厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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zoom RSS パナマ文書(タックスヘイヴンの持つ意味)

<<   作成日時 : 2016/04/07 11:57   >>

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どなたかとっても仕事の速いかたがいらっしゃるようで・・・
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%8A%E3%83%9E%E6%96%87%E6%9B%B8
この文書の破壊力は、権力者を含む多くの著名人の名前が登場することであり、それらの方々の「蓄財」(まあそれ以外にパナマ籍でお金を持つ目的は考えられない)の実態が明るみに出てしまったということです。ただ、パナマにお金を持つこと自体は、いろいろ議論があるものの、直ちに悪いと決めつけることはできません。いわゆる「節税」としてそれほど違和感のないケースもあり、また「租税回避」であっても直ちに違法というわけではない(とりわけ日本の税法は租税回避に関する定義があいまいというかそれが直ちに違法という位置づけではない)ので、税務と受益者が日本の裁判所で真剣に争ったら税務が負けるケースが多いはずです。(まあそのために弁護士とかにお金を払っているはずです)。
これの持つ意味を理解するには、まずオフショア市場やいわゆるタックスヘイブンの持つ意味を理解する必要があります。

まずオフショアとはもともと「沖合」とかそういう意味であり、イメージとして海のかなたの島のような感じで要するに通常に理解される法の支配から離れているという感じでつかわれています。タックスヘイブンとは「租税回避地」(英語ではヘイヴンはhaven(避難所)でありheaven(天国)とは異なるとウィキペディアにありました)のことで、法人税や所得税などが軽い法域のことであり、それを売りにして法人や個人の本拠(法律上の)を引き寄せてお金儲けを目指している国や地域です。

タックスヘイブンとして有名なのはケイマン(英領)、ジャージー諸島(英領)やアンティール諸島(蘭領)などがありますが、一応独立国家でも多くあります。昔ならばルクセンブルグとかよく使われていましたし、今回話題になったパナマやカリブ海のバハマ、あるいはアイルランドなども切り方によってはそれに含まれることがあります。

アイルランドやルクセンブルグはともかく、他の地域はあまり大した産業もなくタックスヘイブンを売り物にして人とお金を集めようとするわけで、実はそれなりに気候も良く、遊びに行くにはいい地域ではあります。そういえば大昔には日本の最大手生命保険会社さんもパナマとか出張所ありましたよね。そういう土地には専門の会社法弁護士(あっというまに会社などを作ってくれる)や専門の会計士(あっという間に監査してくれる)がおり、比較的安いフィーで会社の法務や経理を任せることが出来ます。お金やら運用資産は形式上オフショア銀行が管理しますが、実際はオンショアの銀行がカストディ業務をやってくれる(たとえば米国ドル建て資金や資産は米国内でしか決済できないからサブカストディという形で各国通貨の本国に実際におかれている)ので、まあタックスヘイブンという性格上そこで物理的な流通も人事も必要なく所詮は書類のやり取りだけで済んでしまうわけで、ほとんど仕事らしい仕事がないわけです。それでちゃんと資産残高に応じて毎年銀行、会計士、弁護士にはちゃんとフィーが落ちる。

「タックスヘイブン」=「脱税」ではないということはあらためて強調しておきたいと思います。たとえば、資産運用でしばしばこうしたオフショアファンドが使われるのは、毎年毎年運用成果に税金を掛けられて効率性が落ちることを避け、受益者の最大の利益を引き出すためです。もちろん最終的には受益者が収益として受け取る際にそれぞれの受益者の管轄地で課税されるわけです。問題となっているのは、毎期の分配の判断が恣意的になされる結果、課税が繰延されるということで、要するに当年度たくさん利益を上げてもそれがファンドの中に納まっている限り(分配しない限り)タックスヘイブンのファンドや法人にはあまり税金がかからないということで、その配分が受益者(実質的に1名のこともありうる)が実質的に決められるのであれば、意図的に課税を繰り延べることが出来る。
とはいえ、本来長期の資産形成のためには、分配しないことの方が望ましい場合も多いので、必ずしも実態的にそれが悪いとまでは言い切れないと思います。

ちょっと次元の違う話ですが、最近ある投信会社の方とお話ししたとき、NISA向け投信の分配金の話になりました。その方いわく「NISAをやられる方の多くは金融知識が乏しいので、下手に分配してしまうとその資金がまた非効率な再投資に回りやすく、本当にお客様のためにはならないのではないか」とおっしゃってました。税務の立場からは単年度で上げた収益はちゃんと課税対象にして税の繰り延べを極力させないようにしたいのでしょうが、その立場と投資家の利益擁護とは実は相反するということです。つまり税の立場で正しいことが、実態としては正しいこととは限らないという実例があるということです。

タックスヘイブンの問題も同様であり、それを使うことで余計な税金の問題に頭を悩ませることなく長期的な投資に取り組めることは、投資家や投資先企業の両方にとっても望ましいことである場合が多いと思いますから、税法を含む「法律上」許されることであればある程度はやむを得ないと思います。つまり、ワタクシの考えでは、今回のパナマ文書の乗っている企業や当事者「すべて」が悪いと決めつけるのは早計だと思うということです。ただもともと国内で稼いで本来国内で課税されていなければならない資産を秘匿する目的でかなり意図的に租税回避地を使うといった事例は問題とされることになるはずです。

ちょっとまえに武富士に関して巨額の税金が還付された事例がありましたが、まさに実態としては財産隠しでも法律上問題なければ租税法律主義の下では課税されないし、それを強引にとっても裁判で負けます。ただ、実際はめんどくさいから国税の実査が入った時「お土産」と称して多少相手の言い分に従うことはありますが、それで図に乗って同じようなビジネスをしている同業者に一斉にかかってくるのが国税の恐ろしいところなので、やはり税金については是是非非でお願いしたいものです。

もう一つ言いたいのは、そもそも今回のリークの経緯がおそらく政治的な動機ではないか、と思われるわけで、このリークに基づく調査結果が非常に政治的に使われやすいということ。実際すでに名前の出たアイスランドの首相は辞任してしまいました。かつて小国だけど破壊力のある金融危機事象で名を馳せたアイスランドですが、いきなり首相が吹っ飛ぶというパナマ文書の爆発力にちょっと感動しています。欧州やそれ以外の新興国も含め、いろいろこれから出てきそうなので、特に欧州、ロシア、中国は注意が必要でしょうね。これが具体的なスキャンダルに結びつく可能性もあるとは思います。

どうでもいい話ですが、タックスヘイブンのうちバハマは米国に近いこともあり、米国人が非常に好んで使います。一度行ったことがありますがいいところです。どれだけ米国に近いかというと、バハマから米国本土に変える飛行機に乗るとき、米国の入国審査はバハマの空港でやってました。それぐらい近いです。もう10年以上前の話ですが。

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いつも楽しく勉強させていただいております。

>パナマにお金を持つこと自体、悪いことと決めつけるのは…

タックスヘイブンにある分の海外資産が5千万超えてる分は課税対象など1970年代には法化され、海外に資産送金、現金持ち出しが見つかれば全部課税分として、みなされます。
租税回避地に日本に届けのない資産を隠している時点で「違法」になります。

海外に業務実態のないペーパーカンパニーを置き、匿名口座を使用し、日本国内へ既定の税率の税金を納めない行為は、日本国憲法「納税の義務」違反です。

目的が脱税でなくとも、結果を客観的に見たら、日本国へ既定税金を納めていないのなら、脱税です。
方法が法の目をくぐっていても、
結果が、既定の税金を日本国へ納めていないのなら、脱税です。
殺すつもりはなくとも、死なないような方法であっても、相手が死んだら、罪を背負うのと同じです。

資本主義の発展は、中間層の可処分所得を増やしてきた歴史です。
適切な税の再分配がなされて初めて成り立ちます。
自由競争は、脱法などコンプライアンス欠如の不正があれば成り立ちません。
「長きにわたってよいアガリを得るため」これらは必要です。
金融業者が、「合法だから問題ない」なんて左うちわしてるセンスって、理解できないわー^^
great expectations
2016/05/19 23:30

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