厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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zoom RSS 議決権行使結果の開示(日経記事から)

<<   作成日時 : 2017/07/05 08:55   >>

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本日の日経にでていました。見出しや本文は「議決権の開示」となっていますが、正しくは「議決権行使結果の開示」です。議決権を開示しても意味はありません・・・

金融庁が主導しているスチュワードシップ・コードの中に次のような部分があることで、年金基金などを含む機関投資家や運用会社に一定の強い勧告が行われており、コードの受諾を(まあ業界関係者に言わせれば)半ば強制したうえで、それぞれの原則に従わない場合はその理由をきちんと説明開示せよ、というお達しとなっています。(コンプライ・オア・エクスプレイン)
http://www.fsa.go.jp/news/29/singi/20170529/01.pdf

5. 機関投資家は、議決権の行使と行使結果の公表について明確な方針を持つとともに、議決権行使の方針については、単に形式的な判断基準にとどまるのではなく、投資先企業の持続的成長に資するものとなるよう工夫すべきである。

6. 機関投資家は、議決権の行使も含め、スチュワードシップ責任をどのように果たしているのかについて、原則として、顧客・受益者に対して定期的に報告を行うべきである。

この結果として、議論の結果議決権行使結果の個別開示(すべての会社の株主総会における議案についてどのように投票したかを議案ごとに開示すること)が非常に強く推奨されるわけで、公的年金は率先してこれを委託先の運用会社に対し「要請」(ってよほどの理由がないと拒めませんやんか)しているのが実情です。これは記事にある通り。

ただ、同じ機関投資家でも記事にあるような大手生保などはいろいろ難しい問題はあります。まず、大手生保特に漢字生保の多くは、様々な上場企業との間で保険取引の関係を持っています。またさまざまな会社から社外役員を受け入れたりしており、それは株式会社形式の保険会社も相互会社形式の保険会社も同じです。株式を上場している保険会社であれば自らの株主総会で取締役選任などについてきちんと説明しないと面倒なことになりますから、割とその辺の透明性は高まっていると思いますが、相互会社形式の保険会社ではまだもやっとしているところもあると思います。つまり取引先の偉い方が自社の社外役員になってもらっている場合もありますし、逆に自社の偉い人が取引先の社外役員に「なんとなく」(あるいは歴史的に)なっているケースもある。そんな中で、議決権行使だけ透明化してしまうと結構な差しさわりがあるのではないか(利益相反を疑われる、逆に反対票が投じにくくなるなど)と思われます。もちろん相互会社だけに限ったことではないだろうとは思いますので、保険会社などは個別開示に慎重になるケースが多いのではないかというのは納得できます。

新聞記事では日生の例を挙げて「個別開示で日生が投資先A社の会社提案の議案に反対したとわかれば「日生は近くA社株を売るのではないか」との憶測を招きかねない。他の投資家が先に売り抜けようとして株価が下がって損失を被ったり、企業価値を落としたりする事態を懸念している。」というのが理由であるような説明ですが、正直それはちょっと本質ではないのではないか、と思います。 保険会社(特に生保)にとって取引関係にある先の株を売るというのはそれなりの覚悟が必要で、取引シェアを落とされたり幹事から外されたりというお返しを覚悟しなければならない。もちろん必要とあればそれ覚悟でやるわけですが、ワタクシのイメージではわざわざ議決権行使で反対して記事にあるような憶測を生んで株価を下げるような下手な真似をしないで、我慢して安定株主として行動する道を選ぶと思います。もっといえば本来議決権行使を通じてスチュワードシップを行っていくのはその株を保有し続けて企業や経済を育てていくためなので、反対することと売る事は必ずしも一致しないどころかむしろ逆かもしれない。逆にあまり取引関係にない先や取引関係と株保有がリンクしていない先であれば、議決権行使などという面倒なことをやって株価に憶測を生ませ(そして株価が下がる可能性を生む)るぐらいなら、その前にさっさと株主総会など待たず売ればいいわけです。

その意味で、この記事の説明はやや疑問というか、本質をそれたあるいは本質から目をそらさせるための理由づけかな、とはおもいました。もしこの記事にある会社がこのような説明をしているのであれば、スチュワードシップの意味をはき違えていると言われても仕方ないでしょう。ワタクシとして常々言っているように、純粋に運用の視点から見ればアクティブ運用においては議決権行使でどうたらこうたらではなくとにかく気に入らない会社の株は売る、でいいわけです。もし政策的な保有理由があれば、利益相反との関係に留意しつつ堂々と経営陣を擁護したらどうかと思うのです。(おそらくそういう取引先の場合、場外ではまさにトップ同士に近い対話が行われているはずだから、議決権行使よりもより実効的な対話ではないかとおもいますよ)。

同じ記事にある外資系投資顧問が個別開示に慎重な理由は、史上への影響ではなく、「対話」にむしろ阻害となるというスチュワードシップの趣旨からは真っ当な理由であろうと思います。但し、最初に書いたように、公的年金を受託している多くの運用会社はその力関係において、個別開示に踏み切らざるを得ないと思っています。今後の展開に注目したいと思います。

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