厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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zoom RSS 「残業代ゼロ法案」

<<   作成日時 : 2017/07/13 06:11   >>

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まあよくもこのような本質を捻じ曲げたニックネームをつけたものです。いわゆるホワイトカラー・エグゼンプションの話。一定の給与水準以上貰っている人で時間で成果を図ることがふさわしくない立場や仕事内容の人については「時間外勤務」による割増賃金の支払いをなくす制度を法制化しようとするものです。
もちろんどのぐらいの年収からにするか、どういう職種が該当するか、というのは大いに議論すべきところだと思いますが、基本的な考え方は非常に当たり前だと思うのです。なぜそれをごちゃごちゃ反対する人たちがいるのか、理解に苦しみます。

多分、反対している人とワタクシのように積極的に支持する人とでは、「労働」とか「仕事」、もっといえば「生きる事」に対する価値観が根本的に違うのだろうと思います。反対している人たちが表題のようなレッテル張りをやっていることからもわかるように、そこでの基本的な思想は「労働時間に対応する賃金」のみです。つまり働くことの意義は、会社なり組織なりに強制されて時間的な拘束を受ける対価としてお金を受け取る、いわば「苦役」としての労働でしかないわけです。しかし労働には本来二面性があり、それ以外の自己実現というか生きる事そのものの所作を通じて生活の糧をいただく面もあると思います。どのような報酬を得ていても「時間外」労働を概念し、そこに別途割増賃金が支払われなければならないという考え方は、労働の苦役としての面にしか注目せず、本来人々が(実現できるかどうか別にして)目指すべき人の生き様としての労働みたいな面を完全に捨象してしまうことになるだろうと思います。多くの人はきっと「他人の仕事はその出来栄えで判断しますか、それともかけた時間の長さで判断しますか」と聞かれたら前者だと答えるだろうと思うのですが(特に自分がその仕事の成果の受け手となる場合をイメージすればわかりやすい)、同時に「残業代ゼロ法案はけしからん」と同じ口で息巻く人がいるのでしょうか?

主観的にも、自分の好きな仕事をしている限り、時間は苦にならないというのが実感です。そもそもここで対象となるような仕事をしている人にとって、その仕事の完成度や充実度を高めるために行う自己研鑽(本を読む、人と会って話す、勉強会に出るなど)だって必要になりますから、そういった時間は「残業代ゼロ法案」反対論者の立場からはやはり残業代の対象とすべきことになりそうですが、仕事に生きがいや喜びを見いだせていれば、そんなところに対して残業代をよこせとか、とても恥ずかしくて言えない(まあ実際にそういうことを言ったやつはいましたが、そういうやつに限って仕事のレベルは相当低い)。

もちろん、苦役としての仕事の面もあるので、そういうところが健康被害や家庭の崩壊などにつながらないような最低限の設計は必要なことは認めますが、それは企業や組織として会社での勤務時間をしっかり管理してそれ以上体を壊してまで居残りしないようすればいいだけで、一定以上の報酬をもらう人がその勤務時間に拘束されないことの合理性と矛盾するものではないと思います。現に今回の修正案では104日(つまり毎週2日)以上の休日を確保させることが前提となるようですから、この制度ゆえに過労死ということはなさそうです。それに、深夜、休日については今でも仮に管理監督者などであっても割増賃金を支払うことになっていて、それについては残すことで最低限の歯止めは効くと思います。

会社勤めしていても、一定の年収をもらえるようになるということは、会社の中で非常に専門性の高い仕事をしているか、管理監督の業務の比重が高まっているかでありますので、そういう人を工場の単純組立工や炭鉱労働者と同じレベルで扱うことには非常に無理があろうかと思います。もちろん、やたら景気のいい会社で、工場の単純組立工に時間単位で非常に高い給与を払っていて、その結果ホワイトカラー・エグゼンプションの一定レベルを超えるような場合については、もともとその労働を時間単位で買っているのだから、所得レベルにかかわらず、残業代は払うべきだと思いますよ。

要するにこの議論は、それぞれの仕事の内容に従って決めることでありますが、一般論としては認めたうえで、あまり好ましくない使い方をしている場合には労基署がチェックできるような体制を作るということあたりが落としどころなのかな、と思います。要するに、時間で成果を計測することが難しい職種や立場の人に対し、時間外勤務という概念をなくして全体としての報酬で考える制度ですので、少なくとも「残業代ゼロ法案」といった情緒的かつミスリーディングな悪意に満ちた呼び方はさっさとやめてもらいたいと思います。

いくつかのサイトをあたってみましたが、比較的フェアにこの制度の得失を書いているところはたとえば
https://roudou-pro.com/columns/28/
など。

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内 容 ニックネーム/日時
医師の年俸1700万円に超過勤務手当が含まれているか否かの最高裁判決が出ていました。残業代をうんぬんすること自体が、医師の業務になじみません。医師は、超過勤務命令の有無にかかわらず自己研鑽や業務に従事しています。論旨に賛成します。
ken1203
2017/07/13 08:26

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