毎日新聞のネット記事から引用させていただきます。 「投資顧問会社「AIJ投資顧問」(東京都中央区)の年金消失問題を機に、全国の厚生年金基金に旧社会保険庁(現日本年金機構)OBが05年時で600人以上、天下りしている実態が明るみに出た。多くはノンキャリアで、資産運用の経験は乏しいとされる。構造的な天下りが問題を拡大した一因ともみられ、OBの一人は毎日新聞の取材に「資産運用の経験は全くなく責任を感じる」と述べた。一方で、別のOBは「相手がうその説明をすれば誰が運用しても結果は同じ」と強調した」 まあ天下り自体はこれまで慣行を誰も是正してこなかったから本人たちのせいではないということも出来ましょう。ただ、やはり運用の責任者なのだから運用の責任を負う。これは動かしがたい事実です。その責任者が 相手がうその説明をすれば誰が運用しても結果は同じ などとほざいているとしたら、同じような運用の世界にいる人間としてはいたたまれない気持ちになります。そういう気持ちが基金に天下っているOB理事たちに共通のものだとすれば、有無を言わさず天下りを全面禁止すべきです。だって無能なんだもの。そんな人間に報酬を払う必要はないし、もし払ったとしたら下手すると税務上費用ではなく交際費とか使途不明金扱いですか? 運用って結果責任なんですよ。だまされたらアウト。だましにきた人を見破らなければ責任を果たしたとはいえません。もちろん運用ですから想定を外れた損をすることがあるわけだし、また万が一だまされることもあります。ただそのときにファンドの運営そのものが立ち行かなくなるぐらいの大きなロスを抱えないよう、セオリーとして分散とか言われるわけで、そういう初歩中の初歩の約束事すら守れないいくつかの基金の責任者は善管注意義務違反で損害賠償の対象となるべきです。 前のエントリーを書いたときは、社会保険庁OBがコンサルとして仲介していたとは知りませんでした。いまやまるで組織犯罪の様相を呈していますね。年金消失問題といい、どこまで無責任な組織なんでしょうか。よくも恥ずかしげもなくそういう無能力な人間たちを天下りさせていたものだと思います。 ついでに言えば、このことで破たんする企業があっても救済の必要はないと思います。これこそ銀行救済を超えるモラルハザードですが、銀行ほどシステミックな問題は発生しないと思います。そういう管理しかできなかったというガバナンスの問題にほかなりません。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120306-00000091-mai-bus_all 政治家がまた救済とか言い始めているようですが、そのために税金を使うのであれば、社会保険庁OBの年金を全額召し上げてからやってほしいと思います。本来つぶれるべき組織は社会保険庁だとおもいますから。 |
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内 容 | ニックネーム/日時 |
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私も無能は罪だと思います。特に、責任ある筈の立場にいる誰かが無能な場合、その害悪は周囲に撒き散らされます。天下り云々は全面禁止でいいとして、私が他の事件でも思うのは『役員』と呼ばれる存在の価値です。彼ら、本当に何かの役に立ってるんですか?数千億円単位の赤字を計上してもしれっとしてますし、社長と副社長じゃ駄目なんでしょうか。(法律の存在は知ってますけど) 監査役とか社外重役なんてのがお飾りに過ぎないのも露呈してますしね。 |
名無之直人 2012/03/07 00:59 |
無責任極まれりですね。 |
mushoku2006 2012/03/07 13:51 |
社会保険庁OB:当時業界では大変有名な方でした。 |
欧州駐在@私も勧誘を受けました 2012/03/09 09:21 |
AIJ問題、いろいろと議論に広がりを見せてきましたネ。AIJにひっかかるのは明らかに善管注意義務に抵触しています。事前の世界では前回記事のコメントにも書きましたように、運用スキームの怪しさに気づかないのがおかしい。事後(委託開始後)の世界では、月次の運用報告書が他の運用会社からの提出タイミングと比較して著しく遅い。時価変動の脈絡のなさを基金事務局がトレースしなくとも疑問を感じる点は少なくなく、また業界ではそれなりのウワサがあった・・・。 |
お伊勢参り 2012/03/10 00:01 |
「欧州駐在@私も勧誘を受けました」さんがおっしゃる「代行割れ状態でも解散させてあげるのが最大の救済にあたる」は、一面わかる気もします。ここ10年の総合型厚生年金基金の大半の財政状態は惨憺たるモノで、厚生労働省は見て見ぬふりというか、延命装置である「経過措置」の小出し・オンパレードです。財政を支えるハズの中小企業(その多くオーナー社長が君臨する)は被害者意識から抜け出せずに思考停止にしている。つまり当事者意識がない理事会・代議員会、基金事務局(社保OB)はダッチロールで経営能力は欠如しているといわざるを得ない実情です。 |
お伊勢参り 2012/03/10 22:53 |
運用執行理事の機能の充実は、再発防止策(今回の事件のような低レベルずきる事件が再発する蓋然性がどれだけあるのかはサテオキ)のキモでしょう。 |
お伊勢参り 2012/03/10 23:05 |
「政治家がまた救済とか言い始めているようですが、そのために税金を使うのであれば、社会保険庁OBの年金を全額召し上げてからやってほしいと思います。」 |
平家 2012/03/11 18:24 |
すみません。この問題を社歩調のド素人といいますが、私に言わせれば、プロの年金投資家なんてこの世にいません。でさーリスクマネーに投資すれば、運用パフォーマンあがるのかおい。でだめだから、JGBこれもだめなら。おまえのポートフォリオ戦略をここでいえよ。ぼけ。 |
karu 2012/03/15 23:26 |
すまん。ちょっといいすぎたが、最後は5332規制しかんおかな。でMPTで、いうとリスクマネーをダ出しすぎもだめだし、ソブリン物でこの状況下でパフォーマンスがいいファンドでかつ、配当出してるファンドはそうとう危なっかしいてわかる人にはわかるが、ここからが国債でない世界の投資は、この前いったように、どこの規制当局が尾ってもわからん世界なので、規制は意味がなし、そういう意味では、みんなドシロウのくせのやらそうなこというなということです。オルターナティブでPEとか絶対リターンとか商品Fとかで、勝ったためしがない。リスクマネーは個人投資家の世界。日本にそんな奴はいない、すべてドシロウのサラリーマンなので、こんな奴にリスクマネーは出せない。 |
karu 2012/03/16 00:33 |
名無之直人さんどうもです。おっしゃるように「役員」とはまさに責任を取る立場であり、その責任の対価が権限や報酬なのですが、事件によっては十分に職責を果たしていない事例が見受けられるのもおっしゃるとおりです。ただ、まあ日本のいわゆる取締役は一般的には責任やカバーする範囲の割りに報酬が少ないかなと感じることはありますね。最終決裁を誰がやるかという問題が絡むので、社長と副社長だけでも出来る企業の規模には限界があるとは思います。 |
厭債害債 2012/03/16 08:57 |
お伊勢参りさん、どうもです。総合的な見解、とても参考になります。救済を厚生年金全体でという議論も一部にあるようですが、おっしゃる通り好ましい選択ではないと思います。 |
厭債害債 2012/03/19 01:05 |
>>相手がうその説明をすれば誰が運用しても結果は同じ |
無理無理蝸牛 2012/03/20 15:41 |
いつもながら、ご迷惑おかして申し訳ありません。仰せの通り、この議論は、昔からある悪党の事件そのものですが、やはりこの規模と方法論が今日的であるということで、ケイマンあり、ファンドありということですかね。悪党はどこにでもいて、これは退治しようがないのはどこの業界でも同じです。まーよーは牛肉と一緒ですね。やっぱ生肉=オリターナチブはうまいかもしれんが、毒にあたるけど知ってて食う奴は昔は親父だけだったど、今じゃ子どもにも生肉食わせチャウ。 |
karu 2012/03/22 01:14 |
悪党ついでに、某カメラメーカーでも何でもその裏暗躍する、プロの人脈がすごいな。さすがNDNの和製IBOBはさすがです。海外の悪党IBに対抗できるのは彼らだけど、現役大丈夫か。 |
かる 2012/03/22 03:09 |
まったくの素人ですがこっそりお邪魔して勉強させていただいておりました。いつもありがとうございます。 |
おけい 2012/03/22 09:34 |
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