厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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<<   作成日時 : 2018/02/06 17:08   >>

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ようやく来たかという感じです。ただ、金利中心に見ている人にとってはあまり違和感のない動きではないかと思います。最近周りの人々(除く債券畑の人)と話していても意外に「無警戒」というか「慢心」というかそういう感じがありありと出ていて、いろんなところで「緩い」雰囲気というか株価が上がる理由はいくらでもあるが下がる理由がないみたいなことを言う人が増えていて、やや心配はしていました。まあ起こるべくして起こっている下落であろうと思いました。年末あたりからは金利(差)と為替のデカップリングが生じ始めていました。これまで日米の金利差と円ドル相場は割と相関が強かったのですが、それが逆相関となり、ちょっと時代の転換が見え始めていました。

これまでの安定した市場の米国金利上限が2.6%台で、それを超えることについてはもともと警戒感がありました。その上さらに重要なことは、イールドカーブのフラット化が進んでいたことです。ご存じのとおり、イールドカーブの形状は一種の炭鉱のカナリアみたいなもので、大体において逆イールドカーブ(短期金利が長期金利を上回る)になったらそのあとにリセッションが訪れています。

現在アメリカのやっていることは「正常化」だか予防的引き締めだかなんだかわかりませんが、あまりゆるゆるの金融政策を続けていくとインフレなど将来に禍根を残すということで、引き締め局面に入っているということです。さらに最近は景気指標も好調なものが続いており、賃金というインフレに直結するような指標が大きく伸びていることから、さらに引き締め度が増すだろうと市場が見たことが直接のきっかけだと思います。そのうえに、よせばいいのに、さらに景気にブースターをうつようなトランプの政策もかさなって、ちょっと過熱感が出すぎてしまったようです。

いまさらですが、適正株価の計算にはおそらく金利の要素が入っているはずです。教科書的なモデルでは必ず将来の収益を金利で現在価値に割り引くというプロセスが含まれていると思います。つまり金利上昇は割引率の上昇すなわち、現在価値で見た企業価値の減少を意味しますから、他の要素が同一であれば間違いなくマイナス要因となります。

今回は、米国の金融政策の方向性が引き締め方向であるというところまではすでに織り込まれており、今年3回の利上げというのはコンセンサスに近かったけれど、そうはいってもインフレにまではならないだろう、賃金への波及はもっと弱いだろうと高をくくってきた部分があるのではないでしょうか?インフレが顕在化しなければ、長期金利はあまり上昇する理由もなく、利上げの進行と折込に伴い長短金利差が縮小し、いわば逆イールドに向けて進む形となります。しかしながら、最近の指標等はさらに経済の強さを示すものが多く、フライング的に長期金利のほうが上がり始めてしまった。つまりインフレが膨らむという予想が長期金利に織り込まれるようになった。このことはこれまで思っていた引き締めよりもさらに追加で引き締められるだろうと市場参加者が読むということで、想定すべき株価はさらに引き下げる必要がある。モメンタムの変化とあわせて現状水準を見たとき、やはり株をいったん処分しておこうと思っても不思議ではない状況となってしまいました。

今回は偶然かもしれないが、FRB議長の交代時期にもあたっています。この世界で長いことやっている人は覚えているかもしれませんが、1987年のブラックマンデーは、当時ボルカーからグリーンスパン氏に引き継がれた直後の暴落でした。FRB議長交代はある意味金融政策の方向性が変わるところでもあり得るので、特に今回は背景にあるインフレ状況からよりタカ派となりがちだと市場が思ったということもきっかけになったかもしれません。

興味深いのは、こうした相場変動がFRBの金利政策に影響を与えるのかどうか。その意味ではまず新しいパウエル議長が試されるのだろうと思います。ただ、昔と違って金融機関や投資銀行などが、この程度で経営がどうにかなるような話ではないし余裕はそもそもまだ大きいのだと思います。グリーンスパン議長就任直後のブラックマンデーでは、議長が「流動性の供給」を宣言し、市場を落ち着かせました。その後の金融安定性への官民挙げての世界的な取り組みにより、昔に比べてシステミックリスクは大幅に減っていると思われ、今回の相場下落が多くの資産クラスにわたって売りが売りを呼ぶということはないでしょう。つまり流動性の欠如という意味でのリスクは少ないと思います。但し、金利が強く影響を及ぼす資産クラス、不動産、ハイイールドなどについては、やはり金利が上昇するということは収益率の相対比較からリスクオフにダイレクトにつながると思います。

そもそもですが、いまFRBが金利を上げ始めているのは「正常化」というテーマでスタートして今や目標インフレのゴールがほぼ見えている中で、インフレのオーバーシュートを防ぐという考えの元、予防的な部分もあるかもしれません。正常化という看板を下ろさなければ、目先にとらわれずにきちんと上げるべき金利を上げる、という方向になりがちです。日本もアメリカも、なんだか妙な指導者のもと株価が上がってきていて、株さえ高ければ正義みたいな誤った価値判断が跋扈しがちですが、まあ株高は人々に一時的にせよ安心感を与え、行動を前向きにする効果があることは認めます。ただそれは過剰なリスクテイクにつながりやすく、それはビットコインや不動産といった一種の代替資産にすごいお金が流れていることと根っこは同じだと思います。そうした妙なお金の偏在をなくすためにも「正常化」が必要という考え方にも納得はできます。

しかしながら「正常化」というときの「正常」(Normal)が一体那辺にあるのか、というのはなかなか難しい問題です。一時期New Normalといった言葉がはやりました。たしかリーマンの後PIMCOのエライアン氏(当時)が話した内容だと思います。私はPIMCOさん主催のセミナーで彼のスピーチを(衛星中継ライブで)聞きましたが、つまり金融危機前に考えられていた「常態」(Normal)に復帰するというような単純な循環は断たれてしまった、ということで、我々は新たな常態(New Normal)を見つけに行かなければならないということだったと思います。
(エライアン氏の講演について過去の記事 http://s.webry.info/sp/ensaigaisai.at.webry.info/201110/article_7.html

「グローバル経済は構造的に毀損している」その時に彼が言ったことはワタクシの胸に突き刺さりました。一言で言えば、人口動態やテクノロジーに基づく構造変化をきちんと受け入れる必要があるということです。それは、当時も書きましたが、先進国における構造的な成長ポテンシャルの低下であり、インフレの構造的低下であり、収益力の構造的な偏在ないし低下だと思います。そしてこれに対する解がそれこそ異次元の金融緩和によって人々に強烈な麻薬をうち続ける事しかない、ということに多くの人が気づいたのではないでしょうか。一旦麻薬の味を覚えた社会にとっては、そこの心地良い状態こそが「正常」なのです。もちろん価値判断としては別です。金利の面での「正常」水準がかつてより低いと思われる中で、その金利を上げざるを得ないような景気なり政策が顕在化しているということが、株価下落につながっていると思います。

その意味で、アメリカの金利上昇には、平時を前提とすればですが、継続性はないと思います。バーナンキのように本気でバカの一つ覚えのように「正常化」と称して金利を引き上げ続けるとリーマンショックを招きました。その教訓は生きているでしょう。つまりどこかの段階で、当初予定していた金利引き上げを「日和る」ときがくると思っています。まあ価値判断としては経済をシバキ上げてぶっ壊してから再生させる、という手もありますが・・・

まあどた勘でしかないですが、トレンドラインとかみたら日本株の日経平均だと21000ぐらいにトレンドラインが引けそうですし200日MAとかもその辺にあるので、まあ今日ぐらい前後の下げまでなら調整の範囲と言えます。とはいえ、今日ぐらいの引けだったら、中期的なチャートを引っ張るとまだ「高いなぁ」と感じるかもしれませんね。ちなみにブラックマンデー型の暴落ですと、巨大な3段ロケット逆噴射がまだ残っています。

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