計監査のあり方に関する懇談会」第一回議事要旨
http://www.fsa.go.jp/singi/kaikeikansanoarikata/gijiyousi/20151006.html

ツイッター界隈で紹介されていたので、ちょっと覗いてみました。
ちなみにこの懇談会メンバーは金融庁HPで公表されています。
http://www.fsa.go.jp/news/27/singi/20151005-2/01.pdf

金融庁におけるアナウンスが今年の9月であることから、おそらく東芝の不正会計をきっかけに発足した懇談会であろうと思います。したがって冒頭から「会計監査の信頼性」という点で結構シビアな実態が出され意見が出ている。そういう意味ではなかなか面白いのですが、結局のところ最後まで読んでもいまのところ「名案はない」ということのようです。

特に、この議事要旨の中で何度も出てくる「内部統制」が東芝事件で全く機能していないという現実を突きつけられて、戸惑う関係者の姿が生々しく描かれています。そりゃそうですよ、アメリカのエンロン事件でアメリカがやっつけ仕事で作っちゃった制度をそのまま日本に入れちゃったんですから。役に立つわけはありません。おそらくどの会社の経営者も現場の人も少なくとも実務の方々は、仕事ばっかり増やしてくっその役にも立たないということについて同意してくれると思います(会社で仕事をしている方で、それは違うという方がいたら教えてください。ただし会計士や監査関係者は除きます)。

最近の悪い傾向として「型」を重んじるというのがあります。たしかに一般投資家や世間的には本当の中身は見ようと思っても見れるものではないので、「形」で判断するというのもわからないわけではありません。しかし、それはあくまで「仕方なく」そうするのであって「型」があるから大丈夫というのとは違います。内部統制は究極の「型」であり、たとえば空手の昇段試験で「型」は必須ですが、型ができることは最低限の問題であり、実際に組手で勝てるかどうかとは別の次元のことです。

「内部統制」が機能しないというご不満は、あたかも「こいつは型が美しいのになぜ組手で負けるのか?」あるいは「こいつは型はできるのになぜ反則ばかりするのか」と言っているようなものです。「型」は練習したら誰でも?できるようになると思いますし、内部統制も形式を整えるのは誰でもできます。問題は中身なのです。で、「内部統制」の「中身」を議論し始めたが最後、それはもはや「内部統制」の問題ではなくガバナンスそのものの問題であり、経営そのものです。内部統制という形式ははじめっから意味のないものになってしまう。もともと「内部統制」なんぞそういうものだったという自覚が会計監査関係者に決定的に不足していると思います。悪意を持っていえば、内部統制という仕事を増やすことによって、監査時間を稼いで収益につなげたのではありませんか?なにせ今ある仕事をいわゆる3点セットに落とし込んで最終的に経営者の確認書をとるだけの簡単なお仕事です。そんな形だけでもともと行儀の悪い企業がちゃんとやるとでも思ったんでしょうか?経営者は粉飾すればもともと刑事罰の対象です。ガバナンスが利いていないと不正につながり、見逃したら刑務所に行きかねない。そういう実質の中で仕事をしている経営者にとっては、内部統制の形は実にくだらなく見えると思います。逆説的ですが、東芝事件は今回こういうくだらないものをくだらないと明確に示すことが出来たという点で、非常に有意義だったのかもしれません。現実にこれだけの「有識者」が集まっていながら、この議論で「内部統制がなぜ機能しなかったか」について結論を出せずにいます。そりゃ無理ですよ。もともと意味がないんだから。

この議事要旨の最後にある「不正会計によって一番影響を受けるのは投資家」というのはその通り。ただ真っ当な投資家は、形式ではなく本当にその企業が中期長期の成長力を持っているかどうか様々な手段で調べて判断する。内部統制は会計不正を未然に防ぐための手段として用意されたと思いますが、本来はそれを見抜くのも投資家の仕事。もっと言えば見積もりの甘さによる収益の下方修正と不正会計の境界は突き詰めればかなりあいまいです(今回の東芝における工事進行基準などまさにその典型例)。企業分析のプロのアナリストの目のほうが、会計士よりよっぽどシビアだと思います。

もちろん会計監査の重要性についてケチをつけるつもりはないですし、多くの人々にとって会計数字の信頼性をアプリオリに担保してくれる制度は会計監査人しかない。ただ、それには一定の限界があると割り切ったうえで、企業にとっても無駄なことをさせないような制度作りが必要なのではないでしょうか?


テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 4
ナイス ナイス ナイス
なるほど(納得、参考になった、ヘー)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
「会計監査のあり方に関する懇談会」議事要旨に思う 厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる