厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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zoom RSS 10年国債金利マイナス入り!

<<   作成日時 : 2016/02/09 17:17   >>

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ついに来ました。因果関係ははっきりしませんが、株も暴落、為替は重要なサポートと思われた116円台前半をぬけ本日115円も割れました。株を売ったり外貨ポジションを落としたりしたお金がとりあえず円金利資産に流れ続けている感じです。

今回の「追加緩和」の功罪についてはいろいろなところで書かれていますが、最大の問題は量的緩和をやりながら金利をマイナスにしたということだと思います。ワタクシなりに非常にわかりやすく理解すれば、量的緩和というのはそもそも「ゼロ金利制約」を前提にして「異次元緩和」でとにかくナンボでも出します、どんなものでも買いますっていう感じでやってきたのに、それを継続しながらいきなり金利をマイナスにしたことで関係者としては「はしごを外された」感が強いということです。
人間というものは合理的な予測に基づいて行動するので、しかもマネタリーベースの拡大を目指して量的緩和をやっているのだからゼロ金利にすることすら矛盾しかねないうえ、総裁が直前まで「全く考えていない」と言っていたのだから、マイナス金利はない、と考えるのが常識だと思います。日銀の決定会合での佐藤審議委員の反対意見にあるように、どうしてもやりたければ量的緩和策の継続をやめてからマイナス金利を打つというのが筋だと思います。

それにもかかわらず5対4の多数決で無理やり押し切ったというのは、やはり「サプライズ狙い」といわれても仕方ないでしょう。で、その体たらくがこれです。もちろんマーケットですから日銀の決定のせいだけではないですが、円高、株安が進むと同時に結構多くの資金保持者が右往左往しています。マイナス金利政策というのは様々なところに影響を与えます。短期市場ももちろんそうだし、そもそも金融業界の各社のシステム対応がどうか、という話もある。使っているシステムが古ければ、マイナス金利のインプットが受けられないシステムもあるはず。そういったところには手作業での対応が求められることになります。

そういう技術的な話はともかくとして、量的緩和をうちやって大胆な金利引き下げに動いたことで一つの疑問がうまれます。量的緩和は効くのか効かないのか?という答えです。これまでデフレ脱却を目指して量的質的緩和を大胆に推し進めてきたにもかかわらず、それには一定の限界があるということを示してしまった可能性があります。逆に言えばアベノミクスで最初に歌い上げられた三本の矢の1本目すら、あたったかに見えても実は本当の的であるデフレ脱却には当たらなかった、デフレは金融政策だけでは脱却できないということを「追認」してしまった感があります。(いみじくも9日の日経の経済教室に櫻川慶応大教授が書かれている「マイナス金利政策の功罪〜むしろデフレ回帰の恐れ〜」というのが非常に説得力があります。)

そう思ってアベノミクスの三本の矢っていまどうなっているのかと官邸のHPを覗くと・・・
http://www.kantei.go.jp/jp/headline/seichosenryaku/sanbonnoya.html

「過去の特集ページ」だそうです。
結局はデフレ脱却もできないうちに違うパンフレットに置き換えられてしまっている。
三本の矢とは「打って当たらなかった矢」と「折れた矢」と「初めからなかった矢」のことだったのでしょう。

正直株高によって日本人の気持ちが盛り上がったことは功績として認めたいと思いますが、やはりそれは「時間稼ぎ」です。そもそもデフレ脱却というのが構造改革抜きにはできないはずなので、そちらをきちんとやるための麻薬だったはずです。それをきちんとしないまま増税で苦しくなるからという理由で妙な軽減税率やばらまきをやり続けた結果、もう政策的に収拾の取れないところに来てしまった気がします。

とどめが今日の日経新聞の記事。「銀行の中期計画点検」と見出しがついた記事は特に地銀について「・・・低金利での貸し出し競争が一段と激化する可能性がある。地銀が手元に余ったお金を高リスクの外債や不動産投資信託(REIT)、複雑な仕組み債などに回さないかを監視する。」ほほう。政府の意向を汲んで日銀がポートフォリオリバランスを狙ったマイナス金利を実施して銀行が買えそうな年限の金利をマイナス化する一方で、貸し出し競争の激化は勝手にやってそれ以外のところではリスクをとるな、ということは、死ねということのようですね。金融庁が政府のやり方に後ろから矢を放っているような気がするのですが。

さらに「日銀のマイナス金利政策導入以降、金融市場では株価や為替が乱高下している。金融庁はその背景を高頻度取引(HFT)や人工知能を活用したアルゴリズム取引があるとみており、要因分析を併せて進める。」いや直接のきっかけがHFTやアルゴだったとしても、本当の原因がサプライズオタクの黒田日銀や政府のコミュニケーションミスであることはあまり疑う人はいないと思います。もちろんこの点に関しては米国などでも株価変動などが起こっているので、日本だけのせいとも言い切れないことは認めますが、すくなくとも心の準備ができていない参加者に対しいきなりテロを敢行した日銀がかなりの役割を果たしているとは思いますから、金融庁のコメントはやや責任転嫁っぽく聞こえてしまいますね。


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長期金利、史上初のマイナスに
9日の債券市場で、新初10年国債利回りが一時マイナス0.035%をつけ、長期金利が史上初のマイナス圏に突入しました。世界経済の減速懸念や原油安から、安全資産とされる国債に資金が集まり、利回りが急低下しました。東京外国為替市場の円相場も一時1ドル=114円台まで円高ドル安が進み、東京株式市場の日経平均株価も下げ幅が900円を超えるなど、波乱含みの展開となりました。 ***♪マイナスの金利♪ ...続きを見る
歌は世につれ世は歌につれ・・・みたいな。
2016/02/09 21:09

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