厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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zoom RSS トランプ政策の意味するもの

<<   作成日時 : 2017/01/31 19:12   >>

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トランプ氏がイスラム教圏7か国からの入国を拒否するという暴挙に出ていて、米国は言うまでもなく世界中に波紋を呼び起こしています。

この事件、なかなか興味深い点があるので、自分なりに整理しておきたいと思います。

1. トランプ氏の選挙公約は「イスラム教徒」の入国禁止だった。
ですから、7か国からの入国禁止というのはそもそも公約通りじゃない。まあこれに関しては「イスラム教徒」というのはハナから不可能だとワタクシも思っていたから、ちょっと油断していました。逆に言えば「イスラム教徒」で分類するのが事実上不可能なので、どうしても早く実施するために「懸念地域7か国」つまり「国」という切り口をこじつけて実施した。まあ猿知恵としか言いようがありませんが、「スピーディーに公約を実行するかっこいいやり手大統領」という印象にこだわるためか、非常に荒っぽいやり方になったと思います。(余談ですが、選挙前後から、トランプ氏の政策と実現可能性とそれらが実現した場合や撤回された場合の市場への影響度合いをある程度定量化してみたなかで、「イスラム教徒の入国禁止」は「X」つまりワタクシの中ではほぼ不可能という評価だったのです。自分の中では「テールリスク」っぽいです。したがって影響度は大です。)
2. アメリカが威信をかけて殺しに行ったテロリストの親玉ウサマ・ビン・ラディンの出身国であるサウジアラビアが対象に入っていない。
最大に奇妙なのがここ。結局国家安全保障の視点というより、商売の視点でやっているから、こういう奇妙なことが起こる。出身者という基準でいうとアメリカにとってサウジのほうがよほど危険なのに。
3. ルールをさらに「邪悪」にしたやつがいる。
非常に速い決定で、現場に混乱を招いたようです。で、常識的にもルール的にも、すでにアメリカの永住権(グリーンカード)やビザを取得している人には適用されないと思うのがふつうですが、それすらダメだという風に大統領令をいじったやつがいるようです。誰とは言わないけれど。当然州レベルの司法を含め、それには一部執行停止を含む対応がなされていることからもわかるとおり正直「違憲」のレベルなのですが、そういうことを大統領執務室で臆面もなくできる大統領とさらにそれを邪悪に加工できる取り巻きがいるということです。
4. 部下である司法長官代行(acting attorney general)が正面切って反抗しそれを公にし、そして、その結果ただちに彼女は解任されたこと。
この点は実は興味深い。一応司法長官は政治的任命ですから形の上でも実質上も大統領の部下です。彼女は現司法長官候補が議会で承認されるまでの「つなぎ」なわけですが、それでも「部下」であることには違いない。その部下が正面切ってトップまあ会社で言えば社長の指示を守らないように自分の部門に指示したということでなおかつ、それを公にしているという点で、かなり前代未聞なわけです。
ガバナンスという視点では、トップである大統領が命令したことを正面切ってやらないと言っているわけですから、「くび」は当然です。そうしないと大統領が命令できるというルールそのものが意味がなくなってしまいますから。ただ、司法長官代行という法律の専門家であり政権司法部門のトップが「違憲の疑い」をあげて大統領の命令に正面から異議申し立てをした(当然くび覚悟で)という点はやはり今回の命令がいかに筋の悪いものであるかを改めて認識させられることになりました。
実は司法長官の解任というと、どうしてもニクソン大統領の弾劾に関して選ばれた特別検察官をニクソン大統領が首にするように配下の司法長官に命令したところ拒否され、すぐに首にして次の司法長官を任命して同じ命令をしたが、やはり拒否されてこれも首にしたという事例が思い出されます。もちろん、当時はすでにニクソンさんは相当追いつめられていたという点で、今回とは全く違う状況ではありますが、自分の意にそわないというだけで閣僚を首にしていくと、最後は自分に跳ね返ってくることは明白です。

今回の事件は意外にトランプ政権の足元をすくいかねないと思います。トランプ政権がいろいろな問題について深い理解をすることなく「大統領令」を頻発する政権であり、なおかつその内容がさらに筋の悪い取り巻きたちで悪い方向に捻じ曲げられるという実例を示したからです。本来の公約と違うことを(1)、適当な判断基準で(2)、憲法などを無視して捻じ曲げて(3)、まともな意見を聞くことなく(4)やった。憲法違反の命令をだして人権侵害を行わせた大統領が、いつまでその地位にいられるのか、ということをワタクシたちは早くも考えておかなければならないのかもしれません。(今回の件だけではさすがにそこまではいかないとは思うけれど)

個人的に、これまで米国では住んでいるときも人間関係でもいろいろ大変お世話になったという意味で、アメリカへの感謝の念は消えていません。やはりその背後にあったのはアメリカの持つ「理念」に支えられた人々の行動だろうと思います。もちろんそんなものが一晩で消え去るとは思いませんが、こういう大統領を選んでしまう人々が多いというのも現実であり、やはり今の時代背景をベースにもっと認識を深めなければならない、と痛感した次第です。いずれにせよ、トランプさんが大統領にいる期間が長ければ長いほど、米国はワタクシも含めた他国の人々からの尊敬を失っていくだろうし、その尊敬によって上乗せされていたプレミアムの部分を失っていくのだろうと思います。このプレミアムの部分は、基軸通貨性などを含めてかなり大きいはずです。そうしたものがゆるゆると毀損していくことが、マーケットに反映してくるような気がします。残念ながらトランプ大統領をいまだに支持する人がいるとしたら、そういう部分への理解が根本的に欠けているのだろうと思います。まあそれでもいい、という判断なのかもしれませんが、ちょっと悲しいです。最後は個人的感想ですみません。

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