厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

アクセスカウンタ

zoom RSS 「企業年金の運用「脱国債」」(日経一面の記事より)

<<   作成日時 : 2017/01/14 21:13   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 8 / トラックバック 0 / コメント 0

1月14日付の日経一面でこのようなタイトルの記事が出ていました。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS13H30_T10C17A1MM8000/

まあヘッドラインそのものはその通りでしょう、という感じです。
これまで、企業年金では国債を中心とした国内債券に多くの配分をすることが多く、それに対して公的年金などを中心に今の政権がアベノミクスというお墨付きを与えて債券から株などへのシフトを慫慂したことはご存じのとおりで、同時に金融政策でもマイナス金利を敢行するなど、国を挙げて「JGBを買うな」政策をやっているようなものですから(但し日銀は買う)、アセットアロケーションが脱国債になるのはまあ当たり前でしょう。

この記事が気に入らないのは、一言で言ってしまうと日生のステマみたいになっているという点です。企業年金の運用が脱国債になることと日生の新たな団体年金保険商品とは直接のリンクはありません。大きな基金であれば当然独自のアロケーションを運用機関に依頼することができるので、「脱国債」は日生の新商品を買わなくても簡単にできます。
この記事というかコマーシャルが紹介する日生の団体年金保険商品における独自性は、最低保証の予定利率をそれまでの商品より少し下げて(0.25%)3か月ごと変動とし(と言ってもマイナスにはできないでしょうが)、運用を社債や融資などを中心にして価格変動リスクを抑えようというものであろうと思われます。
まあ商品としてはリスクを抑えてリターンも抑えるというだけの話で、そんなにひねったものでもないので(もともと一般勘定の団体年金保険商品は「予定利率」という最低保証があるので)、記事にもあるように各社が追随する可能性もあるでしょう。
団体年金の予定利率は毎年変えることができ、それは各社の競争政策に基づき各社が決めるので、結局この記事が言っているのは来年の予定利率を下げて流動性を犠牲にしつつスプレッドの高い確定利付き商品へのアロケーションを増やして慎重に運用するということ以外にはないのではないかと思うので、なにも「脱国債」だの、マイナス金利に適応だの、わけのわからないヘッドラインを打つ必要はないのでは?と思います。そもそも各社が追随するならなぜ日生だけが社名入りでこのような紹介をしてもらえるのか?がよくわかりません。(まあ宣伝になっているかどうかは、ある程度背景を知っている人から見れば疑問ですが)。

ワタクシがこの記事を気に入らないのは、これを書いた記者さんがあまり中身やら背景を理解せずに日生の広報の言うままに無理矢理書いているのではないかと思われても仕方ないのではないか、と考えられる点がみられるからです。

先ほど書いたように、まず、この新商品?の新規性というのがよくわかりません。予定利率を下げて見直しの頻度を増やし、区分経理を利用して運用のポートフォリオをスプレッドつき確定利付き商品ウェイトを高めるというだけなら、むしろ、「予定利率さげて安定運用へ」みたいなヘッドラインにすべきではないでしょうか?従来型?の団体年金を同様に取り扱わないのであれば、これがまさに日生さんの団体年金商品なので、単にほかの会社とリスクリターンのプロファイルを変えただけ、というにすぎないからです。記事にも書いてある通り、一旦引き受けを止めた商品数字を変えて引き受けを再開するというだけなんですよね。

次に、記事に「クレジット投資部で債券投資の収益率を見極める人材を育てている」「2014年の創部から昨年9月末までに運用残高を約5兆5千億円に増やしたノウハウを生かす」とありますが、これが一般勘定の話だとするとクレジット投資部がお金を集めたのではなく、単に会社としてそちらに運用資産を振り向けただけの話なので、クレジット投資部が独自にその能力を評価されて集まってきたような表現は明らかに間違った表現というか非常に誤解を招く表現です。

さらに「生保業界が国内で社債投資を本格化すれば、米国と比べて厚みに欠ける債券市場の発展につながる」というのは明らかに今の市場のことを知らない人が書いたとしか思えない。いま国内の機関投資家が苦しんでいるのは社債投資したくても「ものがない」し、この記事にあるような日生さんのクレジット投資部みたいなでっかいマンモスが大量に食べまくっていてクレジット対比でのスプレッドで魅力が薄れているものも多く、そもそも資金調達需要がないこの国の状況を何とかしないと、社債市場の発展など望むべくもありません。そのようなことを少しでも理解していればこのような記事は書けないのではないでしょうか?

日生さんは一般勘定(団体年金)の引き受けを止めて特別勘定の安定運用型への誘導をやったのですが、間の悪いことに安定運用型の成績は相場が上がっても下がってもいまいちぱっとしない。そういう背景が今回の記事の背景にあったのかどうか知りませんが、日経がよく理解もしないでそういう企業だけ特別扱いしてしまう。本当に客観的な記事にするなら、そのような団体年金の引き受けを再開した背景をもう少し掘り下げ、そもそも引き受けを中断した経緯やそれ以外の運用成績などにも触れた掘り下げは必要かな、と思います。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 8
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス
ガッツ(がんばれ!)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
「企業年金の運用「脱国債」」(日経一面の記事より) 厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる