金融工学
某ワタクシの知合いの方が会食の席で某ノーベル賞受賞者のえらい方(もちろん理系のほう)と隣り合わせになったそうです。で、その偉い方が「金融工学とはなんですか?」という質問をぶつけてこられたそうです。でワタクシの知合いの方はいろいろ最近の証券化商品の例とかサブプライムの事例とか引きながら説明をしたそうですが、最後に相手のえらい方が納得して
「それは我々の世界で言う工学とは違う。いわゆるWishful Thinking(希望的観測)の積み重ねに近いですね」
と(にこにこしながら)おっしゃったそうです。
いえ、最近では妙に印象に残るお話でしたものでちょっとメモ。
どらめもんさんところにも出てますが、いかにも理系っぽい白川総裁なども指摘されているように、きちんとした数理的基礎が出来ているように見えても、それが成立する前提とういうものがあり、それが成立しない世界ではそれに依存することは非常に危険です。それこそただの希望的観測で大量のポジションをレバレッジかけてやるということですからね。
「それは我々の世界で言う工学とは違う。いわゆるWishful Thinking(希望的観測)の積み重ねに近いですね」
と(にこにこしながら)おっしゃったそうです。
いえ、最近では妙に印象に残るお話でしたものでちょっとメモ。
どらめもんさんところにも出てますが、いかにも理系っぽい白川総裁なども指摘されているように、きちんとした数理的基礎が出来ているように見えても、それが成立する前提とういうものがあり、それが成立しない世界ではそれに依存することは非常に危険です。それこそただの希望的観測で大量のポジションをレバレッジかけてやるということですからね。
この記事へのコメント
その前提というやつがクセモノなんですよね。
とある大学の数学科の若い教授(数値解析が専門)とちょっとお付き合いさせていただいていて、
ホットな話題のつもりで、
「そういえば、
以前先生に教えていただいた、
有限要素法のフリーソフトのサンプルに、
ブラックショールズ式の数値的解法が入ってましたね」って振ったら、
「ああいうものが役に立つんですかね」って、
(ちょっと不満気な感じで←私の見たところ)おっしゃってました。
理系の人には、
日本語の、
金融「工学」という言葉は違和感あるだろーなー。
自然科学ではこういった前提を事前に神のように知ってしまって、介入するような要素は存在しないのでね。
774さんコメントありがとうございます。ワタクシも昔ブラック博士存命のころ「ブラックショールズ式の陥穽」をブラック博士ご自身が語るというとってもブラックなセミナーに参加させていただいたことがあります。
かるパースさん、どうもです。ご趣旨に全面的に賛成です。再現性がないということは、前提条件を事由にいじれないということでもありましょう。まさにそれが人間の生活を扱う研究の限界でしょうし、市場を数式で扱う限界でしょうね。
科学者のアカデミーの中での説得の学問ですね。
このあたりは『99.9%は仮説』という本が良いと思います。
ただ、自然科学の実験は扱う変数を減らすことが可能なため、きっちりと数学の範囲に収まり、再現性の精度が高くなります。ただし、環境科学のように扱う変数が多く成ってしまえば、経済学と変わらずモデルという形でしか扱うことが出来ません。
環境問題も経済学と同じようにどうしてもイデオロギーの要素が高く成ってしまっています。
まあ、数学の限界や、人間知の限界に常に敏感でいながら、出来るだけ多くの要素を考慮しながら無限の再思考を誠実に続けることしか人間は出来ないのかもしれません。
そもそも限られた環境を作って理論を一つ一つ確かめていくと言う作業が経済学とか政治学には難しいのだろうと思います。その結果いつまでたっても同じ議論を延々とやっている・・・ということでしょうか。