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zoom RSS 生命保険業界は「不健全」?

<<   作成日時 : 2016/02/09 07:15   >>

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そもそもワタクシを含めて有象無象が入り混じるネットワールドでいちいち目くじらを立てるのはいかがなものかとは思いますが、やはりちょっと「根本的な理解」を欠いている記事には一言言っておかなければならないと思います。

保険アナリスト植村さんのブログが取り上げていた記事です。

https://zuuonline.com/archives/96236

そもそもこの記事を書かれた方は「シニアアナリスト」とありますが何をアナライズされているのでしょうか?まさか保険業界や金融株ではないことを祈ります。もしそうだったら即刻肩書きを外すべきです。文章にはそれほど致命的な無理解が含まれているのです。おおむね上記植村さんが突っ込んでおられるのですが、ワタクシもあらためて突っ込ませていただきます。

まず根本的なところは生命保険会社の「利益」と「収支」とをきちんと区別できていないところです。収支というのはまさに収入と支出であり、運用であれば資産運用収益(インカムゲイン、キャピタルゲイン、その他)と資産運用費用(インカムロス、キャピタルロス、手数料、運用にかかる事務コスト等)との差額です。ところが「利益」という点では生命保険会社の計理では3つの利源分析で利益を語るのが一般的で、これは「収益」とは全く異なる視点で見ます。これら3つの利源で語られるのは「基礎利益」と呼ばれ、生命保険会社の基礎的な稼ぐ力を表すものとして重要です。この3つのうち運用関係では「利差益」というのがあり、これはあくまでインカムゲインを原則とする収益から必要な予定利息支払いを引いたものが大部分を占めます。確かに経常利益上は売却益等も入りますが、基礎収支上は含まれないため、つい数年前まで逆ザヤが恒常化していたことはご存じのとおり。一方で保険関係損益ともいえる「危険差益」は相変わらず大幅な黒字であり、大手で基礎収支の8割ぐらいあるのではないでしょうか?売却益のようなふらふらした利益に依存せずにきちんと長期的に客にリターンと保障を提供するというのが生命保険会社の根本にある思想であり、保険関係収支を運用収支で埋めるあるいは埋められているという発想は根本的に間違っています。もちろん保有契約の減少などで危険差益が悪化したりすることはいま経営上のリスクとして考えるべきですが、どうも筆者の書き方はそういうレベルの話ではなさそうです。

だいたいにおいて再編がすすまないのは相互会社制度のせいだとかいう決めつけも根拠がありません。そもそも日本生命は相互会社ですが、最近やたら熱心にM&Aをやってますし三井生命を買収しようとしています。国内42社は多すぎるとか言いますが、その根拠も示されていません。そもそも何を持って再編のメリットなのか、という点が示されていません。最後に「相互会社再編の道さえ開ければ、大手生損保主導による国内生保業界の健全化が見えてくるのだろうが……。」などと思わせぶりな書き方をしてますが、全体から見たら「相互会社」は、植村さんも突っ込んでおられるように、すべて「大手」と言えます。再編の必要性として保険収支の悪化という点が挙げられていますが、それがもともと筆者の保険収支に対する無知ないし無理解に基づくものであるのは植村さんのブログでも指摘されている通り。相互会社の損益計算書をちらっとでも見て健全な疑問(たとえば責任準備金繰入額とはなにか、とか)を持つだけの配慮というか慎重さがあればなぁと悔やまれます。そもそも今の状態が「不健全」ってどういうことですかね?

上杉光という名前で検索してみましたが、それらしい人はヒットしませんでした。残念ながら経営戦略等についても経営層と話ができるようなレベルの方ではないことはあきらかで、もし少しでもそのような機会があれば、あるいは多少なりとも相互会社を含む各社の経営層の言っていることを咀嚼できていれば、このような意味不明の記事は出来上がらなかったと思います。

最後に、植村さんとはもしかしたら意見が異なるかもしれませんが、ワタクシは相互会社制度はそれほど悪くないと思います。確かに経営の機動性や透明性という点でやや劣るようにも思えますが、そもそも生命保険がみんなで金を出し合って誰かの不幸をカバーするという制度であるのですから、その金の出所は契約者に限るとか外部株主からも取り入れるとか、そういうのは経営の判断ではないかと思います。むしろこの間某大手相互会社生保のトップが「これから成長を目指す」とか記事に書いてあって、そういうことを言うならカブシキガイシャにしなければね、とは思いましたが、お客さんの立場を見据えて相互会社という思想を徹底する経営はありだと思っています。

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